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寄付と投資の間に商機見いだす コロナ禍で流通額「4倍成長」のCAMPFIRE家入代表を直撃国内クラファン市場は10倍へ(4/5 ページ)

» 2021年12月28日 05時00分 公開
[星裕方ITmedia]

上場も売却も前提としない 新しい資金調達も提供

――非上場企業でも株式の取引ができる株式投資型クラウドファンディング「CAMPFIRE Angels」など、新しいサービスも立ち上げています。この狙いは。

 CAMPFIREは購入型があって、株式投資型があって、融資型から寄付型まで、あらゆるタイプを提供している世界でも例がない企業です。

 いろいろなタイプのクラウドファンディングを実施する意義というのは、一人一人の事業者の方々の成長において多様な調達手段を提供できることだと考えています。

 株式投資型のクラウドファンディングは、先ほどもお話したようにベンチャーキャピタルの投資額が年間1500億円〜2000億円のなかで、一般の人でもスタートアップの株を持って応援できる仕組みとして面白いと思っています。ただ、国内ではまだプレイヤーが数社しかなく、法律もこれから整備されていく状況です。まだハードルが高いなかでCAMPFIRE Angelsも丁寧にプロジェクトを立ち上げている段階です。

 小さな事業者や個人が、最初は購入型クラウドファンディングで調達した後の事業成長のフェーズで、次は株式調達をしようとなったとき、ベンチャーキャピタルから調達すると、結果的に上場を目指すことになってしまいます。

 株主と経営陣、社員、ユーザーは本来利害が一致しているはずなのに、上場を目指さなければならない中で、会社って誰のためのものかのような議論が生まれたり、歪みが生まれてしまいます。上場を目指すでもなく、バイアウトを目指すわけでもない、第三の手段としてのエクイティファイナンスのような、「株主」兼「ファン」が応援し続けていく仕組みがあっても良いと思うんです。

 例えば、地元に愛される老舗のしょうゆメーカーの経営が傾いてきたときに、地元の人たちが株主となって応援するような在り方です。そのしょうゆの会社がいつか上場するとか、事業を売却するとかは想定せず、自分たち自身で応援していくモデルで、ゆくゆくは配当として、株主だけにしょうゆをプレゼントするとか、株主総会という名の飲み会とかがあっても良いと思うんですね。

 そういった新しい関係性を作る意味での株式投資型クラウドファンディングは可能性があると思っています。

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