ITmedia NEWS >
ニュース
» 2015年07月15日 06時00分 公開

有料動画ユーザーの詳細が明らかに:「YouTuberは文化じゃない」「VOD元年はこれから」 Hulu×dTVのキーマン対談 (3/3)

[村上万純,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

「dTV発のヒット作品を出す」「リテラシーが高くない人にどう使ってもらうか」

 本対談の別記事で、日本人向けのレコメンド機能に注力していくことを語った両者だったが、ほかにも乗り越えるべき課題は山積だ。

 特にdTVでは「オリジナル作品の立ち位置を見直し、dTV発のヒット作を出す」と村本氏は強調する。最近ではオリジナルドラマ「新劇の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙」を制作しているが、「いわゆる“大型連動”と呼ばれる一般的な映画と同じくらいの予算でヒット作品を作ることを目標にしている」という。dビデオ時代はテレビで見ていたものをモバイルでも見られるという面をアピールしていたが、dTVにリニューアルしたことでさらにオリジナル作品に注力していく方針となった。

photo dTVのオリジナルドラマ「新劇の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙」

 そのほか、映画「新宿スワン」を劇場公開前に6話に分けて先行配信したのも新しい試みだ。「配信を見た人の半数は映画館に足を運んだ」(村本氏)というように、映画製作会社と協力しながらいい相乗効果を得られている。

 Huluは、日本テレビと共同制作したオリジナルドラマ「THE LAST COP/ラストコップ」により、新たなユーザーがHuluに流れ込んできたという。同番組は初回(episode 1)を日本テレビ系列「金曜ロードSHOW!」で放送し、番組の放送終了直後からepisode 2以降を6週連続でHuluにて配信するという試みを行った。

 だが、同番組をきっかけにして加入したユーザーからカスタマーセンターに寄せられる質問を聞くと、「どうればHuluを見られるのか」に始まり、「スマートテレビとは何か」「iOSとAndroidとは何か」というレベルのものばかり。船越氏は「アーリーアダプターじゃない一般ユーザーは、まさにこれから勝負をしていかないといけないところ」としながらも、まだまだVODサービスの主なユーザーはリテラシーの高い層が大半を占めているようだ。

photo 日本テレビと共同制作したオリジナルドラマ「THE LAST COP/ラストコップ」

「VOD元年はまだ来ない」「YouTuberは文化じゃない」

 Hulu、dTVを筆頭に、「U-NEXT」「GYAO!」「auビデオパス」「UULA」などさまざまなVODサービスが存在するが、船越氏は「2014年をVOD元年だという人がいるが、まったくそんなことはない。まだまだこれから」とバッサリ。

 村本氏も「市場規模的に見ても、まだ導入期ですらない。今は業界内でブームになっているだけで、本当に市場になるのかどうかもまだ分からないという危機感を常に持っている」とあくまで慎重だ。

 VODのライバルはレンタルビデオショップなのか、地上波なのか、YouTubeなどの無料動画なのか。いろんな見方ができるだろうが、船越氏は「地上波とは役割が異なるので取って代わろうとは思わないし、週末にTSUTAYAに行けば分かるように、レンタルビデオショップに行くことは1つの文化になっている」と、それらはVODと併存していく予想を述べた。

 一方で無料動画サービスに対する意見はやや辛口で、「ニコニコ動画がすごいと言われるけど、同時視聴者数で見ると、テレビの比じゃない。視聴率8.6%で失敗だなんて言われるが、1000万人が同時に視聴するなんて通信の世界ではあり得ないですからね」と話し、「今の子供たちにとってはYouTuberがアイドルで、YouTubeばかり見ているけど、いくら面白くても映像文化と呼べるものではない。あれを映像だと思うことは、日本の財産・文化の損失だと思うし、それで満足するような人間を作りたくない」と語気を強めた。

 これに対して村本氏は「新しいメディアができれば、それはバリエーションの1つとして受け入れる必要がある。10代にとっては1つの映像コンテンツであり、そこから新しいスターが生まれるのはしょうがないことではないか」と寛容な態度だった。


 今後の国内VOD市場について、村本氏は「まだ誰が勝つのか分からない状態。ネットビジネスだと勝ち負けがはっきり出るが、まずは部分的にパートナーシップを結んで市場を大きくするところから始めないといけない。各社で特徴があれば、ユーザーは併用する道もある」と、まずはVODを文化として根付かせるところから始める意向を見せる。

 船越氏は「今あるVOD事業者が全部生き残るとは思わず、最終的には2〜3社になる。ビッグ3には生き残りたい」と自身の思いを語った。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.