これだけ画面が大きくなりながら本体が厚くなってしまうと「野暮ったく見えてしまう」(市野氏)ので、薄さも追求した。Xperia Z Ultraの6.5ミリは、7.9ミリのXperia Zより約1.4ミリも薄く、その薄さがいっそう際立っている。「Xperia ZやXperia Tablet Zのオムニバランスデザイン、細さ・薄さを強調するフラットなパネルを踏襲しつつ、それらをさらに研ぎ澄ませていくことで、フルHDスマホでは世界最薄を実現しました」と市野氏は胸を張る。
一見すると「大きなXperia Z」という印象のXperia Z Ultraだが、Zにはないデザイン要素も取り入れている。それが、側面に用いた「ヘアライン」と「サンドブラスト」だ。カラ―&マテリアルデザイナーの金田氏によると、側面にヘアラインを加えたことで、薄く見えることに貢献したという。
Xperia Zでは側面のカーブが少なかいが、Xperia Z Ultraでは左右の側面をカットしてカーブをかけることで、より手になじむよう配慮した。このカーブの部分にはサンドブラスト加工を施しており、「光の拾い方と反射の仕方が(ヘアラインの面)と違う」(金田氏)という。
ボディカラーもXperia Zと同じPurple、White、Blackの3色だが、色味を微妙に変えている。Purpleは「マジックアワー(日没後の薄明かり)を目指したZよりも、さらに夜に近い、トワイライトの時間」(金田氏)を目指した。「ほんの少しの光を残して、ドラマチックに空を染めていくような、闇の手前の、まだ色が残っている夜のイメージを出しました。側面は、艶やかさや華やかさを出すために、明るい紫にしています」(同氏)
Blackは、青みがかっていたXperia Zに対し、Xperia Z Ultraでは「ニュートラルな黒」を目指した。「側面には、月明かりで光る海のような青っぽさを入れています」(金田氏)
Whiteも、Zでは青みがかかっていたが、Z Ultraでは「ピュアな白」にした。「雪の日の白い空気感があって、ほのかに光っている優しい雪の白さを目指しました。側面にシルバーを入れることで、優しい白に対してコントラストを付けて、緊張感を与えています」(金田氏)
Xperia Zでは、BlackとWhiteには薄い金属膜をコーティングする偏光蒸着を、Purpleには偏光パールを使うことで、光の当たる角度によって色が変わる仕掛けを用意したが、Xperia Z Ultraではこれらの処理は施していない。その意図を金田氏は「大画面なので、ライフスタイルにしっとりとなじむようにしたい。(Z Ultraには)いろいろなアクセサリーがあるので、世界観を広げるという意味でも、ニュートラルに寄せる表現にしました」と説明する。
細かいところでは、背面中央にあるロゴは、Xperia Zは「XPERIA」だったが、Xperia Z Ultraでは「SONY」に変更されている。これは「ソニーのメインブランドをより強く打ち出していきたい」(市野氏)という狙いのため。電源キーを、背面のSONYロゴと同じライン上に設けたのも、密かなこだわりだ(Xperia Zも電源キーの直線上にXPERIAロゴがある)。
(続く)
※次回はトリルミナスディスプレイ for mobileとX-Reality for mobile搭載の背景を聞きます。
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