ケータイの基地局よりも“小さくて速い”――UQの基地局を見てきた:旧ツーカーの跡地も

» 2010年03月19日 21時27分 公開
[田中聡,ITmedia]

 UQコミュニケーションズが、同社の基地局見学ツアーを3月19日に実施し、KDDI大手町ビル(東京都千代田区)屋上の基地局を公開した。同ビルの屋上には3セクタ方式のアンテナが3本設置されており、各アンテナが120度の方向へ電波を発射することで、360度カバーしている。1つのアンテナは半径約800メートル(1.6キロメートル)のエリアをカバーする。

旧ツーカー基地局の跡地も利用

photo 左と中央にあるものがSamsung電子製の基地局装置。中央の小型の装置の方が新しいバージョン。この2つの装置が、壁面の2つのアンテナをカバーする。右にあるものは光ファイバーと電力装置で、1局につき1機が設置されている(写真はすべてUQコミュニケーションズ提供によるもの、以下同)

 基地局ではアンテナ1本につき1つの装置が必要になる。この装置にはSamsung電子の製品を採用しており、サイズの異なる2製品を設置していた。小型のものが最新版で、基本的な性能は同一となる。また、UQはNEC製の基地局装置も採用しており、こちらも性能や仕様はSamsung電子製品と同じだが、コストはNEC製の方が安い。同社 渉外部 課長の伊藤泰成氏は、「競争していただく目的も含めて(複数メーカーの装置を)導入している。製品数が増えれば価格が安くなることも期待している」と狙いを説明する。このほか、基地局には光ファイバーと電力装置、GPSアンテナも設置されている。

 UQの基地局装置は、携帯電話の基地局に比べて小型であることも特筆すべきポイントだ。音声通話をする携帯電話の場合、基地局に予備バッテリーを持つことが法律で定められているが、UQはデータ通信のみなので、法律上は予備バッテリーを持つ必要はない。とはいえ、「ニーズによっては将来的に予備バッテリーを持つ可能性もある」とのこと。

 3本のアンテナのうち2本はビルの壁面に設置し、もう1本は旧ツーカーの跡地を利用したものを地面に設置。上部を撤去して新たにUQのアンテナを付け替えたという。旧ツーカーのアンテナは東名阪では優先的に使用しているが、跡地利用できないビルもあり、実際は半分ほどしか使われていないそうだ。「ビルのオーナーが建て替えをしたり、基地局を設置できても光ファイバーの通信回路を引けない場合などは利用できない」(伊藤氏)

photophotophoto 壁面に設置されたアンテナ。左右にあるものがUQのアンテナ
photophoto 旧ツーカーの基地局設備を利用したアンテナ。アンテナ自体は上部にある

京都は“景観条例”がネックに

 地域によって基地局の設置方法が異なる点も興味深い。例えば京都の場合、景観条例により、新規に基地局を設置する場合、建物の屋上からアンテナが突起することは、角のように見えて景観を損ねるとの理由から禁止されている。「京都では壁面にアンテナを設置しているが、アンテナの重量に耐えられるほどの強度が壁面に必要となるので、物件によっては制限が出ることもある」と伊藤氏は苦労を話す。

 地方では、山林に鉄塔が乱立することが景観を損ねるとの理由から、基地局をKDDIの鉄塔に併設したり、NTTと交渉して同社の鉄塔に設置させてもらうこともあるという。このほか、街並みやビルの看板に合わせてアンテナに色を塗ったり、沖縄は台風が直撃することが多いので、台風速に耐えられる太いアンテナを採用したりもしている。

 屋外の基地局は、災害時のトラブルが懸念されるが、これまで災害によりUQの基地局が利用できなくなるトラブルは起きたことはない。伊藤氏によると、基地局が利用不可になるのは、停電か、光ファイバーのケーブルが切れた場合だという。それ以外のケースでは、「ビルが倒壊しない限りは問題ない」とのこと。

JR東日本の駅のエリア化を推進、地下はこれから

 UQは、屋内でも電波を受信するためのレピーター(中継装置)も開発している。地下については「レピーターを設置したいが、現在はWi-Fiサービスで代替している」(伊藤氏)状態だ。また、UQはJR東日本が株主ということもあり、JR東日本の駅のエリア化を進めているほか、新型成田エクスプレスには、車両用のWiMAX-Wi-Fiレピータを設置している。「今後は長距離の電車や、駅の広告や看板に無線装置を入れることも進めていきたい」と伊藤氏は意欲を見せる。

 ともあれ、「まずはお客さんのニーズに応えられるほどの基地局を増やすことが重要」と伊藤氏はみる。UQ WiMAXの基地局は当初の予定を上回るペースで建設が進められており、2010年2月末に5985局、3月末までに合計で7000局が開設される予定。「最初は1カ月に数10局ほどだったが、今は300〜400局を建設できている」と伊藤氏も建設スピードが上がっていることを実感。建設で一番時間がかかるのはオーナーとの交渉で、ビルの荷重計算などの建築確認も一定の時間を要する。ただ、工事自体は2週間程度で完成するので、携帯電話の基地局と比べると、半分ほどの期間で完成する。


 UQの基地局装置やアンテナは、2月26日に同社が開催した「UQコミュニケーションズサロン」でも公開されたが、実際に設置されているものを間近で見るのは(筆者は)初めてだった。基地局への立ち入りには身分証明書が必要、写真撮影は禁止で、ヘルメットの着用が必須であることなど、微妙な緊張感があったが、普段目にする機会の少ない貴重な設備を見学したことで“UQの中身”を垣間見られた気がした。

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