――相手の心情をくみ取ることは大切だとは思いますが、本音では退職してほしくないと思う企業が大半だと思います。
まず会社を辞めること自体をネガティブに捉える必要はありません。ぼくは事業の組織マネジメントに関するコンサルティングも手掛けているのですが、その際に「入社するメンバーのマネジメント以上に、辞めていくメンバーのマネジメントが重要です」と伝えています。なぜならその後に辞めた人がクライアントになったり、仕事を紹介してくれたりする可能性があるからです。
これは退職だけに限らず、採用活動の際も同様のことが言えます。不採用のお祈りメールで「末筆ながら貴殿の益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます」といったテンプレートのメールを送ると、その会社の印象は非常に悪くなります。採用企業と就活生では上下関係があるように思われていますが、本来は対等なんですよね。
――「去る者は追わない」が、きちんと送り出してあげることが大事だと。
退職であれ採用活動であれ、いい形で別れることが大切です。
ちなみに退職したいと思っていることが分かる社員がいる場合には、「今、会社辞めたいと思っているよね」とこちらから言ってあげることも重要だと思います。実際に辞めたいと思っている社員は鬱々とした気持ちで出社し、嫌な気持ちで退職メールを書いているからです。それは当人にとってものすごい負担ですよね。だから、こちらから言い出すことも1つのマネジメントだと思っています。
鳥井大吾(とりい・だいご)
法政大学経済学部 卒業後Webマーケティング会社にコンサルティング営業として入社。その後、がん情報メディアの運営に携わり、医療者やがん体験者へのインタビューや記事執筆を行うも、2019年10月に退職。
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