EV-DOが開花に導く、米の3G携帯サービス

» 2004年08月03日 15時53分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米国の3G携帯データサービスに向かうトンネルの出口に見える光は、さらに輝きを増している。CDMAネットワークを基盤にした3G技術の普及が見えてきているのだ。

 競合するUniversal Mobile Telecommunications System(UMTS)技術も前進しているものの、CDMA2000-1x Evolution-Data Only(EV-DO)技術は3G技術の中で、年内に米国で最も広範に導入される可能性が高そうだ。企業顧客が喜んで金を出すにはまだ早すぎるかもしれないが、これはユーザー、特にモバイルワーカーにとって最初の朗報だとアナリストは語る。

 米国の大手CDMAキャリアは、細部で慎重を期しながらも、全米規模のEV-DO導入を進めている。Verizon Wirelessは既に、商用EV-DOサービスをラスベガス、サンディエゴ、ワシントンD.C.で提供しており、年内には3分の1の顧客が同サービスを利用できるようになる予定だと広報担当のジェフリー・ネルソン氏は話している。同社はノートPC用のEV-DOデータカードを販売している。Sprintは同技術の導入を年内に開始し、2005年末か2006年初頭には全米でサービスを提供する計画だ。

 EV-DOは、VerizonとSprintが全米で採用しているCDMA2000-x1技術を基盤としている。CDMA2000-x1の平均データ転送速度はダイヤルアップインターネット接続(56Kbps)と同程度。キャリアはEV-DOモジュールとソフトを既存の基地局に加えることで、転送速度を300K〜500Kbpsに高めることができ、ピークスループットは2Mbpsを超えるとキャリア各社は説明している。これだけの速度があれば十分にビジネスアプリケーションや電子メールを快適なスピードで動かせるとアナリストは話す。

 EV-DOの導入地域が増えれば、企業の社員が移動中に使える新たな機能が広がるだろうとForrester Researchのアナリスト、リサ・ピアース氏。

 「56Kbpsでリモート電子メールを利用するのは楽しい体験ではない。Siebelの製品はこの速度ではまったく機能しない」(同氏)

 企業にとってEV-DOは接続をより容易にし、コストを引き下げるはずだとピアース氏は言う。今は出張先のホテルの部屋で有料のブロードバンド回線を利用している社員が、地元で使っているのと同じEV-DOアカウントで、十分なスピードを得られるようになるはずだ。

 高速携帯アクセスを実現する選択肢はEV-DOのほかにもある。複数の米携帯キャリアが、転送速度220K〜320Kbps、ピークスループット384Kbpsを提供するUMTSの全米展開を進めているところだ。

 先月、AT&T Wireless ServicesはUMTSサービスを4都市で立ち上げた。年内にさらに2都市が加わる予定だ。UMTS顧客はこのサービスに対応した携帯端末を購入できる。EV-DOではまだ対応端末は販売されていない。

 年内にAT&T Wirelessの買収を完了する予定のCingular Wirelessは、UMTS機器についての提案を模索している。別の技術「iDEN」を採用しているNextelは、「WiDEN」という技術により、来年初頭にデータ転送速度を40K〜80Kbpsに拡大する計画だ。同社はまた、広域モバイルブロードバンドシステム「flash OFDM」をテスト中だ。この技術は、3Mbpsの速度を実現する可能性がある。

 米国の3Gサービスにおいては、広範な通信エリアがカギとなり、少なくとも初めはノートPCでのビジネスデータアプリケーションの利用が牽引役になるだろうとアナリストは語る。こうしたサービスは、ユーザーが出張先でもアクセスできるように米国の50以上の大都市で提供されなければ、一般的な企業の役には立たないとForresterのピアース氏は指摘する。

 2002年に韓国でEV-DOサービスが開始されたとき、先陣を切って利用したのはコンシューマーだったが、米国ではコンシューマーが企業に続く形になりそうだとアナリストやキャリア各社は予想している。In-Stat/MDRのアナリスト、クリント・ウィーロック氏によると、同社が最近コンシューマーを対象に行った調査では、3Gマルチメディアサービス、特にストリーミングビデオがコンシューマーを引きつける要素になる可能性があることが示されたという。ストリーミングオーディオとマルチプレイヤーゲームも流行するかもしれないと同氏。

 EV-DOは期待通りのスピードを実現しているようだとウィーロック氏は語る。同氏がサンディエゴでEV-DOサービスを試してみたところ、一貫してVerizonの予測通りの速度が得られたという。

 しかし、別のIn-Statのアナリストは、実際の結果はさまざまに異なるだろうと考えている。同社のアラン・ノジー氏は、「キャリアが宣伝しているスピードは、最高の状況、あるいは少なくとも良好な状況下で出るものだ」と指摘する。実際のパフォーマンスは位置やネットワークの利用ユーザー数に基づくため、少なくともCDMA2000-1xと同程度だろうと同氏は予測している。「少なくとも最初の数年は、それほどスピードは出ないだろう」

 ほかの高速無線サービス、特にWi-FiホットスポットとEV-DOの間である程度の競争が起きる可能性はあるが、キャリア各社はWi-FiをEV-DOの補完サービスとして提供する賢明な策を取るだろうとノジー氏らアナリストは語る。

 「キャリアはWi-Fiだろうが携帯ネットワークだろうが、顧客に自社のワイヤレス通信を利用してもらいたいのだ。最終的にはユーザーには(通信方式の違いが)見えなくなるだろう」(ノジー氏)

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