最新ブラウザのパフォーマンスをチェックする:Webブラウザ高速化戦争(2/2 ページ)
昨今のWebブラウザのトレンドはずばり「高速化」。最新のブラウザにページを読み込ませ、実際の速度を測ってみよう。
まずは起動
まず1つめは、ブラウザを起動して指定ページを表示するまでにかかる時間の測定。今回はITmediaトップページを対象とし、ブラウザの起動から完全に表示するまで何秒かかるかを測定してみた。方法としては、対象ページのURLショートカットを各ブラウザのショートカットにドラッグ&ドロップするという方法を用いている。ちなみに、Google Chromeのみこの方法では起動ができないため、対象ページをホームページに指定して起動を行っている。なお、数値の計測方法は計測は目視によるストップウォッチで、同じテストを3回実施し、計測した平均値を算出している。
ブラウザ | Firefox 4 | Google Chrome 10.0 | Opera 11.10 | IE9 |
---|---|---|---|---|
秒 | 19 | 17 | 17 | 22 |
Google ChromeとOperaが最速で、次いでFirefox、最下位はIEとなった。IEは今回使用したのが製品候補版ということで、リリース時にはチューニングしている可能性はあるが、現状ではワンテンポ遅れる感は否めない。一瞬ハングアップしたようになる見た目の印象も関係しているかもしれない。
起動済みブラウザで表示
2つめは、すでにブラウザを起動した状態で、指定ページを表示するまでにどれくらいかかるかをテスト。いずれも起動済みのブラウザ上にショートカットをドラッグ&ドロップするという方法で行っている。対象ページはさきほどと同じITmediaトップページで、言うまでもないがキャッシュなどはクリアしたうえでテストを行っている。
ブラウザ | Firefox 4 | Google Chrome 10.0 | Opera 11.10 | IE9 |
---|---|---|---|---|
秒 | 6 | 5 | 5 | 5 |
いずれも5〜6秒と、ブラウザによる差はほとんどない。先のテストでブラウザそのものの起動に時間がかかっていたIE9も、すでに起動した状態からのページ表示速度は他のブラウザと比べても遜色はない。いったん起動してしまえば、どのブラウザもそれほど大きな差はないと言えそうだ。ちなみに種類が異なるほかのページでも試してみたが、おおむね差は見られなかった。
10個のタブをほぼ同時に開いてみる
次は10個のタブをまとめて開き、すべての表示が完了するまでの時間を測定してみた。近ごろは複数タブを同時に開いてのブラウジングが一般的なので、むしろこちらが実際の環境に近い使い方と言えるだろう。
なお、複数タブをまとめて開く際の挙動はブラウザによってかなり異なるため、今回は各ブラウザを標準ブラウザに指定したうえで、10個のURLショートカットを約1秒間隔で1つずつダブルクリックして起動するという手順でテストを行っている。
ブラウザ | Firefox 4 | Google Chrome 10.0 | Opera 11.10 | IE9 |
---|---|---|---|---|
秒 | 34 | 41 | 16 | 35 |
Operaが最速で、それ以外の3ブラウザがほぼ横並びという結果。表示に用いたページはITmediaや誠 Biz.IDのトップページのほか、mixiやFacebookなどのSNSのトップページなど比較的軽量なページが中心だったが、Google Chromeのように特定ページに強みをもつブラウザであれば、ページ次第でまた違った結果になりそうだ。
多くの画像があるページを読み込む
最後に行ったのは、前述のタブ10枚を表示した状態で、さらに3つのページを読み込むという実験。この3ページは、2ちゃんねるのまとめページなどによくある、100枚近くの画像が貼られた転送量の大きいページを用意した。さながらブラウザの負荷テストである。
ブラウザ | Firefox 4 | Google Chrome 10.0 | Opera 11.10 | IE9 |
---|---|---|---|---|
秒 | 119 | 50 | 57 | 44 |
Firefoxのみ非常に時間がかかったほかは、こちらも3ブラウザがほぼ横一線。IE9が意外(?)にも健闘しているが、読み込み後のスクロールやタブ切り替えの操作がおぼつかなくなるといった問題があり、あまり多い枚数をタブで開くことは想定されていないのではないかとの印象を受けた。読み込み後の挙動も含めてトータルで判断すると、Google Chromeが頭一つ抜けているといった印象だ。
まとめ
ブラウザ | Firefox 4 | Google Chrome 10.0 | Opera 11.10 | IE9 |
---|---|---|---|---|
起動からWebページの表示 | 19 | 17 | 17 | 22 |
起動済み状態からWebページの表示 | 6 | 5 | 5 | 5 |
10個のタブを開く | 34 | 41 | 16 | 35 |
たくさんの画像があるページを開く | 119 | 50 | 57 | 44 |
個別のテストではブラウザごとに傾向の違いがでているものの、全体としてはそれほど極端な差はないというのが、全体を通した印象だ。昨今のメジャーバージョンアップにより、これまでそれほど高速とはいえなかったブラウザも、速度面で先を行っていたブラウザにかなり近づいたと見てよいのではないだろうか。IE9とFirefox 4はGPU連携のメリットを享受できていないことを差し引いて考えると、なおさらだ。
また速度面はもちろんのこと、ブラウザ自体のデザインもよく似てきつつある。具体的にはメニューバーをボタンに集約することで上下幅を節約し、ページの表示面積を広く取るといった工夫が挙げられる。なかでもGoogle ChromeとIE、FirefoxとOperaについてはうっかり見間違えることもしばしばだった。かつては操作性や機能に大きな差があったこれらブラウザだが、お互いにいいとこ取りをするうちに、非常に似通ってきたのかもしれない。
個々のブラウザについてコメントしておこう。画像の多いページの読み込みテストでの結果が悪かったFirefox 4だが、3.x時代より明らかに軽くなっていることは体感レベルでも明らかで、従来バージョンのユーザーは乗り換える価値があるだろう。ただ各所で指摘があるように、慣れ親しんだインタフェースが変わってしまっていることから、戸惑いを感じる向きは少なからずあるはずだ。アドオンにそれほど必然性がなければ、これを機に別のブラウザに乗り換えるというのも、1つの選択肢ではあるだろう。
続いてGoogle Chrome。全体的に安定したパフォーマンスを発揮しており、常用に足りる印象を得た。今回のテスト項目には含めていないが、GmailやGoogleマップなどGoogleのサービスの相性の良さは多くの人が認めるところだけに、他ブラウザから乗り換えたくないユーザーであっても、これらGoogleのサービスの専用ブラウザとして導入するメリットは大きいだろう。
OperaもGoogle Chromeと同様、パフォーマンスは全体的に安定。複数ブラウザでのブックマーク同期など、デフォルトでも豊富な機能を持っているのがOperaの特徴だが、新たにアドオンの提供も始まり、今後が楽しみな存在だ。Firefox 4のインタフェースの変更が期せずしてOperaライクであるというのも、方向性として興味深い。
IE9は、起動がやや遅いという欠点はあるものの、それ以外では十分なパフォーマンスがあり、かつてのように速度が遅いから敬遠するというのは、もはや正当な理由ではなくなっている。あとは多くのタブを開いた際の取り回しの悪さと、カスタマイズ性の低さがネックだろう。またGPU対応を1つの特徴だが、今回のハードウェア構成では十分なパフォーマンスを発揮できなかった可能性がある。もう1つのネック、Windows XPに非対応であることだろう。
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