モバイル端末による「ワイヤレスP2P」、その使い道は?(1/2 ページ)

» 2004年03月26日 20時12分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 多数のワイヤレス端末がP2P接続して、その場でメッシュ状のネットワークを構築する「ワイヤレスP2P」。技術的には実用段階まできているが、どう商用展開するかをめぐって、各社とも知恵を絞っている。

 国内でワイヤレスP2Pのサービス提供を考える、メッシュネットワークスジャパン、スカイリー・ネットワークス、シンクチューブの3社が、それぞれどのような姿勢で事業に取り組んでいるのか見てみよう。

ITSに切り込む? メッシュネットワークスジャパン

 まず取り上げたいのが、メッシュネットワークスジャパン。同社は、3月16日に伊藤忠商事が資本金1000万円を全額出資して設立した新会社だ(3月16日の記事参照)。ワイヤレスP2Pの世界では知られた存在である、米MeshNetoworksの技術を国内に“輸入”し、ライセンス販売する考え。

 面白いのは、同社がITS分野に関心を寄せているところだ。3月11日、12日に開催されたインターネットITS協議会では、車車間通信のデモを行っている(詳細はレポート記事参照)。実際、時速400キロのハンドオーバーも可能だという。

 ただし、ワイヤレスP2P方式は、どちからというと小規模ネットワークを瞬時に構築できる点が強み。自動車のように、広範な移動半径を持つデバイスに搭載するとなると、一定の規模で対応端末(車両)を用意しなければ、そもそも通信が成り立たない。

 現状では各自動車メーカー、カーナビメーカーとも、車に通信機能を付加する取り組みを始めたばかり(特集:発進した「カーテレマティクス」の前途とは参照)。通信方式にしても、PDC方式がいいのか、より高速化した第3世代携帯の通信方式にすべきか、あるいは無線LANを採用すべきかと、市場で模索が続いている段階だ。メッシュネットワークスジャパンの方式が、デファクトスタンダードになる保証はない。

 その意味で、特定の自動車メーカーと提携するなどして、同技術に対応した車両を一定の規模で揃えられるかがポイントとなる。同じくワイヤレスP2Pを手がける、スカイリー・ネットワークスの梅田英和社長は「独自のハードウェアを用意するため、通信の性能は高いが、リスクも高いのでは」と評する。「水面下で、事業者との提携交渉が進んでいるのかどうか」に、注目したいとした。

センシングにかじをとるスカイリー

 そのスカイリー・ネットワークスは、国内で従来からワイヤレスP2Pネットワークの構築に意欲的だった企業。同社は、独自仕様のP2P通信ミドルウェア「DECENTRA」を開発している。

 2002年には、小型のコミュニケーション・ガジェットを試作して(2002年4月の記事参照)、同端末を持ったユーザー同士が無線ネットワークを構築する構想を示した。

 もっとも、その商用サービスは未だ日の目を見ていない。コンシューマー市場の難しさを知った同社は、その後、業務用アプリケーションにDECENTRAの技術を応用することを志向する。必要とする実行メモリが5Kバイト以下と小さい「MicroDECENTRA」を開発して(2003年4月の記事参照)、温度/湿度センサー、電圧/電流センサー、動き検知カメラといった業務用途のセンサーネットワーク端末に搭載を考えているようだ。

 3月24日には、最大256台での通信が可能な「MicroDECENTRA 2.0」をリリース。センサーネットワーク端末「A2SUF-01」、およびこれを管理する業務用アプリケーションをユニ情報開発と共同開発し、ここにMicroDECENTRA 2.0を搭載している。

Photo 写真はA2SUF-01。複数台で形成するメッシュネットワーク内で、1台だけが「ホスト端末」の役割をはたし、ここにデータを集約する
Photo 写真のパトライトは、工作機械の監視用途のもの。異常終了があった際は、赤色ランプが点滅するなどする。ここにセンサーを取り付け、データをA2SUF-01で伝送する仕組み

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