KDDI研究所は7月14日、特定エリア向けのワンセグ放送(エリアワンセグ)をIPネットワーク経由で配信し任意の場所で放送する「ワンセグIP/RF変換技術」と、同技術を採用した「ワンセグエリア放送送信システム」を発表した。
エリアワンセグは、特定の場所のみで視聴できる独自のワンセグコンテンツを配信するもので、駅や空港構内での観光案内、美術館や博物館での展示品紹介、店舗でのクーポン提供など、映像と音声及びデータ放送を利用した情報をワンセグ端末向けに配信できるもの。
ワンセグIP/RF変換技術は、ワンセグコンテンツをIPネットワーク経由で配信し、遠隔地において地上デジタル放送規格に準拠したワンセグ信号へリアルタイムに変換する技術。IPネットワークによる配信を考慮し、暗号化機能および誤り訂正(FEC:Forward Error Correction)機能による高い秘話性と、1チャンネルあたり500kビット/秒以下という小さな伝送帯域で高い伝送品質を実現した。またワンセグ送信機には、IPネットワークで発生するパケット到着間隔ゆらぎを吸収する機能や、周波数同期回路を実装し、高品質のワンセグ信号を送信することで、受信端末では安定しや視聴が可能になる。
このシステムを利用することで、IPネットワークに接続可能な場所であればワンセグ放送エリアを展開でき、コンテンツ配信サーバの設置場所も柔軟に決められるという。
また、コンテンツをリアルタイムでワンセグ信号に変換できるため、配信サーバで番組の一元管理や差し替えが容易に行えるほか、IPマルチキャスト技術を用いることで複数のエリアへ同時配信することも可能となる。
従来のローカルでファイル再生を行っていた従来のエリアワンセグ放送に対し、生放送番組の配信や全国規模で展開する店舗などへの同報配信など、ネットワークを介することで新しいエリアワンセグ放送の展開が期待できるという。また、地下街などの電波不感地帯へ地上波ワンセグ放送を再送信することも、技術的には行えるという。
このワンセグエリア放送送信システムは、7月22日から24日まで東京ビッグサイトで開催される「Wireless Japan2008」のKDDIブースで動態展示される。
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