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住友商事・南部智一副社長に聞く「DXによる再生の道筋」 社内の構造改革を強力に推進住友商事の挑戦【前編】(2/4 ページ)

» 2021年11月11日 17時35分 公開
[中西享, 今野大一ITmedia]

辻説法の形で直接対話

――DX推進を始めて3年が経過して、何が一番大変でしたか。また、現在はどんな取り組みをしているのでしょうか。

 仕事のやり方や、意識を変えてもらうのは大変です。ただ現実は、徐々にでも変えていかなければなりません。その気付きの機会提供の観点で、特に若い社員に対して、ヒントになる研修の機会や社内イントラにDXチャネルというコーナーで実例を共有するなど、社内の啓発活動をしています。

 また、海外地域組織とのコミュニケーションに関しては、新型コロナウイルス感染拡大前には世界中を回り、辻説法の形で直接対話をしてきました。結果、3年で300強のデジタルプロジェクトを遂行し、成功、失敗事例を類型化しました。ここまでが第1ステージで、DX事例を増やして、デジタル化のツールを使ってビジネスをさらに成長させられたと思います。

――この成果をどう発展させていく考えなのでしょうか。

 これからは、トップライン(売り上げ)を伸ばす、コストを圧縮する、正しい需要予測をして精度高い判断をする、新たなモデルを作るなど、DX活動の取り組みの形態・ステージによって類型化し、事業の特性に応じた取り組みを、全社知見を活用して加速化すると共に、DXの経済効果がどれくらいなのかを可視化することで、投資効果を可視化しながら事業を選別していくことに足元挑戦しているところです。

――改革の意識を浸透させるためには、事業本部長をはじめとした幹部を「なるほど」と思わせなければなりません。そのためにどんな手を打ちましたか。

 1、2年でこの改革方針が変わるようなものではないことを示すべく、社長をはじめトップが本気になってDXに取り組んでいることを伝えてきました。同時に、人事制度においてDX活動が評価される仕組みをセットしたのです。

 また成功事例が出た時に、「それなら、うちもできる」と共感を持ってもらえるように、経営幹部が参加する情報連絡会で紹介するようにしました。また5月に発表した中期経営計画「SHIFT 2023」(2021〜23年)の中では、DX推進をど真ん中において、その重要性をアピールしました。

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