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ヤマハ発動機・日高祥博社長に聞く「EVの先行き」 エンジンはなくならないヤマハ発動機の展望【後編】(4/6 ページ)

» 2021年12月16日 05時00分 公開
[中西享, 河嶌太郎ITmedia]

エンジンはなくならない

――EV化が急速に進んできていますが、内燃機関(エンジン)で走る車はなくなるのでしょうか。

 内燃機関が生き残れるかどうかは分かりませんが、生き残れるように努力はしたいと思います。トヨタ自動車さんと共に水素エンジン車の開発を進めているように、カーボンニュートラルになる燃料系には水素のほかに合成燃料などもあります。問題は大量に安く作れるかどうかです。

 バッテリーで走るEVのニーズもあれば、お客の要望に合致した内燃機関の選択肢もありますから、内燃機関はなくならないと思います。世の中の車が全てバッテリーになるとは思えませんし、国によっても事情が異なります。インドでは、ブラジルなどで行っているバイオアルコールをベースとしたフレックス・ビークルを走らせようとしています。ガソリン車がフレックス・ビークルに置き換われば、二酸化炭素の量は大幅に削減できます。

 EVに搭載するバッテリーはコバルトやリチウムなど鉱物資源を使うため、すでに自動車メーカーの間では奪い合いになっています。使う量の少ないオートバイメーカーには回ってこないのではと心配しています。

二輪事業だけでなく、トヨタ車へのエンジン供給も半世紀近く行っている

――貴社は海外に多くの拠点を持ち、グローバルな経営をしています。ただ外国人の取締役はまだいませんね。

 取締役には外国人はいませんが、執行役員にはフランス人、インドネシア人がいます。取締役に生え抜きの外国人はいませんが、文化の違う人の意見はボードレベルでも重要なので、今後は外国人の取締役も誕生させていきたいと考えています。

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