――EV化が急速に進んできていますが、内燃機関(エンジン)で走る車はなくなるのでしょうか。
内燃機関が生き残れるかどうかは分かりませんが、生き残れるように努力はしたいと思います。トヨタ自動車さんと共に水素エンジン車の開発を進めているように、カーボンニュートラルになる燃料系には水素のほかに合成燃料などもあります。問題は大量に安く作れるかどうかです。
バッテリーで走るEVのニーズもあれば、お客の要望に合致した内燃機関の選択肢もありますから、内燃機関はなくならないと思います。世の中の車が全てバッテリーになるとは思えませんし、国によっても事情が異なります。インドでは、ブラジルなどで行っているバイオアルコールをベースとしたフレックス・ビークルを走らせようとしています。ガソリン車がフレックス・ビークルに置き換われば、二酸化炭素の量は大幅に削減できます。
EVに搭載するバッテリーはコバルトやリチウムなど鉱物資源を使うため、すでに自動車メーカーの間では奪い合いになっています。使う量の少ないオートバイメーカーには回ってこないのではと心配しています。
――貴社は海外に多くの拠点を持ち、グローバルな経営をしています。ただ外国人の取締役はまだいませんね。
取締役には外国人はいませんが、執行役員にはフランス人、インドネシア人がいます。取締役に生え抜きの外国人はいませんが、文化の違う人の意見はボードレベルでも重要なので、今後は外国人の取締役も誕生させていきたいと考えています。
――女性の管理職を増やす動きが強まっています。現在の比率と目標を教えてください。
女性管理職比率は5%です。増やしてはいますがもともとの分母が小さいので、なかなか比率が増えません。女性の採用は増やしていまして、新卒事務職の男女比率は、2017年ごろから半々で採用しています。しかし、100人以上の新卒を採用している技術職では女性の比率が10%に届きません。なので、全社的には女性の比率が12〜13%なのです。そこから女性管理職を30%に上げようとすると、実現は難しいのです。
出産後に復職できるような制度を作っても女性の離職率は高いです。そのためには企業は女性が働きやすい環境をどうすれば作れるのかを考えなければいけません。考え方の面では男性もイクメン休暇を取り、女性もモチベーションを持ち続けて働くようにマインドセットをする必要があります。
製造業で女性の管理職比率3割というのは、かなりハードルが高いと感じています。
――連結で5万人を超える組織のリーダーとして、日ごろから信条にしていることはありますか。
2005年ころにリーダーシップマネジメントを学ぶ機会がありました。そのとき覚えた英単語にアカウンタビリティーがあります。これは単に説明責任があるというだけではありません。社員に物事を説明して納得してもらい、実際に動いてもらわなければなりません。そこまできちんと説明するのがアカウンタビリティーだといわれてハッとしました。組織を率いる人間としてはこの単語はよく使っています。
もう一つ心掛けているのは、原理や原則、本質に照らし合わせて物事を判断することです。社長になると物事を決済する上で、常識からみてそうなのかどうかをきちんと判断しなければなりません。
部下はいろいろなロジックを用いて上司を説得しようとしてきますが、そのロジックに流されないように経営判断する必要があります。その時に、この言葉を思い浮かべるようにしています。
――日高社長が仕事をしているときに最もモチベーションを感じる瞬間はどんなときですか?
私は本当にバイクが好きなんです。年に2回、静岡県の袋井市にあるテストコースを借り切って役員試乗会をするのですが、その時に開発中のいろいろなバイクに乗れるときが本当にうれしいんです。
特に今年は「史上最強のライダー」といわれたバレンティーノ・ロッシが乗ったYZR-M1にも乗車することができて、その乗り心地の良さに感激しました。
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