“変えるため”にあえて変えなかったあのカタチ――「N703iD」:「N703iD」開発陣インタビュー(2/2 ページ)

» 2007年01月29日 13時56分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
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 ほかにも、開閉時にサブディスプレイにメッセージが流れたり、佐藤氏監修の内蔵コンテンツを増量したりと、演出面でも違いが見られる。こうした相違点も、N702iDで積み上げた要素を一度分解し、もう一度再構築した答えだ。

photophotophoto 色をテーマにしたコンテンツを内蔵するN703iD。開閉ごとにランダムアニメーションする待受画面は、ボディ以上にカラフルだ(左)。ミュージックプレーヤーも、3種類の着せ替えが可能だ(ジャケット画像がない場合)

 「佐藤さんのワーキングスタイルは、ラフを何枚も描いて試行錯誤するのではなく、“必要か不要か”“便利か不便か”“あれば嬉しいか嬉しくないのか”といった、判断を繰り返していく理詰めのスタイル。だから、前モデルのイメージを残しながら、ディティールや機能を掘り下げていける。つまり、進化ではなくて深化させることができたのです」(有田氏)

理想の「黄色」を求めて西へ東へ

photo 理想の色になるまで、試作を繰り返したYELLOWのサンプルパーツ。これらはごく一部で、実際はこの何倍も作られた。右に行くほどより青みが増しているという

 N703iDのカラーバリエーションは、YELLOW、WHITE、NAVY、PINKの全4色。どんな色を採用するかについても、N702iDのカラーバリエーション(RED、SILVER、BLACK、WHITE)から見直しが行われたという。

 「どなたが持っても不自然にならない色としてWHITEは残し、SILVERとBLACKというコンサバな色はNAVYに統合しました。このNAVYは、鮮やかさもあるけど落ち着きもあるカラーです。N702iDで好評だったREDは、YELLOWとPINKに分かれました。どちらもこれまでの携帯には少ない、鮮やかな色です」(藤村氏)

 特にメインカラーのYELLOWには、佐藤氏の強い思い入れがあったという。「この黄色は、佐藤さんが『やるならこの色』とペーパークラフトで作ったカラーモデルを目指したものです。樹脂に塗装した色を、紙に印刷された色に近づけるのに苦労しました」(藤村氏)

 黄色は最も他の色に影響を受ける色だという。工業製品で採用した場合、どうしても素材の色を通しくすんでしまう。そこでN703iDのYELLOWでは、下地として一度白を塗り、その上に黄色を塗装している。

 「同じ色を何回も重ねることは普通ですが、下地となる色を塗って目的となる別の色を乗せることは、最近はあまりありません。N703iD(のYELLOW)では、一手間かけてます」(有田氏)

 「量産を前にして、塗料の配合を変えて何色もの同じパーツを作ってもらいました。全部同じような“黄色”に見えますが、厳密には違う色で見る人が見れば違うんです。佐藤さんがイメージする色になるまで、何色も試してもらいました」(藤村氏)

 また携帯電話では、ボディやダイヤルキー部分・ディスプレイ・端子カバーなど素材の材質も変わるため、同じ塗料で塗っていても、組み合わせた時にちぐはぐなカラーリングになりかねない。

 そこで開発陣は、パーツの製造や塗装を担当する地方の工場を訪れ、端末全体が同じような黄色になるよう、色の調整を繰り返した。しかも、1カ所の工場だけでなく、ほかのパーツを製造する別の生産拠点でも行われたという。

 「色の違いを見るには、朝の光が一番良いそうです。そこで、各パーツの色合わせに行くときは、担当者総出で朝早い列車で東京を出発し、午前中に調整をお願いして夕方には帰ってくる──ということを何回も行いました」(藤村氏)

コラボモデルの今後は?

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 前モデルからコンセプトやデザインを継承し、完成度が上がったN703iDだが、気になるのは今後も同じ路線で開発するのかという点だ。フラットでスクエアなデザインのまま、よりスリムでコンパクトに、さらに高機能になることを望むユーザーは多いだろう。

 「似たデザインであっても、N702iDとN703iDは別の答え、違う“解”なんです。今後も同じアプローチで開発するとしても、必要な要素を分解して積み上げていく途中で、まったく新しい要素が加わる可能性がある。その時の答えがどうなるかは、今はわかりません。ただ、我々の端末が、その時々でベストな答えであることは、間違いないと思います」(有田氏)

 高い支持を得たデザインを捨てることなく、ユーザーが使いたい機能を載せてきたN703iD。今現在、そしてしばらくは一番「正解」に近い携帯電話であることに、違いはなさそうだ。

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