移動時間を賢く使う7つの方法と便利ツール脱ガンジガラメの働き方(4/4 ページ)

» 2011年09月16日 08時30分 公開
[イクナイBusiness Media 誠]
誠ブログ
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「調べものツール」としてのスマートフォンやタブレット

 スマートフォンやタブレットは、閲覧に関してはデスクトップアプリケーションをも上回る操作性や視認性、何より携帯性が優れています。よって、「これについてとことん下調べをするぞ!」という行程の初期段階に、とても向いています。

 特に、サラサラとさまざまな情報を流し見しながらブックマークを溜め「こういう方針で調査するぞ」という方針を見いだすのには、ぴったりなツールです。私は家やオフィスで27インチのiMacを使っていますが、iPadに慣れてしまうと、Webでの調べものには27インチはちょっと大き過ぎます。ソファーの上でのiPad操作や、電車の中でのiPhone操作は、調べ物をするのに非常に都合のいい大きさだと実感します。それはもちろんAndroidでも同じ事がいえるでしょう。

 またWebは、1つの事に集中して「サブカルチャー的な魅力に気付くまで掘り下げて、自分の言葉で語れるようになるまで深く調べる」ような事には全く向いていません。しかし、「今を観る」事に関しては他に右に出るプラットフォームはありません。現在を知り、何を深く掘り下げるべきなのかを気付かせてくれるこの流行のプラットフォームをサーフィンするのには、机上のPCにかじりついてどうこうというよりも、実はタブレットくらいの気軽なアクセス感がいいんだろうなと感じています。

 どんなタブレットでも、標準ブラウザでいいんです。タブレットでWebを見るという行為は、体験した人にしか分からないリラックス感を内包しています。そういう意味では、iPadは他のタブレットよりも1つ抜き出ています。標準ブラウザのSafariのできが素晴らしくいい。Safariだけでも、iPadの存在価値は十分にあると思わせてくれます。デスクトップでもSafariを使っている人は、iOS5以降は後で読みむ機能も付き、ブックマークもOn The Airで共有可能になる(はずな)ので、これも楽しみです。

RSSリーダーなら、Google Readerと連携したFeedly、iPadユーザーならFlipboard

 「はてなブックマーク」や「2chまとめ」「NAVERまとめ」など、情報連携のツールは幾つもあります。そので、インタフェースの洗練度が抜群にいいのは、やはり「Feedly」です。基本的にモダンブラウザの機能拡張として動作し、Google ReaderやSNSとの連携も果たしながら、インタフェースや安定性が抜群に優れています。

 また、Feedlyがマルチプラットフォームである中で、iPad専用アプリとして孤高な存在のFlipboardは「世にあふれていたiPad用のさまざまなRSSリーダーを切り捨てた」とまで言われています。Google Readerだけでなく、FacebookのウォールやTwitterのリストなどとも同期できるという、なかなか他例がないアプリケーションです。「これが本当の電子書籍なのかも?」と思わせるくらいの、非常に新しくも洗練されたインタフェースを持っています。

 最近は技術本で有名なオライリーがPDF出版を始めたなど、これから恐らく技術本を中心にPDFで書籍を入手する機会が徐々に増えてくると思います。そういったPDF書籍を活用する手だてとして、MacとiPhone、iPadユーザーには標準アプリのiBooksがお薦めです。iOS5の登場でiTunesに登録したコンテンツの中身もDropbox同様、On The Airで共有可能になる予定なので、資料を持ち歩く手段としてかなり現実的なものになってくると思います。

スマートフォン、タブレットの「作業ツール」としての可能性

 スマートフォンやタブレットは、基本的にはPCで行うような作業全般には向いていません。しかし、背に腹が変えられない場合があります。そこで、どうしても作業せざるを得ない局面時のツール選びでは、以下の点を気にするべきです。

1. 作成したデータをPCで二次利用(または内容の同期)がしやすいか

 「作業」は何かを生み出す行為ですから、スマートフォンやたとえタブレットであったとしても、それを完成まで持っていくのはまず不可能です。デスクトップアプリケーションに作業が引き継げたり、内容が同期したりできる点は非常に重要です。ある程度できたけど、ここから追い込めないなぁ……なんて状況は避けたいものです。

2. 入力用のインタフェースが洗練しているか

 タブレットを初めとするタッチデバイスは、まず基本的に入力に向いていません。ミスタッチは多いし、日本語特有のIMEはやはりPCのそれに比べれば貧弱です。ATOKなどはタッチデバイス向けのソリューションが出ていますが、基本的なインタフェースが「計画的な入力」に全く向いていないのです。

 よって企画書などを書く際には、ノートPCを持っている人にはそちらを使う事を強く勧めます。ですが、「それでもタッチデバイスで」という方は、とにかく入力インタフェースにこだわってください。どのツールでも手を伸ばせばすぐに使える机の前とは違い、移動中はその局面ごとに閲覧に集中したり、入力に集中したりと、あくまでシングルタスクに徹さないと効率が悪いです。洗練していて、安定している使い慣れたツールが最良です。そうしたツールを使って、少々の誤字や脱字などは気にせず、勢い任せで「ダダーっと」入力していくのが正しい使い方です。調整は後でやればいいのです。

 また、ペンでの書き味にこだわるあまりに専用ペンまでリリースしてしまった「Bamboo Paper」というアプリケーションもあります。ペンでの書き味に苦評が多いタブレットドローアプリの中では、これの書き味はわりと秀逸です。

ペンと紙

 いくらデジタル機器が発達したとはいえ、ペンと紙の代用にはならない局面があります。言葉にならないアイデアをまとめるのに、ペンと紙ほど向いているものはありません。特に紙。ノートは横罫だけでなく、縦罫、Moleskineなどに代表される方眼、無地などもあります。また私のお薦めは、方眼ブロックメモで有名なROHDIAが出しているドット方眼の「dotPad」です。「無地の空間把握は苦手だけど方眼は罫が邪魔臭くてしょうがない」と言う人にぴったりです。

 後は、とにかくペンと紙は「カッコいいもの」を持ちましょう。iPadを持っていても女性にはモテませんが、ノートとペンのセンスは恐らく移動中に使うツール軍の中で唯一「異性にアプローチできる可能性が残されている」ツールだと思います(偏見でしょうか?)。

 dotPad。良さは使えば分かります。

 モレスキンなんかもいいですね。モテそうで。

軽い! 一体感! は永遠のテーマ

 そして移動時に持って歩く荷物は「軽いに越したことはない」という事を忘れないでください。車で移動する方はまた別ですが、移動時間のモチベーションを上げるには「荷物は軽く」が最大のテーマです。

 さらに、移動時間のツールを選定する上でさらに重要な事は「一体感」です。軽くする為に用途に応じてかばんの中身を変えて出発するようなことはもうやめましょう。実は移動時間の使い方を意識したワークスタイルを続けていると、かばんのサイズがどんどん小さくなっていきます。

 私は2分の1程度になりました。重量は3分の1です。最初は「あれもこれも」とかばんのサイズは肥大化していくのですが、ある時(かばんの重さに耐えられなくなった時)を境に、サイズと重量が下降線をたどり始めました。「いつも持ち歩きたいもの」はだんだんと厳選され、使い方も洗練していきます。かばんはいちいち中身を入れ替える事なく、取りあえず出掛ける時に「パッと持って行ける相棒」になるのです。

 なんと最後まで呼んでいただけましたか。ここまで読めばもう移動時間はあなたの味方です。あなた流の移動時間の使い方を、ぜひ編み出してください。

最後に、移動時にお薦めのツール一覧

 最後にお薦めのツールを一覧で紹介します。今回の記事の中では触れられなかったものも幾つかありますが、興味がある方はリンク先の記事などを参考にしてみてください。私はiPhoneとMacを主に使用するので、Windows、Android系の情報が薄い事は重ね重ねご容赦ください。

アプリケーション、製品名 ジャンル お薦め対応端末
OmniFocus タスク管理 Mac、iPhone
iCal(カレンダー) スケジュール管理 Mac、iPad
Thunderbird+Lightning スケジュール&タスク管理 Windows
TapCal スケジュール&タスク管理 iPhone
Week Calendar スケジュール&タスク管理 iPhone
SketchBook Pro ドローイング Mac、Windows、iPhone、iPad、Android
Adobe Eazel ドローイング iPad
Evernote メモ(テキスト、音声、動画、写真) Mac、Windows、iPhone、iPad、Android
Bamboo Paper メモ(フリーハンド)専用ペンまで! iPad
Evernote メモ(テキスト、音声、動画、写真) Mac、Windows、iPhone、iPad、Android
iBooks 国内では単なるPDFリーダー iPad、iPhone
Safari 調べもの&News(Google Reader連携) iPhone、iPad
Feedly 調べもの&News(Google Reader連携) Safari、Firefox、iPhone、iPad、Android
Flipboard 調べもの&News(Google Reader連携) iPad
TeamViewer デスクトップ遠隔操作 Mac、Linux、Windows、iPhone、iPad、Android
ROHDIA dotPad ドット方眼メモパッド

 お盆休みも終わり、休みボケをオフィスに持ち込んで仕事をしている時期はどうしても自分を見失いがちです。そうした時に自覚無しにガンジガラメ状態に陥る事は珍しくありません。冒険や誘惑多き夏休み明けは、長期休暇の中でも特に危険な時期です。僕は1カ月に及ぶ全国ライブツアーの直後に、大規模システム制作の案件を抱えてしまった時にまさにこの状態に陥ってしまった事があります。

 仕事の進行一つ一つにいちいちイライラしてしまうのです。これは、全国ツアーの過酷ながらも開放感に満ちあふれた日々と、無意識のうちに比較しているからなんだと思います。そういった「軽い迷走状態」的な状況は、誰にでも起こり得ます。しかも無意識だから怖いのです。

 バカンスが逆効果になったりしないよう、油断する事なく、日々をお過ごしください。


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