「iPhone 3GS」の国内発売日が迫ってきた。
周知のとおり、6月26日の午前7時には、ソフトバンクモバイルの旗艦店であるソフトバンク表参道と、全国のアップルストアでiPhone 3GSの販売が始まる。その後、全国のソフトバンクモバイル取り扱い店舗にて、この新しいiPhoneを手にすることができる。
海外に目を向ければ、すでに米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スイスの8カ国では6月19日に発売ずみ。発売から3日後の21日までに100万台を販売するという快進撃を続けている。
iPhone 3GSは、iPhone 3Gに比べてどれだけ変わったのか。また、その魅力はどこにあるのか──。日本発売に先立ち、筆者はiPhone 3GSをいち早く日本で試す機会を得たので、そのインプレッションをお届けしたい。
iPhone 3G発売から約1年を経て市場投入されるiPhone 3GS。既報のとおり、この商品名に新たに付け加えられた“S”は、“Speed”を意味する。今回のiPhone 3GSでは大小さまざまな機能強化や性能向上が行われたが、その中でも最も重要なのが「スピード」というわけだ。Appleのアナウンスによると、iPhone上で動作する機能すべての領域で、平均して約2倍の高速化が実現できたという。
このスピードの恩恵は、iPhone 3GSを使うとすぐに、そして強烈に体験できる。個々のアプリの起動が段違いに速く、快適性がケタ違いに向上しているのだ。
とりわけ高速化の恩恵が感じられるのが、日本語入力の部分である。iPhone 3GでもiPhone OS 2.2以降は必要十分な速度で動いていたが、アプリの起動直後などは一拍おいてから日本語入力モードが起動するといった感じだった。しかし、iPhone 3GSではアプリを起動するとすぐに日本語入力モードが動き出し、サッと文字をタイプし始めることができる。これはメールやSafari、メモといったiPhone 3GS標準搭載のアプリだけではなく、App Storeから追加したサードパーティ製のアプリでも同様である。
iPhone OS 3.0から新たに実装された「Spotlight検索」も、高速化の恩恵が大きい部分だ。Spotlightでは検索キーワードを入力しながらインクリメンタルサーチ(キーワードの部分一致による随時検索と結果表示)が行われるのだが、この動作がiPhone 3Gより格段に速い。さらにSpotlight検索画面の呼び出しや、メールや連絡先内での利用など、すべてにおいて“サッと検索できる”スピードを実現している。先のコラムで筆者は、スムーズかつ強力な検索機能は「ケータイの使い方を変えるポテンシャルがある」と書いたが、その部分がスムーズに使えるのだ。
そしてもう1つ、見落としてはならないのが「機能連係」における高速化のメリットであろう。
iPhone OS 3.0ではコピー&ペーストの実装だけでなく、搭載している各アプリや機能の連携性が高められている。例えば、メールの署名やスケジュールの中に「住所」や「郵便番号」が書かれていれば、そこが自動的に認識されてリンク表示され、指でタップするだけでマップ上で位置確認することができるようになった。アプリ同士の“横の連携”がスムーズにできるようになっており、それにより、「操作が分かりやすく、誰もが自然な感覚で使える」Apple流の優れた使い勝手が一段と底上げされているのだ。
こうした連携性の向上は、むろんiPhone 3G上のiPhone OS 3.0でも実現されている。しかし、キーワードの自動認識やアプリ間の切り替えは、すべてがすばやいとは言い難かった。例えば、住所であれば一瞬の間があってから認識されるといった具合だ。これがiPhone 3GSだと、メールやスケジュールなどの本文認識が表示と同時に終わり、アプリ間の切り替えや連携もスムーズに行われる。アプリ同士がシームレスに連携するというメリットが、より引き立つのだ。
このようにiPhone 3GSにおける高速化の恩恵は、ブラウザーや一部の“重い”アプリやコンテンツ利用にとどまらず、日常的に使うすべての領域に浸透している。性能向上が実用性や快適性の底上げにダイレクトにつながっている。その手応えがあるのだ。
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