第1回 プリペイド方式のお手軽データ通信サービスをサクっと始めてみた「Doccica」ロードテスト

» 2009年04月17日 17時07分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
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 日本通信が3月23日に発売した「Doccica」(ドッチーカ)は、NTTドコモのFOMAネットワークを利用するMVNOのデータ通信サービスだ。USB接続の専用端末を使う点や分単位のプリペイド方式という課金方法など、同じ日本通信の「b-mobile3G」と共通する部分も多いが、Doccicaはより手軽にデータ通信サービスを利用できるのが特徴だ。

 PC向けのデータ通信といえば、各キャリアから完全定額や2段階定額の使い放題プランが登場しているが、モバイル環境でのネット利用が少ない場合は月々の定額料金の負担が大きくのしかかる。外出先でメールやスケジュールを確認する程度なら、定額プランよりも、プリペイド方式のDoccicaのほうが手軽だ。また体感しづらいパケット課金ではなく、分単位の時間課金というのも分かりやすい。

photo 「Doccica」のパッケージ内容

 b-mobile3GとDoccicaの一番の違いは初期費用の安さだ。ともに定価はオープン価格だが、同社直販サイトではb-mobile3Gが3万9900円、Doccicaが1万4800円と倍以上の差がある。もちろんパッケージに含まれている利用可能時間がb-mobile3Gは150時間(480日間有効)、Doccicaが500分(90日間有効)と違い、後々チャージする場合の単価も異なるので単純な比較はできないが、導入時の負担はDoccicaのほうがかなり低い。

 また公衆無線LANの利用料金が含まれているのも大きな違いだ。Doccicaのユーザーは、ホットスポット/BBモバイルポイント/エアポートネット(成田空港)/FREESPOTを合わせた全国1万5000カ所のサービスエリアと東海道新幹線N700系の車内で無線LANを利用できる。こちらは1度の接続で利用可能時間から30分が引かれるが(FREESPOTエリアでは無料)、時間を気にせず高速なネット接続が可能だ。人口カバー率100%のドコモ網と全国主要都市の無線LANスポットを交互に使えるのも、Doccicaの大きな特徴といえるだろう。ちなみに、DoccicaというネーミングはFOMAか無線LANの“どっちか”を使うことに由来している。

回線契約不要、セットアップも簡単

 Doccica(b-mobile3Gもだが)のパッケージには、専用端末とネット接続の利用権が含まれている。購入する際に回線契約を結ぶ必要はなく、そのため他キャリアの通信サービスのように月額基本料はかからない。2年間といった契約期間の制限も存在しない。90日の有効期間内であれば、使った分だけ利用可能時間が減っていき、足りなくなったらオンラインからチャージする。Doccicaの料金に関しては次回以降のロードテストで触れる予定だ。

photophoto ZTE製のDoccica専用端末。USB端子の上にSIMカード(ドコモのもの)がある。
photophoto ストラップホールもある(写真=左)。最大2Gバイトまで対応のmicroSDスロットが備えられており、microSDを装着すればUSBメモリ的にも利用できる
photo Doccica経由でPCにマウントしたmicroSD

 回線契約は不要だが、使い始めるには携帯電話やPHSからコールセンターに電話して、端末ごとの電話番号を入力する開通手続きが必要だ。Doccicaは携帯電話回線を使ったサービスであり、ISPとしてインターネット接続サービスを提供する。そこで本人確認が取れている携帯電話やPHSから電話を受けることで最低限のユーザー情報を取得し、端末とひも付けているわけだ。固定電話からも開通手続きは可能だが、オペレーターとの個別手続きになる。この手続きから10〜15分後に“開通”となり、有効期間のカウントダウンが始まる。

 Doccicaの端末は、b-mobile3G端末と同じZTE製のものでカラーリングこそ違うがデザインやサイズはまったく同じだ。サイズは26.5(幅)×87(長さ)×12(厚さ)ミリ、重さは約30グラムとUSB接続型の端末としては標準的。ただ、USB端子に装着した場合に周囲の端子に干渉したり、薄型PCの場合はDoccica端末の厚さが邪魔をしてしっかり設置できないこともある。その場合は付属の延長ケーブルを使うといいだろう。

photophoto USB接続型のデータ端末としては標準的な大きさ。とはいえ、ノートPCに装着すると隣の端子を微妙にふさぐ
photo 同梱のUSB延長ケーブルを使えば、隣り合うUSB端子も同時に使うことができる

 DoccicaはWindows Vista/XP SP2以降、Mac OS X 10.4以降に対応しており、WindowsではPCに接続するだけでセットアップが始まるゼロインストールが利用できる。Macに端末を接続した場合は、インストーラーを保存したボリュームがマウントされるのでダブルクリックしてインストールを行う。今回はWindows XP Professional(SP2)を搭載したノートPCでロードテストを進める。

photophotophoto Windows PCなら、端末を接続するだけでセットアップ作業が自動で始まる

クリック1つで接続 気になる速度は?

photo 「bアクセス」のアイコンとウィンドウ

 Doccicaのセットアップが終わると、デスクトップに専用ソフト「bアクセス」のアイコンが現れる。Doccicaの接続と切断、残り時間の確認やチャージはこのbアクセスから行う。Windows標準のネットワーク接続でプロファイルを作ることも可能だが、Doccicaならではの機能はbアクセス経由でないと利用できない。特別な理由がなければ、bアクセスを使うのがベストだ。

 bアクセスのウィンドウは、最小化した状態で「3G」(FOMA)と「WiFi」(無線LAN)、「CHARGE」という3つのボタンと、残り時間を表示する。CHARGEを押すと、料金を追加するチャージのほか電波状況やステータス、各種設定、FAQなど詳細な項目が現れる。やややぼったいデザインだが、分かりやすさ重視ということなのだろう。ちなみにバックグラウンドでの動作はできないので、常にデスクトップに表示されることになる。

photophotophotophoto bアクセスの設定用タブを展開した画面

 早速、平日夜(23時前後)の+D Mobile編集部(千代田区のビル8階)で通信速度を計測してみた。測定サイト「Radish Network Speed Testing」を利用して3回測った平均値は、下りが317.3kbps/上りが368.1kbpsと標準的なFOMA(W-CDMA)の最大速度である384kbpsに近く、同じ条件で計測したイー・モバイルの「D12LC」は下り平均1.504Mbps/上り平均322.4kbpsとかなりの差が出た。ただ、平日深夜(2時前後)の筆者宅(杉並区のアパート1階)では、下り平均1.109Mbps/上り平均369.3kbpsとイー・モバイル並みの速度も記録している。また、上り速度は一貫してDoccicaのほうが高速で安定している。

 Doccicaとb-mobile3Gは、いわいる最大通信速度を一切うたっていない。ドコモのFOMA網を使ってはいるが、帯域を効率的に使うため端末との通信を自社設備できめ細かく調整している。同時に接続するユーザー数やアクセスするWebサービスに合わせて通信速度を変えることで、低コストのサービス提供を実現しているのだ。

 次回のロードテストでは、Doccicaの通信速度についてもう少し詳しく調べてみたい。

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