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» 2009年06月24日 23時01分 公開

もうiPhone 3Gには戻れない──iPhone 3GSは「iPhoneの世界」を加速する(2/3 ページ)

[神尾寿,ITmedia]

性能・機能ではなく、使い方で勝負するカメラ

 高速化以外のところにも目を向けてみよう。

 スピード以外で、iPhone 3GSで強化されたポイントは主に3つ。「カメラ」「音声コントロール」「デジタルコンパス」だ。今回はその中でも注目度が高いカメラと音声コントロールを中心にテストをした。

 この中でカメラ周りは、高速化に並んでその進化が実感しやすいところだ。とはいえ、スペックが豪華というわけではない。画素数は300万画素で、オートフォーカス(AF)に対応。シームレスなマクロ撮影もサポートしている。これらはカメラ機能を重視した他メーカーの携帯電話と比べると、「凡庸なスペック」にすぎない。豊富な機能や細かな設定・調整に対応しているわけでもなく、シーンモードはもちろん、露出やホワイトバランスの設定項目すらない。これはiPhone 3Gでもそうだったのだが、基本的にすべて「オートで使う」カメラである。

 この拍子抜けするほどあっさりしたカメラが、実際に使ってみると、意外と便利で心地よい。フォーカスを合わせたい場所を指でタップすると自動でピントと露出を調整し、あとは画面上のシャッターボタンに触れるだけ。ユーザーは何も意識しなくても、屋外でも室内でもきれいな写真が撮れる。

 この簡便さは、新たに実装された「ビデオ撮影」でも同様である。静止画モードとビデオモードは、撮影時にスライダーで切り替えて利用でき、ビデオモードも細かな設定はなくオートで撮る。そして、静止画を撮るときと同様、iPhone 3GSの自動設定任せできれいなムービーが撮影できる。

 誤解を恐れずに言えば、iPhone 3GSのカメラやビデオ機能は、専用のデジタルカメラやデジタルビデオカメラを“目指したもの”ではない。誰でも手軽に、それなりにきれいな写真や動画を撮影することを優先し、“お任せできれいに撮れる”オート機能の部分にテクノロジーが注ぎ込まれている。また、撮影後の動画を簡単にトリミングする機能が用意されているなど、多くの人が気軽に使えるカメラやビデオカメラとして作られているのだ。

 そして、撮影した写真や動画の活用という部分でも、iPhone 3GSは豊富な機能を用意している。写真や動画はメールやMMSへの添付はもちろん、MobileMeやYouTubeを使って共有や公開ができる。また今後は、この強化されたカメラやビデオ機能を活用したアプリも豊富に登場してくるだろう。こうしたサービス連携や追加アプリでの活用など踏まえると、iPhone 3GSの強化されたカメラは、ユーザーにとって使いでのある新装備と言えるだろう。

PhotoPhoto 左がiPhone 3GSで撮影した作例、右がiPhone 3Gで撮影した作例。解像感が高いのはもちろんだが、コントラストや発色もかなり改善されているのが分かる
PhotoPhoto 左がiPhone 3GSで撮影した作例、右がiPhone 3Gで撮影した作例。iPhone 3GSでは、ドリンクのふたの部分にピントと露出があっているため全体的には暗めに写ったが、従来よりかなり近くまでピントが合うことが分かる。iPhone 3Gのカメラで同じ距離から撮ると、机の中ほどでないとピントが合わない

連絡先連携は予想以上に使える!? 音声コントロール

Photo 意外と使える音声コントロール

 高速化やカメラの進化に比べると、多くのユーザーが、その有用性にやや不安を感じるのが「音声コントロール」だろう。なぜなら、これまでもカーナビや携帯電話に音声認識・コントロール機能は度々搭載されてきたが、万人を納得させられるプロダクトは存在しなかったからだ。筆者自身、多くのカーナビや携帯電話の音声コントロール機能を試してきたが、“それなりに”実用的なレベルのものはあっても、多くの人が納得し、本格普及させられるプロダクトには出会えていない。そのくらい音声認識・コントロールは難しいのだ。

 では、iPhone 3GSの音声コントロールはどうなのか。

 結論から言えば、“条件的に合格点”というレベルである。iPhone 3GSでは「電話」と「iPod」の2つの機能で音声コントロールが使えるが、前者の電話に関しては、これまでの音声認識機能と比較してもレベルが高く、実用的になる。一方でiPodでの音声コントロールは、少なくとも日本語環境下では発展途上であり、改善の余地が大いにある内容だった。

 具体的に見てみよう。

 iPhone 3GSの音声コントロールは、本体の[ホーム]ボタンの長押しか、リモコンのスイッチを長押しすることで、音声認識モードが起動する。画面上にはマイクからの音声入力を示す波形パターンを模したグラフィックが表示されるほか、バックグラウンドで認識できるコマンドが文字で流れており、「こういうキーワードが認識されるんだ」とユーザーが自然と分かるようになっている。

 音声認識は、自然言語まではいかないものの柔軟性が高く、「**さんに電話をかける」といったつながりをもった文章でも認識する。助詞のゆらぎも認識しており、「ちゃん」や「さん」、「先生」といった敬称がついても認識できる。そのほかにも、「鈴木に電話をかける」といった場合に候補が複数いると、その候補をフルネームで読み上げて聞き返してくるなど、ある程度の対話性も持つ。認識可能な言葉の自由度という点では、かなりがんばっていると言える。

 しかし、その一方で、日本語環境ならではの注意点や条件もある。

 まず、電話での音声コントロールでは、「連絡先」の情報で、「姓」と「名」の読み仮名がきちんと登録されているのが、正確性を高める条件になる。読み仮名がなければ漢字の読みを解釈するのだが、音訓の判別が人間並みとは到底いかず、失敗率は格段に跳ね上がる。また、会社名や外国人の名前を登録している場合も、読み仮名は日本語で登録しておかないと、うまく認識しなかった。音声コントロールを活用するには、どれだけ「きちんと連絡先を登録しているか」が鍵になりそうだ。逆にいえば、この読み仮名の登録さえしっかりしておけば認識率はかなり高い。付属のイヤフォンで音楽を聴きながら、iPhone 3GSはポケットの中のままで電話をかけるといったことも実用的にできる。いちど試してみると、“音声コントロールは使い物にならない“という先入観が吹き飛ぶはずだ。

 次にiPod(音楽機能)での音声コントロールだが、正直これは発展途上で、実用性はいまひとつだ。iPodでは曲名やアーティスト名、プレイリスト名を使って音声認識をするのだが、元データに読み仮名が存在しないので、失敗しやすい。筆者が試した範囲でも、アーティスト名の漢字の読み方を間違えていたり、発音がおかしいなどで認識しない例がかなりあった。さらに曲名やアーティスト名が日本語ではなく、英語や和製英語が使われている場合は、さらに認識率が落ちてしまう。iPodでの音声コントロールは、「再生」や「ストップ」など基本操作程度での利用で考えておき、あまり期待しない方がいいだろう。

 デジタルコンパスによる「コンパス」アプリは、方向感覚に自信がない人には福音と言える。起動するだけで現在地を測位してくれ、方角を指し示してくれるので、道に迷ったときにも重宝するだろう。マップと連携して、「自分が今どちらを向いているのか」を正確に画面上に表示してくれる機能も便利だ。

Photo コンパスは電子コンパスにより方位を指し示してくれるアプリ。磁北と真北のどちらを差すかは設定で選べる

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