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寄付と投資の間に商機見いだす コロナ禍で流通額「4倍成長」のCAMPFIRE家入代表を直撃国内クラファン市場は10倍へ(3/5 ページ)

» 2021年12月28日 05時00分 公開
[星裕方ITmedia]

見返りを「求める・求めない」の間のグラデーション

――寄付文化に入りやすい仕組みとして、CAMPFIREには寄付した見返りとして何かを受け取る「リターン」があるのが特徴的です。これはどのように発想したのですか。

 サービスを始めた当初、お金を出す側もお金を集める側も、金融知識がそれほどない中でどう資金を集める仕組みを作ったらいいだろう、と考えました。そのときに、何かしらプレミアムなリターンを「買う」形で応援する仕組みにしたら、シンプルかつ立ち上げやすいんじゃないかと思ったんです。

 ある意味、先払い型のECみたいなものですよね。「購入型」といわれるクラウドファンディングの手法(編注:支援者は金銭以外のモノやサービスといったリターンを受け取れるのが特徴。金銭的リターンである分配金や株を受け取れる「投資型」とは異なり、売買契約に基づいた商取引に分類される)で、プロジェクトを経てできあがった商品や、体験をお返しする売買契約を通して資金を調達するモデルです。

 「寄付する」という、何も見返りをもとめない支援が片側にあって、もう片方には利回りを追求する「投資」があるならば、この間のグラデーションが広がっていくことで、お金の流動性は高まると思うんです。ふるさと納税を例として考えても、地域を応援したいから寄付をするのでも良いし、リターンとして送られてくる牛肉を食べたいから応援した結果、その地域のためになるでも良いと思います。

 銀行に預けておくよりも、年間の利回り2%くらいの利潤で、なおかつ地域のためにもなるような「投資」と「寄付」の間のグラデーションを作っていきたいと思っています。

購入型クラウドファンディング

単月の流通額4倍成長 「まだまだ投資が必要」

――20年4月、コロナが始まった際の単月流通額は、前年同月比4倍と、一気に局面が変わってきているようです

 飲食店や、そこに商品を納入している生産者、ライブハウスや宿泊施設など、コロナで困られている方々を中心にクラウドファンディングを通してサポートできた結果、数字が伸びた感じです。ですので単純に伸びて良かったねという話ではなく、そこには大変な思いをされている方々がいたと感じています。

――手数料で収益を上げるビジネスモデルという観点では、過去最高益だったのでは。

 手数料は、決済手数料込みで17%(クラウドファンディング手数料12%、決済手数料5%)ですが、流動的に変えています。例えば20年のコロナサポートプログラムなどはクラウドファンディング手数料12%を0%にしていたこともありました。コロナに限らず、災害などの突発的な出来事があった際にサポートできるプラットフォームでありたいと思っているので、その時々で流動的に手数料は変えています。

 売り上げ自体は伸びていますが、収益という観点ではまだまだこれからです。また、従来の金融機関が対応できていない、新しいお金の流れを作る世界を実現するには、流通額でもまだ桁がいくつも足りないですね。

 一人でも多くの方に一円でも多くお金がめぐる世界を実現していくために、まだまだ投資が必要だと感じています。

コロナサポートプログラム

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