政府に対する支援も要望した。
「宇宙開発で先行した米国政府は、1990年代からNASA(米国航空宇宙局)の技術を民間に移そうと、民間の技術を支え資金も援助してきました。特にお願いしたいのは、ロケットの打ち上げで可能となるサービスを政府が購入してほしいということです。少しは進んできているものの、他国と比べるとまだ量的に足りない状況です。この領域は放置して民間だけに任せておいて伸びる分野ではありません」
最近話題になっている宇宙のごみ(デブリ)については以下のように指摘した。
「過去に米国やロシアなどがデブリをまき散らしたことはありましたが、現在は各国間で調整ができています。あと100年くらいは衝突リスクなどの緊急度はそれほど上がらないのではないでしょうか。この問題は早いうちに手を打っておく必要があり、ロケットを活用してデブリを処理するADR(アクティブ・デブリ・リムーバル)をしようというベンチャーも出てきています」
今後の資金調達に関しては「ZEROの量産化などで資金ニーズはあるので、次の資金調達では適切なタイミングで株式公開を含めて検討したい」と述べ、株式公開も視野に入れていることを明らかにした。
ロケット開発の規模拡大に伴って必要となるのが人材の確保だ。現在同社は70人弱の従業員を抱えているものの、ZEROの開発が本格化すると現在の陣容では足りなくなる。稲川社長は将来的な人材について筆者の取材にこう答えた。
「ロケット開発は一部の人しかできないと思われがちですが、ものづくりの総合格闘技といわれている通り、それぞれの業界で培ってきた技術やノウハウ、経験が生かせる分野です。最近はオンライン説明会が中心でしたが、12月から22年2月にかけて初の東京、大阪、名古屋という三大都市圏での採用キャラバンを開催します。
どんなエンジニアが働き、日々どのような試行錯誤をしているのか体感してもらえればと思います。今後は、社員の出身大学を通じたリファラル採用(社員に人材を紹介してもらう採用)や、企業の人材交流を目的にした出向受け入れもさらに強化したいと考えています」
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