NVIDIAは、1月5日(現地時間)に行った説明会で、同社 CEOのジェンスン・ファン氏が「Tegra K1」の概要を紹介した。Tegra K1は、NVIDIAが開発するモバイルプロセッサ「Tegra」シリーズの最新モデルで、2013 CESで発表したTegra 4の後継だ。実装するグラフィックスコアは、ディスクリートGPUで最新の“Kepler”世代と同等で、192コアを組み込む。
CPUは、従来と同じARMのCortex-A15のクアッドコア+1コア構成を採用する32ビット命令対応バージョンと、現在NVIDIAが開発を進めている“Denver”コアをデュアルで実装する64ビット命令対応バージョンを用意する。どちらのバージョンもピンコンパチブルで、Cortex-A15バージョンは、3-way Superscalar実装で1次キャッシュメモリを32Kバイト+32Kバイト内蔵する。動作クロックは2.3GHz以上を予定している。Denverバージョンは、7-way Superscalar実装で、1次キャッシュメモリは128Kバイト+64Kバイト内蔵する。動作クロックは2.5GHz以上を予定している。


“Kepler”世代のGPUに相当するグラフィックスコアを192基実装する「Tegra K1」は組み合わせるCPUの構成によって、従来と同じ「Cortex A15」を4+1コアで実装するバージョン(写真=左)と、NVIDIAが開発中のCortex A8ベース「Denver」をデュアルコアで実装するバージョン(写真=中央)を用意する。それぞれのバージョンで仕様が異なる(写真=右)ファン氏は、これまでのモバイルプロセッサ「Tegra」シリーズでは、実装するグラフィックスコアの性能が同世代のディスクリートタイプGPUと比べて、明らかに異なっていたのに対して、Tegra K1では、一気にディスクリートタイプGPUで同世代の“Kepler”シリーズと同等の能力を発揮すると訴求する。


ファン氏は、Tegra K1の概要をXbox 360とPlayStation 3と同等と説明する。Tegra K1はDirectX 11に対応し、グラフィックス処理能力はPlayStation 3の2倍、CPU処理能力は4倍に相当する。そして、消費電力は5ワットに抑えているファン氏は、Epicが開発しているゲームエンジン「Unreal Engine 4」をTegra K1に対応させる予定であることを明らかにした。ファン氏は、DirectX 9対応のUnreal Engine 3 が、2002年に登場してから、2010年にiOS対応となるまで8年間の時間をかけてきたのに対して、DirectX 11対応のUnreal Engine 4では、2012年に登場してからわずか2年でモバイルプロセッサのTegra K1が対応しただけでなく、処理性能もXbox 360やPlayStation 3といったコンシューマーゲーム機に匹敵することをアピールしている。

説明会では、Tegra K1の性能をXbox 360とPlayStation 3(写真=左)、そして、iPadやiPhone向け最新モバイルプロセッサ「A7」と相対的に比較したグラフも紹介している(写真=右)ファン氏は、次世代のゲームでは、フォトリアルのグラフィックスが実現し、そこでは、ジオメトリシェーダやHDR、物理演算、MRTを多用することになるが、Tegra K1はそれを実用的な速度で処理できる性能を持つ。ファン氏は、そのことを示すデモンストレーションをいくつか実演して、Tegra K1の性能を訴えた。


説明会会場には、Tegra K1を実装したリファレンスボードやタブレットが多数動作していた。タブレットはTegra Note 7のボディがベースになっているが、ディスプレイ解像度は1920×1080ドットに変更したと説明している
NVIDIA、192基のCUDAコアを搭載する「Tegra K1」
「Tegra Note 7」で“Tegra 4タブ”のリファレンス性能を確認する
NVIDIA、動く「Mobile Kepler」を公開
大解説! Tegra 4シリーズの「性能密度」に迫る
大解説! 省電力なCPUとSoCの最新事情を整理する
「Tegra 4」と「SHIELD」で舵を切るNVIDIAの狙い
NVIDIA、クアッドコアTegraの性能と開発ロードマップを明らかにCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.