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ヤマハ発動機・日高祥博社長に聞く「EVの先行き」 エンジンはなくならないヤマハ発動機の展望【後編】(5/6 ページ)

» 2021年12月16日 05時00分 公開
[中西享, 河嶌太郎ITmedia]

女性管理職登用のハードルは高い

――女性の管理職を増やす動きが強まっています。現在の比率と目標を教えてください。

 女性管理職比率は5%です。増やしてはいますがもともとの分母が小さいので、なかなか比率が増えません。女性の採用は増やしていまして、新卒事務職の男女比率は、2017年ごろから半々で採用しています。しかし、100人以上の新卒を採用している技術職では女性の比率が10%に届きません。なので、全社的には女性の比率が12〜13%なのです。そこから女性管理職を30%に上げようとすると、実現は難しいのです。

 出産後に復職できるような制度を作っても女性の離職率は高いです。そのためには企業は女性が働きやすい環境をどうすれば作れるのかを考えなければいけません。考え方の面では男性もイクメン休暇を取り、女性もモチベーションを持ち続けて働くようにマインドセットをする必要があります。

 製造業で女性の管理職比率3割というのは、かなりハードルが高いと感じています。

――連結で5万人を超える組織のリーダーとして、日ごろから信条にしていることはありますか。

 2005年ころにリーダーシップマネジメントを学ぶ機会がありました。そのとき覚えた英単語にアカウンタビリティーがあります。これは単に説明責任があるというだけではありません。社員に物事を説明して納得してもらい、実際に動いてもらわなければなりません。そこまできちんと説明するのがアカウンタビリティーだといわれてハッとしました。組織を率いる人間としてはこの単語はよく使っています。

 もう一つ心掛けているのは、原理や原則、本質に照らし合わせて物事を判断することです。社長になると物事を決済する上で、常識からみてそうなのかどうかをきちんと判断しなければなりません。

 部下はいろいろなロジックを用いて上司を説得しようとしてきますが、そのロジックに流されないように経営判断する必要があります。その時に、この言葉を思い浮かべるようにしています。

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