連載
» 2007年08月20日 20時06分 公開

韓国で今話題の、携帯電話向け“自作コンテンツ”とは?韓国携帯事情

韓国では今、プロのクリエイターではなく一般のユーザーが作った“自作コンテンツ”が流行中だ。自作の映像や写真、文章を公開できるネットサービスが急増し、携帯電話でも楽しめるようになった。

[佐々木朋美,ITmedia]

 韓国では最近、とある3姉妹の写真集がSK Telecom(以下、SKT)のインターネットサービス「NATE」を通じて発表された。彼女たちは有名人ではあるが、芸能人ではない。彼女らが有名になったきっかけは、携帯電話で撮ったダンス映像だった。3人がダンスを踊る映像はインターネット上で評判になり、彼女たちはたちまち有名人となったのだ。

 今、韓国では自作コンテンツが大人気だ。この3姉妹のように、自作コンテンツが流行して一般人が有名になるケースが増えている。何かを表現したい人、楽しみたい人、見せたい人などによる、さまざまな写真や動画、文章が、携帯電話からインターネットを通じて大量に発信されている。

王道のCyworld――新サービスも登場

photo LG電子の「LG-SH150」。携帯版Cyworldを利用できる機能を標準で備えたほか、下り最大7.2MbpsのHSDPAおよび衛星DMBに対応しているのが特徴。価格は50万ウォン台(6万円台)

 携帯電話で自作コンテンツを披露するのに、もっとも有名で手っ取り早いサービスといえば、日本にも進出しているSNSサービスの「Cyworld」だろう。携帯版では、自分のスペースである「ミニホムピィ」に文章を書き込んだり、携帯電話で撮った写真をアップロードしたり、逆にPCで表示したミニホムピィ上の写真を、携帯電話に転送し待受画面として設定したりできる。

 人気サービスのため新機能開発も盛んで、3月からは深夜に携帯電話内の写真をミニホムピィに自動転送できる「自動転送サービス」も始まった。また韓LG電子製の最新HSDPA携帯「LG-SH150」(SKT用)には、携帯版Cyworldを簡単に利用できる機能が搭載されており、SKTが携帯電話によるコミュニティ機能に力を入れようとしていることが分かる。

 SKTでは新たに「tossi」という“有・無線連動型”(固定回線と携帯電話を連動したサービスを提供すること)SNSサービスの試験運用を開始しようとしている。このサービスは、自分のtossiスペースに携帯電話から文章をアップロードしたい時、わざわざインターネットに接続してWebサイトを開かずに、tossi専用アドレスにSMSを送るだけで掲載される。

 このほか、複数の仲間のtossiスペースに同時に書き込みできる「共有ポスティング」や、携帯電話の住所録とtossi仲間とを連動して管理し、関係指数(RQ:Relation Quotient)を確認できる「RQ機能」も提供する。RQは仲間の関心事や連絡頻度など、さまざまな指標を通じて自分との親しさを表す1種の“親近度”ともいえるものだ。

 韓国で携帯電話のSNSサービスを利用する場合、インターネットへ接続する手間や、接続料金に対する負担感がネックとなっていたが、SMS送信で書き込みができるtossi方式であれば、ユーザーの負担感は大きく減りそうだ。SKTはtossiの商用サービスを、11月頃に始めるとしている。

動画サービスも開花の兆し

photo 歌やダンス、社会問題など、幅広い分野の多様な動画を取り扱うPandora.TV。韓国のインターネットユーザーなら知らない人はほとんどいない有名サイトだ

 SKTは、テレビ電話の呼び出し中や電話をかけた人の携帯画面に、電話を受ける人が選んだ動画や写真を表示できる「映像カラーリング」サービスを提供している。ここで表示する映像は、SKTの携帯インターネット「NATE」に用意されたものを購入するか、オリジナルの自作素材を使うことができる。

 自作の動画や写真に関しては、NATE上に編集機能が用意されており、動画を30秒以内に編集したり、Flashを使って写真に効果を加えたりすることが可能だ。

 電話の呼び出し中に音楽を聞かせるというサービスならば、日本でも提供されているが、写真や動画に対応するサービスは韓国でも初のことだ。さらにSKTでは今後、動画の編集機能を標準搭載した携帯電話を、2007年第4四半期中に登場させると明らかにしている。携帯電話を使った動画作成と共有サービスの組み合わせは、今後拡大していくことが予想できる。

 また、動画共有サイト「Pandora.TV」は、2007年4月からSKTとKTFの携帯電話でも自社コンテンツを閲覧できるサービスを開始した。Pandora.TVは総動画数が80万件にも及ぶ、韓国最大の動画共有サイトだ。

 携帯電話向けの新サービスは、Pandora.TV上にある動画全てをリアルタイムで閲覧・検索できるのが特徴だ。これまでにも類似したサービスはあったが、コンテンツ数が2000〜3000程度にとどまっていた。またPandora.TVのWebサイト内にお気に入りの動画があれば、これを自分や友達などの携帯電話に転送して閲覧することもできる。

 現在のところPandora.TVの携帯向けサービスは、動画のアップロードが行えない。SKTでは、上り速度を強化したHSUPAネットワークを構築しているが、まだ商用化には至っていない。2007年10月頃にはノートPCなどに差し込んでHSUPA通信ができるUSB型モデム、2008年1月頃にはHSUPA対応携帯電話を発表するとしているので、これと同時に携帯電話からPandora.TVへのアップロードに対応する可能性が高い。

携帯版の自作コンテンツサービスは過渡期

 「YouTube」の人気ぶりを見ても明らかなように、自作コンテンツというのは見る側にとっても見せる側にとっても大変魅力的なサービスのようだ。韓国では今のところPC上で利用するサービスがもっとも盛んではあるが、人気の潮流は少しずつ携帯電話に移行してきている。

 とはいえ、まだまだ過渡期であるため、携帯電話向けに発信されるコンテンツは企業が提供することが多い。例えば、携帯電話向けの自作コンテンツとして、歌手が新作を発表するケースなどが挙げられる。この場合の歌手とは新人が多く、彼らが作った曲や動画を携帯電話に保存して視聴できるほか、着メロとしても配布しているが、広告効果が高いプロモーション活動として、企業が自作コンテンツサービスを使っているわけだ。

 さらに、まざまだ内容に多様さや豊富さが足りない印象がある。キャリアやコンテンツプロバイダーの動きを見ると「動画サービスを利用すればゲームが無料で利用可能」「ポイント追加」といった周辺サービス的な扱いが多い。認知度を高めるために先行する人気サービスと組み合わせる必要があるとはいえ、内容の面白さでユーザーに訴求してほしいものだ。

 インターネット上の自作コンテンツが脚光を浴びてまだ数年。テレビ番組の流用や画質の荒い映像、内容のない作品など、コンテンツの質の低さを指摘する声もあるが、それでも人気が衰えないところを見ると、これまでにない面白さや物珍しさが重要なのかもしれない。携帯電話で本格的に自作コンテンツを楽しむためには、多くのコンテンツを集めるためのインフラや、ソフト・ハードの環境を作ることも当面の課題といえそうだ。

佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。


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