韓国の携帯電話のカラーといえばこれまでモノトーンというイメージが強かったが、最近は豊富なカラーバリエーションをコンセプトにしたものも多く見られるようになった。
Samsung電子の「シークレットカラーフォン」(SK Telecom用SCH-W360/KTF用SPH-W3600)は、一見ダークシルバーなど無難なカラーの携帯電話だが、スライドを開くとカラフルなダイヤルキーが現れる、その名の通り“カラーが隠された”携帯電話だ。
シークレットカラーフォンはマーケティングにも非常に力が入っている。以前Pantech&Curitelのモデルとして活躍していた歌手のBoAら、韓国の人気歌手を起用した「Anyband」というバンドが端末のミュージックビデオを出し、若者の間で話題となっている。さらに、化粧品ブランドの「Benefit」と提携したマーケティングも展開。Benefitの化粧品とポーチ、シークレットカラーフォンがセットとなった限定版を販売している。
Samsung電子は海外でも、若者と女性にターゲットを絞った端末を販売している。2008年1月には、欧州向けに女性用携帯電話の「L310」「L320」を発売。前者はブラック&ゴールドカラーのゴージャス端末、後者は落ち着いたカラーのエレガントな端末だ。
カラフル端末といえば、LG電子が2007年8月に発表した「カラーホリック」(SK Telecom用LG-SC330/KTF用KC3500/LG Telecom用LC3500)が挙げられる。用意されたバリエーションは14色だ。また人気シリーズの「Shine」にも、欧州市場向けにピンク、アジア市場向けにゴールドが登場した。さらに、木目のShine Wood(LG-LB2500H)もLG Telecom向けに販売されているが、ここまでくると“輝く”というコンセプトのShineかどうかも分からなくなってくる。
Pantechからは、とにかくユニークさで勝負する携帯電話がいくつか発表されている。「シューティングスター」(IM-U200)は「2008 International CES」で“Best of Innovation”賞を受賞した。
シューティングスターは、横から見ると2つに折りたたんだ状態でもぴったりと閉じずに、少し隙間があいている。これは流星が落ちる際の模様をイメージしたものだという。星の輪の広がりを表現したダイヤルキーなど、宇宙のイメージが盛り込まれた近未来的な携帯電話だ。
また「ロマンティック・ウェイブ・スリムフォン」(IM-S300)は、見ての通りボタンが波打っている独特なデザインだ。このボタンと、スライドアップすると現れるダイヤルキーは、操作するとライトバイオレット(薄い紫)に光る。恋した際のドキドキ感を表しているのだという。
2007年、Samsung電子が世界市場で販売した携帯電話の台数は、2006年に比べ42%多い1億6100万台。同年LG電子は8050万台を販売して、2006年に比べ27%程度多く販売した。Samsung電子の2007年売上額は63兆1800億ウォン(約7兆1264億円)で、初めて60兆ウォンを超える快挙を成し遂げた。LG電子の年間売上額も40兆8479億ウォン(約4兆6075億円)で、2006年に比べ11%増加した。
こうした実績は、各社の携帯電話部門の好調が支えているとの見方が強い。世界市場においてSamsung電子はNokiaを、LG電子はSony Ericssonをそれぞれ意識し、それぞれのメーカーを超える製品の開発や市場開拓、マーケティングに余念がない。
Samsung電子もLG電子も、プレミアム携帯をはじめターゲット層の感性に響くようなデザインやイメージでユーザーにアプローチしている。Pantechが経営難の後に選択した道は、Curitelよりも高いブランドイメージを持っていた「SKY」ブランドの製品開発に絞ることだった。
こうした傾向は2008年もさらに続くと予想される。それだけに、今後どれだけユニークな携帯電話が発表され、どのようなマーケティングが展開されるのか、大変楽しみである。
プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。
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