ソニーといえば、クールなデザイン、となる。スマートフォンのメーカーは多いが、その内部を構成する電子部品のバリエーションは限られている。自動車に例えるなら、エンジンは共通で、ボディで勝負しているようなものだ。電子製品のデザインで優劣を決するなら、PCのボディを透明にした斬新なiMacのアップルと、ポケットやカバンにしまっておくのはもったいないデザインのウォークマンなどを手掛けるソニーの激戦となるだろう。
現代のスマートフォンにおける基本的なレイアウトは、デバイスの幅と奥行きにほぼ相当しそうな面積となった液晶ディスプレイとタッチパネルが正面を占め、内部には可能な限り大きなバッテリーを搭載し、残ったスペースに基板と電子部品を配置する。そこに実装する電子部品だけでなく、差別化を図るべき外観も似ている。こうなるど、防水対応にするとかボディの素材や形状を微妙に変えるなど、メーカーが独自に工夫できる分野は限られてくる。
ソニーは、ボディの素材やデザインの面で常に新しい技術に挑む開拓者だった。Xperia arcでは、端末裏側をストンと切り落とすのではなく、橋のようなアーチを描くデザインにした。ソニーのカセットテープ「METAL MASTER」と同じくボディにセラミックを使用して冷たい石のような質感を実現したXperia NX もある。また、Xperia sola のように、タッチパネルに触れずに操作可能な端末をリリース(日本では未発売)したのもソニーだった。
そのソニーが長期に渡って協業してきた欧州の端末メーカーEricssonとの合弁を解消して、その第一弾として登場するXperia Zにどんな変化が生じるのか、ユーザーや関係者が注目した。
そのソニーが「Z」の名を冠したスマートフォン「Xperia Z」を発売したのは2013年2月9日だ。ディスプレイは5インチで、ボディの形状は角が丸い長方形となった。周縁部は直角で、ボリュームボタンなどを側面に配置する。
Xperia Zのバッテリーはリチウムイオンポリマーでソニー製だ。容量は3.7ボルトの2330ミリアンペアアワーで、LTEモードにおける待機時間は420時間になる。このバッテリーはユーザーによる交換ができない。作業費用9345円を支払ってソニーに交換してもらう。バッテリーを覆うカバーは、ほかの機種のように手で外れるようにはなっておらず、両面テープで固定している。それゆえ、この連載では定番の家庭用ドライヤーを早くも投入した。カバーの角を十分に熱すると枠から浮き上がるので、アルミ製の定規を差し込んでその両側を加熱する。この作業を定規を少しずつずらしながら行い、これを1周させるとカバーが浮き上がる。はがしたカバーにはシート状のRFID/NFCアンテナが貼りつけていた。(記事掲載当初、バッテリー交換の作業費用に誤りがありました。おわびして訂正いたします)
今回分解した国内モデルとは別に、欧州モデルも分解したことがある。裏蓋を取り外すときに工業用ヒートガンを使用したところ、使い慣れていなかったせいもあって、プラスチック部が変形してしまった。ヒートガンは短時間で両面テープを柔らかくしてはがしやすくするのに利用するが、熱風の温度はかなり高温になるので、部品の破損や火傷に十分な注意が必要だ。
カバーを取り外すと、上部にメイン基板、中央に大きなバッテリー、そして、下部にスピーカーやアンテナを埋め込んだ黒いブロックがある。両面テープで固定しているバッテリーを取り外すが、リチウムイオンポリマーバッテリーの外装は。レトルトパウチ食品と同じアルミ製で柔らかく破損しやすい。ドライバなどで力任せにはがそうとするとバッテリーが損傷する可能性がある。損傷したバッテリーは急激な発熱や発火など爆発的な反応を起こす恐れがある。バッテリーの取り外し(というか取りはがし)は、幅の広いプラスチックの定規などでゆっくりと行うのが安全だ。
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