携帯アンテナ、伸びる、伸びない?(2/2 ページ)

» 2004年10月26日 01時11分 公開
[斎藤健二,ITmedia]
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感度はやはり“伸びるアンテナ”に?

 流行の内蔵アンテナにはデメリットもある。1つは受信感度が悪化することだ。登場以来、携帯電話を使うときにはアンテナは伸ばして使うものだった。伸ばして使うほうが確実に電波を捉えられる。それは今でも変わりはない。変わったのはアンテナ技術の進歩と、基地局が多数敷設されたことで、感度が今ひとつのアンテナでも問題がなくなったことだ。

 「電波状況の悪い場所でも使えるようにしたい。それがアンテナを付けた理由だ」。ある“伸びるアンテナ付き”端末のメーカーは、内蔵アンテナにしなかった理由を聞かれてこう答えた。

 もちろん、内蔵アンテナのほうが明らかに感度が落ちるとは言い切れない。ドコモは、「多少、アンテナの外付け/内蔵、機種によって違いはあるが、ほぼ変わりはない」というスタンス。もちろん、各機種の受信感度は公開していない。

 1ついえるのは、アンテナが内蔵されている付近を持ってしまうと確実に感度が落ちることだ。「P252iS」は、端末上部の取っ手の部分にアンテナを内蔵。一見ストラップを付けられるようにも見えるが、ストラップホールは別のところにある。「金属製のストラップを付けると受信感度に影響が出る。あくまでここはアンテナで、ストラップホールは別に用意している」(パナソニック モバイルコミュニケーションズ)

 多くのアンテナ内蔵機種では、通常の通話スタイルで指がかからないヒンジ部などにアンテナを内蔵している。それでも、持ち方によっては影響が出る可能性がある。ちなみに、どこにアンテナが内蔵されているかは取り扱い説明書に記載されている。

アンテナ内蔵はサイズとのトレードオフ

 内蔵アンテナのもう一つのデメリットは“サイズ”だ。auの新機種「A5507SA」のアンテナは、受話口付近に装備した。「アンテナを外に出せば、ボディサイズ自体をもっと小さくできたが、内蔵させてスマートに見せるほうを選んだ」(KDDIの説明員)。

 内蔵のほうが感度を上げるための工夫が必要になり、スペースと重量を取る。また内蔵したアンテナの近くにカメラなどがあると、カメラにノイズが乗りやすいといった問題もある。ノイズ遮蔽のための工夫も必要になり、重さやサイズに影響してくる。

 各社の話をまとめると、アンテナ形状と感度、サイズの関係は、だいたい下記表のようになるようだ。

アンテナ形状 感度 サイズ
伸びるアンテナ ×
突起アンテナ
内蔵アンテナ ×

 感度とサイズのバランスをどう取るか。伸びるアンテナが感度的には望ましいが、サイズが大きくデザインも難しくなる。かといってアンテナの内蔵も問題が多い。中間として、最近増えているのが「V801SA」や「N506i」などに見られる突起状の“伸びないアンテナ”だ。

アンテナ感度を求める、最新の通信方式

 では、これからアンテナはどんな形状になっていくのか。“デザイン重視”の姿勢から、アンテナを内蔵する端末は増えていくだろう。しかし、逆に最新端末ではアンテナ内蔵が難しくなっていくことも考えられる。

 KDDIの1X WIN(EV-DO)や、ドコモが進めるW-CDMAの改良方式「HSDPA」では、受信感度によって通信速度が変わる仕組みを導入しているからだ(2001年7月30日の記事参照)。これらの通信方式では、受信感度の良い端末にはノイズ耐性の低い変調方式を使って高速にデータを送る。逆に感度の悪い端末に向けてはノイズ耐性の高い──つまり速度の遅い変調方式を使う。

 少しでも通信速度を上げたい、そして周波数を有効利用したい、という観点からは、端末側でもアンテナの受信感度を上げる必要がある。実際、KDDIの1X WIN端末では、CDMA端末には珍しくダイバーシティアンテナを標準採用している(W11Hを除く)(2月13日の記事参照)

 複数の周波数帯を利用する端末が増えているのも、内蔵アンテナ採用を難しくする原因だろう。ドコモはPDC端末で800M/1.5GHzのデュアルバンド対応を進め、最近ではFOMAでも800M/2GHzのデュアルバンド端末を導入する予定(2003年11月25日の記事参照)。KDDIも800MHz帯のほか2GHz帯も利用する端末を投入してきている(10月4日の記事参照)。最近では、900M/1.8G/1.9GHzと複数の周波数帯を持つGSMにも対応する端末が増えてきた。

 デザインか、サイズか、はたまた感度か。トレードオフとなることの多いこれらの関係が、アンテナ形状の未来を決めている。

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