Qualcomm、Snapdragon 800で向上した性能をアピールSnapdragon 800 Workshop in 北京(2/2 ページ)

» 2013年07月02日 19時19分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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LTEモデムは“Advanced”対応で省電力省スペース

 中国Qualcomm プロダクトマーケティング スタッフマネージャーのレオ・シェン氏は、Snapdragon 800シリーズが統合するLTEモデムについて紹介した。

 シェン氏は、Qualcommの優位性として、世界各国で採用する通信方式、周波数帯、通信規格のほとんどに対応していることを挙げる。LTEモデムでは、登場当初はLTEのデータ通信にのみ対応していたが、LTEのデータ通信に加えて2Gと3Gの音声データに対応、さらに今後は、LTEでVoIPを利用するデバイスが主流になるという。

 現在、世界各国でLTE VoIPの運用を開始、または、検討段階にあるが、そこで利用している通信方式は、LTE Voice Modesで17形式も存在し、利用する周波数バンドも40帯域に及ぶ。シェン氏は、Qualcommは、Cellular Standardsの7方式に加えて、LTE Voice Modesのすべてに対応できることを優位点として訴求する。

LTEでは、データ通信とともにVoIPで音声通話サービスをカバーするのがトレンドとなりつつある(写真=左)。QualcommのLTEモデムは、世界で使用しているCellular Standards、LTE Voice Modesをすべてカバーしており(写真=中央)、それが、競合に対するアドバンテージとなっている(写真=右)

 さらに、Qualcommでは、2012年にLTEモデルをSnapdragonに統合した“第2世代”LTEソリューションを投入したが、2013年には、LTE Advancedに対応した“第3世代”LTEソリューションをSnapdragon 800シリーズに統合した。

 その第3世代LTEモデムとなるGobi MDM9x25シリーズの1つ、MDM 9215では“競合”のモデムチップと比べてハンドオーバーに失敗する確率が10パーセント改善したほか、転送レートが、LTEデータ通信で54パーセント、3GのMSDPAで51パーセント向上している。また、消費電力も競合製品と比べて、LTE接続時でアイドル状態の消費電力は215パーセント、データ通信時でも75パーセント、また、HSDPA接続データ通信時でも90パーセント以上改善した。

 ダイ面積は、同じ帯域をサポートするコントローラと比較すると、競合チップはMDM9215の2.5倍のフットプリントになる。また、競合チップを実装したドングルの温度は、オープンケースの場合MDM 9215を実装したドングルより21.6度高くなり、冷却効果が高いクローズケースの場合でも17.4度高くなったことを、サーモグラフィを使った測定結果とともに示した。

Snapdragon 800シリーズに統合するのは、LTE Advancedに対応した第3世代のLTEモデムだ(写真=左)。競合モデムと比べて高速転送、省電力、省スペースとなり(写真=中央)、発熱も抑えている(写真=右)

mini ITXなDragon Boardなど開発サポートも充実

 スマートフォンユーザーには直接関係しないが、Qualcommは、「Dragon Board」という開発者向けのキットも用意している。Snapdragonを実装したシステムボード(System On Module:SOMと呼ぶ)は専用のコネクタに装着する形で差し替えが自由になっており、mini ITXフォームファクタに準拠したサブボード(Carrire Board。フットプリントはCarrireが大きい)には、周辺機器や外部デバイスとのインタフェースを用意して、ディスプレイや各種センサーを接続してスマートフォンを想定した開発環境を用意できる。OSも事前にAndroidを導入してある。

 Snapdragon 800シリーズを実装したSOMと、そのSOMを装着したDragon Boardは間もなく出荷する予定だ。プロセッサーはモデム機能を統合していないAPQ8074で、2GバイトのLODDR3メモリと16GバイトのeMMCを実装する。無線接続は2.4GHzと5GHzに対応する無線LANアンテナ、Bluetooth 4.1、GPS、NFCを利用できるほかに、拡張センサーを実装するピンヘッダ、ハードウェアキーやLDEインジケータも用意する。バックパネルには、2基のUSB 3.0と2基のUSB 2.0、ギガビット対応有線LAN、シリアル、HDMIにDisplayPort、micro USBなどを備える。

 ワークショップ会場では、3G描画能力などを訴求するゲームデモや4Kクラスの動画コンテンツの再生と撮影を実際に行うブースを設けて、Sanpdragon 800シリーズで大幅に向上した処理性能を紹介していた。

ワークショップ会場に展示していたDragon Boardには、MSM9074を実装したSOMを差していた(写真=左)。会場には、このほかにも、Snapdragon 800シリーズで向上したグラフィックス性能を訴求するゲームブース(写真=中央)と、4K動画キャプチャーブース(写真=右)を用意していた

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