「Wi-Fi WALKER WiMAX2+ HWD14」(以下 HWD14)は、KDDIが2013年冬モデルとして発表したモバイルルータで、WiMAX 2+に対応する。WiMAX 2+は、UQコミュニケーションズが10月31日からサービス開始を予定している2.5GHz帯BWAの新サービスで、サービス開始当初は下り最大110Mbps/上り最大10Mbpsという高速なデータ通信が利用できる。
HWD14は、WiMAX 2+と従来のWiMAX、そして、auの800MHz帯対応4G LTEといった3種類のワイヤレスWANに対応していて、通信モードの「ハイスピードモード」「ハイスピードプラスエリアモード」「ノーリミットモード」をユーザーが「手動」で切り替えることで利用できる“電波”も切り替えられる。
ノーリミットモードは従来のWiMAXと同様で容量無制限で使える。ハイスピードモードはWiMAX 2+と従来のWiMAXを使えるエリアによって自動で切り替えて利用し、ハイスピードプラスエリアモードは、WiMAX 2+とauの800MHz帯対応4G LTEをエリアによって自動で切り替えて使う。
PCとは、USBによる有線接続も可能だが、タブレットにスマートフォン、そして、外に持ち出して使うノートPCとは、IEEE 802.11b/g/n/に準拠した無線LANで接続することが多くなるだろう。無線LANで接続できるデバイスの数は最大で10台だ。
本体サイズは約62(幅)×100(高さ)×15.5(厚さ)ミリで、重さ約140グラムのボディに2.4インチで解像度が240×320ピクセルのタッチパネル内蔵ディスプレイを搭載したことで、これまでのモバイルルータと比べて設定操作が格段にやりやすくなったことも特徴だ。
WiMAX 2+で利用できるデータ転送速度は、理論値として“最大110Mbps/上り最大10Mbps”という数字を提示しているものの、無線を使うネットワーク通信だけに、周囲の状況によってその速度は大きく影響を受ける。
そこで、街でHWD14を使ってWiMAX 2+に接続し、実際の利用環境においてどの程度の転送スピードが出るのかを検証してみた。検証を行ったのは10月22日の15時から17時にかけて、UQコミュニケーションズが指定した品川のポイント(JR品川駅西口の高層ホテルに囲まれたあたり)で行っている。
UQコミュニケーションズが指定した場所なので、速度がでるようにチューニングを行っている特別な場所と思いきや、基地局の設置が早期に始まったエリアというだけで、現在は普通に基地局の設置を進めており、検証を行う当日になって「基地局の設置が進んで(実験室的な状況から実利用に近い状況に)速度が下がっている」と連絡がくるほどの、ごくごく一般的な、それこそ、実際にユーザーが利用する状況に近い条件で測定を行っている。
WiMAX 2+そのものの転送スピードを測定する場合、無線LANの影響を受けないようにUSBで接続したPCを使いたいところだが、Mobileユーザーとしては、やはり無線LANで接続して利用するのがほとんどなので、今回の検証もHWD14とAndroidスマートフォンを無線LANで接続している。
検証で使ったスマートフォンは、Samsung電子の最新モデル「GALAXY Note 3」のKDDIモデル「SCL22」だ。Android 4.3を導入して無線LANは、HWD14で対応するIEEE 802.11 b/g/nだけでなく、IEEE 802.11aとIEEE 802.11ac(ドラフト)も利用できる。HWD14との接続は2.4GHz帯のIEEE 802.11nを使うことになり、その転送速度は最大600Mbpsと、ボトルネックになることはないはずだ。
転送速度の測定に使ったアプリは、「RBB TODAY SPEED TEST」「Speed Test Speed Interactive Agency」「Ookla SPEEDTEST」を選んだ。いずれも、テスト用サーバに接続してPing時間の測定と大容量データのダウンロードとアップロードを行い、そのデータ転送レートの平均値を示す。検証作業は、測定する通信をHWD14の通信モードを「ハイスピード」(WiMAX 2+)、「ノーリミット」(WiMAX)、ハイスピードプラスエリアモード(LTE)で切り替えている。また、測定値の比較は、RBB TODAY SPEED TESTとOokla SPEESTESTで10回ずつ、Spees Test Speed Interactive Agencyは5回測定して、その平均で行った。
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