女性向けiPhone周辺機器で売上10倍に――INNOVA GLOBALにその秘密を聞く:iPhone普及の裏で動く巨大ビジネス 第2回(2/2 ページ)

» 2013年12月16日 09時06分 公開
[大野泰敬(4001field),ITmedia]
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勝てる分野に集中

 資本力の大きな会社が本気で参入してきたら、その市場で戦っても勝てないと藤嶋氏は判断。まず勝つために選択と集中を実施。過去最低にまで落ち込んだ業績を立て直すため、今まで主力だったケース事業を縮小し、勝てる分野と判断した保護フィルムやバッテリー、イヤフォンなどの周辺機器に重点を置くなどの大改革を実施。ターゲットも徹底的に女性に集中した戦略を打ち立てた。

photophoto BCNランキングでも上位を誇る保護フィルム(写真=左)。ケーブルなどにもオシャレを導入(写真=右)

出展ではなく期間限定イベントを展開

 保護フィルムやバッテリーなどの周辺機器は、直接口頭で説明しないと、なかなか女性やライトユーザーなどには伝わりにくい。「商品の良さや利用方法を伝えるためリアルでの販売を重視。百貨店などでの催事進出を強化しました」と藤嶋氏は語る。

 ここで重要なのが、出店ではなく期間限定でイベントを開催したことだ。実際にショップを経営するとなると、出店費用や固定費が発生し、事業にとってリスクが発生するが、物産展のような期間限定での販売であれば、リスクを最小限にしつつ、リアル店舗で自社の製品の告知、販売することができるからだ。百貨店側も催事でのケース販売はお店全体の集客にもつながり、そういった催事を積極的に誘致しているため、リスクをかけずに運用できる。また、売上げ以外にも自社のブランドイメージの認知向上や、ユーザーの声を直に聞くことで、次回の商品開発や調達に役立てられるメリットがある。

photophoto 渋谷東急、新宿小田急百貨店などで催事を実施(写真=左)。お店の雰囲気や客層に合わせた什器を展開する(写真=右)

ライフスタイルの提案を徹底

 ECの場合、商品を説明するだけではなかなか商品の価値を理解してもらいにくく、機能や操作が複雑な周辺機器が売れない。そこでバッテリーやイヤフォン、ケーブルをモバイルファッションの一つとしてとらえ、利用シーンに合わせたライフスタイル提案型へと販売方法を変更。

 「普段『持ち歩ける』ことを意味する"in my bag"というキャッチコピーで、Web上でライフスタイルを提案する戦略に大きく方向転換しました」と石渡氏は語る。ECサイトを見ると、まるでアパレルファッションブランドのサイトのようにオシャレに飾られた商品が並ぶ。商品は通常のものと比べると若干高いものも多いが、素材や品質、機能にこだわっているため、商品の特徴を理解した人が購入していくという。催事含めて全体の15%がギフトとして他人にプレゼントするというお客様も増えてきているという。

photophoto ライフスタイルを重視したECストア(写真=左)。in my bagというコンセプト(写真=右)
photophoto iPhoneを収納するためのバッグ(写真=左)。ショルダータイプにも、ハンドタイプにも対応(写真=右)

トータルファッション提案で売上10倍!

 単なるファッションだけではなく、ターゲットのライフスタイルに合わせたトータルファッション提案へ戦略をシフト。高額の商品でも売れるよう接客を重視し、ライフスタイルに合わせ、スポーツ用品店やアパレルなどの新業種への卸事業を強化することで、取り扱い店舗を2500店に拡大。創業時と比べて売上が10倍に伸び、2013年度は過去最高益を達成できたという。誰よりも早く女性向けケースを世の中に浸透させ、その後、主力だったケース本体を大幅に縮小させ、保護フィルムと周辺機器に商品を選択と集中させた藤嶋氏の経営手腕は見事だ。

photophoto オシャレでかわいいケーブルなどが人気(写真=左)。イヤフォンなども洋服に合わせやすいデザイン(写真=右)
photophoto 売上No.1のオシャレなバッテリー(写真=左)。かわいいだけではなく、9000mAhと高性能だ(写真=右)

身につけるファッション機器+高機能

 「2014年はファッション性とウェアラブル性、機能性を重視します。商品としては高機能だが、それを感じさせないくらいシンプルな設計が今後重要になる」と藤嶋氏は語る。前回も述べたが、iPhoneの周辺機器市場は大きく変化している。iPhoneを単純に守るケースから、ファッションアイテムとして大きく成長してきた。そして、値段が高くてもこだわった良い物が欲しい、また誕生日やクリスマスプレゼントなどにiPhoneのケースをプレゼントするというところまでに市場が成長してきている。

 これからは身に付けるファッション情報機器として周辺機器はさらに進化し、さまざまな機器と瞬時につながり、脳波、バイタルなどの生体情報と連携できるようになるだろう。藤嶋氏も語るように、そういった高性能でありながら、それを感じさせないくらいのシンプルデザイン、UI、ファッション性がこれからの周辺機器市場で最も大事、かつ市場が成長する上において重要なポイントになってくるだろう。今までなかった分野に挑戦し、マーケットを切り開いていくidea4livingの動向を、今後も注目したい。

プロフィール:大野泰敬(おおのやすのり)

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スマートフォン・コーディネイター/4001field統括プロデューサー/復興支援任意団体「all for one」理事長

 テレビや雑誌、イベントなどのプロデュースを行いながら、世の中の人にスマートフォンの楽しみ方を知ってもらうための活動を精力的に展開。スマートフォン市場に精通しており、周辺機器、アプリ市場に関連するスペシャリスト。NPOを立ち上げ、Yahoo!と復興デパートメントの立ち上げに参加するなど、復興支援などにも尽力。また、コメンテーターとして事務所に所属し、積極的に講演なども行っている。


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