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日本AMD:64ビットプロセッサでエンタープライズ市場に切り込む日本AMD (2/2)

 2003年のAMDのゴールは、高性能サーバ/PCの部分でデザインウィンをとりたいということです。AMDがメーカーに対してアピールしているのは、性能と互換性、将来性です。現在、サーバのハードウェアだけでなく、クラスタソフトなどのソフトウェアの設計も進んでいます。これはメーカー/技術者に対してAMDの64ビットプロセッサの将来性が認められたからです。64ビットになればメモリアドレスが拡張されるので、大量のファイルを同時に開いて処理できます。

 まずサーバ市場に入ることが、エンタープライズ市場に食い込むための条件だと考えています。64ビットプロセッサのリリースによって、サーバ市場にインパクトを与え、市場にアピールできると思います。

 AMDがサーバ市場に参入すれば、インテルもサーバ向けプロセッサの価格を下げざるを得なくなるでしょう。インテルはこれまで、ライバルがいないためにサーバ市場で大きな利益を上げ、デスクトップPC向けプロセッサは低価格に抑えるという戦略をとってきましたが、これを変えることができるかもしれません。

ZDNet エンタープライズ向けでは、コンシューマー市場における、対インテルの戦いと違い、RISC陣営とも戦っていかなくてはならないと思いますが、どのような戦略を考えていますか。

ローガン 日本市場では90%弱がIAのNTサーバで、それより上にSPARCなどを搭載したサーバがあります。AMDとしては大きな90%の市場をターゲットにしていきます。

ZDNet まだ64ビット版のWindowsがリリースされていませんが、64ビットプロセッサの本格的投入はリリースを待つということでしょうか。

ローガン いえ、64ビット版Windowsを待つことはしません。サーバやハイパフォーマンスコンピューティング市場では、64ビットLinuxの開発が進んでいますから、(64ビット版Windowsがリリースされていなければ)Linuxを搭載したシステムになるだけです。

 またx86ベースのサーバに関していえば、現在はインテルプロセッサしかないので、みんなそれを使っています。しかし、16ウェイや32ウェイのようなある程度数の多いマルチプロセッササーバでは、インテルプロセッサのシェアードバス方式よりも、AMDプロセッサが採用している(独立したバスを持つ)ポイント・ツー・ポイント方式のほうが、効率よく動作するはずです。この部分は元DECのエンジニアが、サーバで使われることを想定して設計したもので、AMDがサーバ市場に参入する上で大きな武器になるでしょう。

 AMDの64ビットプロセッサを使ったシステムに関しては、メーカーではなくてユーザーから問い合わせが入っており、そういうユーザーに対してはこちらからシステムインテグレータを紹介しています。そういう流れからOEMがハードウェアを作ることになるでしょう。そういう「事例」が出てくることで、ほかの企業への採用も進むと考えています。

ZDNet 低迷が続く日本企業ですが、この再生のためにはどのようなことがポイントになると考えますか。

ローガン 企業をもっと元気にするためには、当たり前のことかもしれませんが、入るお金が少ないなら、出るお金を少なくしなくてはなりません。企業にとってITへの投資は不可欠であり、もっと効果的にお金を使うことが必要ではないでしょうか。そうであれば、同じ価格でPCを1000台買えるか、1200台買えるかは重要です。あるいは、同じ価格ならばより性能の高い性能が求められます。

2003年、今年のお正月は?
家族や友人たちと過ごします。ただやらなくてはならないことが2つあります。1つは2000通もたまった、返事しなくてはいけないメールの返事を書くこと。最初にみんなに謝っておいてから……(笑)。もう1つは、買ってあるけどまだ観ていない20枚ほどのハリウッド映画のDVDを観ること! ホームシアターを作ったので、ダイエットコーラとポップコーンを買って、それを食べながら……(笑)。

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[聞き手:佐々木千之,ITmedia]


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