NTTドコモ代表取締役社長の加藤薫氏は、10月25日に行なわれた2014年3月期第2四半期(4月〜9月)の決算説明会において、ドコモグループ25社の再編を2014年度第2四半期以降に実施すると表明した。
dマーケットに代表されるスマートフォンやタブレット向けのメディア・コンテンツ事業、EC事業、金融事業、健康・教育事業など、いわいる新領域の拡大に向け、意思決定の迅速化と事業運営の効率化を目指す。また法人向け営業の強化も念頭に置く。加藤氏は再編について、「現時点でなにか弊害が出ているわけではないが、同じ組織が長期間に及ぶと保守的になりがち。事業構造の変革と再構築に備えて変えていきたい」と説明した。
またABCクッキングスタジオの持株会社であるABC HOLDINGの買収や、東京大学と「MOOC」(Massive Open Online Courses:大規模公開オンライン講座)の事業性について協力関係にあることも触れ、「ICT連携を通じて学びにモバイルのイノベーションを持ち込みたい」とその狙いを語った。ドコモでは2015年度末に1兆円の新領域収入を目指している。
同日発表されたドコモの2014年3月期第2四半期(4月〜9月)決算は、営業収益は前年同期比0.4%減の2兆1990億円、営業利益は前年同期比0.4%増の4732億円と減収増益だった。
上期はツートップ戦略による「メリハリのある販売施策」(加藤氏)とコスト削減により、20億円の営業利益を確保。四半期純利益は145億円増となった。端末総販売台数は1047万台(上期中)で、うちスマートフォンが632万台。スマートフォンの端末販売はほぼ前年なみだが、比率は60%に上昇している。加藤薫氏は、「ツートップ戦略でフィーチャーフォンからの乗り換えがかなり進み、効果的だった」と振り返る。
スマホ比率が高まったことでLTE通信サービス「Xi」の契約も増加、パケット収入も伸びた。ただし、新規の端末販売や純増数は伸び悩み、解約率やMNPの転出もほぼ横ばいだった。加藤氏は、「上期はかんばしくなかったが、下期はiPhoneや冬春モデルの投入で端末販売の回復を目指したい。スマートフォンの年間販売目標(1600万台)は据え置く。また、純増数・解約率も改善させる。MNPはiPhone発売で転出が33%から54%へ改善傾向にある」と説明。MNPについては、過去にドコモから転出したユーザーに適用される「ドコモおかえり割」が広く認知され、実際に購入の後押しになっていると明かす。
ドコモ初のiPhone販売については、「やや品薄の状況で、取り扱い店舗数も少なかった。体制が十分ではなかった面がある」と振り返った。iPhoneを取り扱うドコモショップは10月28日時点で約2350店舗と、ほぼ全国のドコモショップに広がった。加藤氏によると、ドコモのiPhoneを購入したユーザーの76%がエリアを評価。また、iPhone専用コールセンターを設置するなどし、満足感を高めたという。
一方のAndroidについて加藤氏は「圧倒的な販売数」と評価し、「下期はAndroidのラインアップ拡充とiPhoneの投入で、競争環境が大きく変わる。料金・チャネル、デバイス、ネットワーク、サービスという総合力が重視される」と説明した。
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