ITmedia 2005年を振り返ってまず感じるのは、携帯電話のジャンルが細分化されてセグメント化が進んだことがあると思います。auの「PENCK」、ドコモの「P701iD」、ウィルコムの“TT”や“DD”に代表されるデザイナーコラボ携帯や音楽携帯が今年の流行でした。フルブラウザ搭載モデルもずいぶん増えましたし、シンプルケータイも気が付いたらたくさん出ています。さらには、ビジネスケータイ、スマートフォン、キッズケータイ、エコケータイ、タフネスケータイ、ワンセグケータイも出ました。端末については何が一番印象に残っていますか?
斎藤 デザイン争奪戦じゃないですけど、デザインに関する争いが今年、全般的に激しかったなあと思っています。
神尾 全般的には、3Gが成熟したという印象が強かったです。セグメント化できるということは、プラットフォームがある程度まとまって開発に余力が出てきたということで、特にFOMAに余力が出たな、と902iシリーズの登場で強く感じました。ようやく3Gでもセグメント化できる状態になった、ということでしょうね。
斎藤 セグメント化の前提は3G技術の熟成とともにプラットフォームの共通化・共有化で、これが非常に進んだ年でもありましたね。FOMAでいえば、NEC製のチップ+OMAPプロセッサというのがスタンダードになって、MOAPのLとSがしっかり載るかたちになっています。その上でアプリックスのJavaVMが動いて、ACCESSのメールが動いて……というように「みんな中身が一緒じゃないか」というようになったのが今年だったと思います。その成果の1つとして、三菱のように、らくらくホンからモバHO!ケータイまで全部同じプラットフォームで作れるようになった、という結果に結びついているんじゃないかと思います。
神尾 クルマの生産と似てきましたよね。車台を1個作って、その派生車種を5、6個は作るぞ、というような。そういうことができるってことは生産体制の成熟なんですよ。これができるからこそセグメント化も起きるし、ユーザーが自分の好みに応じて選べるっていう楽しみも出てくるわけです。あと、デザイナーズ携帯に限っていうと、個人的にはデザインブームの第1期の役割は終わったな、と思っています。
斎藤 ほおー。
神尾 au design projectがスタートしたときに外部からデザイナーを連れてきたのは、はっきり言ってしまえばデザイン全体のクオリティアップをするための「旗」じゃないですか。振るための旗としてデザイナーを連れてきたけれど、全体的にデザインのクオリティが上がってきて、その旗がもうほとんどいらなくなってきた。最近のようにショーケース的にデザイナーが扱われるようになってきたのが、実は携帯デザイン第1期の終了といえるかな、と思っています。
これからはインハウスのデザインの質が問われるようになってきて、デザイナーズ携帯は、本当に一部、クルマでいえばピニン・ファリーナのようなエッジの立ったものが何台か出る、というようになると思う。だから今からデザイナーの名前を使って大々的にやるのは、正直なところ古くさいと思ってます。
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