Nラインは前述のとおり、SIMPURE Nを横から見たときに浮き出るラインだ。バッテリーパックを含む底面部(下ケース)は、このラインより相対的に一段下がって見える――つまり幅が少し狭い――必要がある。
SIMPURE Nは中国で開発、生産した。両氏はサイズをコンパクトに保つため、中国のスタッフとも連携をとりながら検討を重ねたという。特に大きな発想の転換があったわけではないが、「NECが過去に開発したコンパクト端末で培ったノウハウなどを動員して」(安井氏)一歩一歩開発を進めたと説明した。
SIMPURE Nの背面のデザインは、極めてすっきりとしている。ただし、背面ディスプレイがない点は一部ユーザーの批判を浴びるおそれもある。デザイナーの松本氏は、SIMPURE Nの開発当初から背面ディスプレイを入れるかどうかの議論はあったと明かす。
「背面ディスプレイを付けたい、という声もあった。しかしSIMPURE Nはコンセプトありきだ。スタイリッシュにするために、今回は割り切りが必要だと判断した」。背面側(上ケース)にメインディスプレイを入れ、スピーカーを入れ、カメラを入れていくと、サブディスプレイを入れる余地がなかったという理由もある。
「部品は重ならないように並べている。サブディスプレイをメインディスプレイに重ねると、厚みが出てしまう」(前出の長峯氏)
携帯のデザインは、端末を開いたときの表情も重要だ。SIMPURE Nの場合、キーがすべて丸いという特徴がある。
商品企画部マネージャーの山田義昭氏は、キーの押しやすさを考えてキー同士の幅を大きめにとったとアピールする。「SIMPURE Nは、“電話とメールを主に使う”というユーザーをターゲットにしている。メールの文字が打ちにくかったのではいけない」。間違えて押す可能性は、低いはずだとした。
SIMPURE Nの外観は特徴的だが、もう1つ重要なポイントがある。写真を見ると分かるが「クリアキーがない」のだ。このため、モバイルターミナル事業部商品開発部 主任の池田敏治氏は頭を悩ませる必要があったのだが……。その詳細は「NECに聞く「SIMPURE N」後編で紹介していきたい(続く)。
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