2013年の年末にNTTドコモの「モバイルCashbee」がスタートした。Cashbeeは韓国のeB Cardが提供する電子マネーサービスで、ソウルを中心に韓国全体の交通機関や商店で利用できる電子マネーサービス「T-money」との相互運用をしている。そのため、モバイル Cashbeeを導入したスマートフォンを使えばT-money参加ショップでの買い物や電車、タクシーなどの交通機関もキャッシュレスで利用できる。
現在はNTTドコモ端末向けのサービスとなっているが、KDDIでもau端末で2014年3月から利用できるように準備を進めている。このモバイルCashbeeをソウルで実際に利用する機会を得たので、韓国の電子マネー事情を交えて紹介したい。
モバイルCashbeeサービスを利用するには3モードのNFCに対応するNTTドコモ製スマートフォンと、NTTドコモがNFCのType A/B系サービスを利用するために提供しているピンク色のSIMだ。3モード対応NFCスマートフォンにNTTドコモの“ピンク”SIMを組み込んだ状態でGoogle Playにアクセスして「モバイルCashbee」アプリをインストールすればいい。ここにクレジットカードを使って電子マネーをあらかじめチャージしておけば、韓国でも決済が可能になる。
モバイルCashbeeへのチャージは最低単位が1万ウォン(約1000円)で金額を指定してクレジットカードでチャージする。チャージに必要な日本円は日々のレートで変わる。なお、現金両替は手数料に加えてレートが若干悪い傾向があり、ウォンへの変換効率はモバイルCashbeeのほうが高い。


Google Play経由でインストしたモバイルCashbee。ここから金額を指定してクレジットカードでチャージする。チャージ後、次回以降にカード情報入力を省略できるクイックチャージの確認をしてくるが、今回は利用しない
韓国でモバイルCashbeeアプリを起動するとメッセージが出てきた。現在キャンペーン期間中で追加キャッシュのプレゼントが行われている(写真=左)。アプリは電子マネーだけでなく、クーポン券の機能も持っている(写真=右)韓国の仁川国際空港に到着する場合、ソウル市内までの移動は、Airport Expressを使う。移動時間は約1時間とかかるため、たいていの場合飲み物や食べ物を購入することになる。仁川国際空港には税関を出たすぐそばに「CS25」というコンビニエンスストアがあってそこでCashbeeが使える。なので、日本でチャージしていれば到着直後からキャッシュレスで買い物ができる。
なお、個人的な体験ながら、Airport Expressの駅構内にはCashbeeマークを貼った電子マネー決済対応自動販売機を設置しているが、ここにモバイルCashbeeをインストールしたスマートフォンをかざしても何もおきなかった。現時点ではCashbeeマークがあっても必ずしもサービスを利用できるわけではないようだ。
ソウル駅からの移動ではタクシーを利用する。ソウル駅前のタクシー発着所には「模範タクシー」と呼ばれる黒塗りのタクシーと、シルバー色の一般タクシーの2種類があるが、すべてのタクシーが電子マネー決済に対応しており、モバイルCashbeeで支払いできる。
手軽に利用できるタクシーに比べ、地下鉄やバスのモバイルCashbee対応は遅れており、こちらは利用にあたって現金が必要となる。Cashbeeではないが、ソウル市内の共通交通カードとして「T-money」がある。利用するには駅の自販機でT-moneyカードを購入して現金でチャージする必要がある。地下鉄駅構内には電子マネー対応自動販売機を設置しているが、こちらはT-moneyの対応のみでCashbeeとモバイルCashbeeには対応していないようだ。


仁川国際空港の税関ゲートを越えて最初に見えるコンビニエンスストア。ここでCashbeeが利用できる(写真=左)。ソウル市中心部へは開通したばかりのAirport Expressで40分ほど(写真=中央)。駅構内にはCashbeeに対応した自販機があるものの、ここではモバイルCashbeeは利用できなかった(写真=右)

ソウル駅前には黒い「模範タクシー」とシルバーの「一般タクシー」がある。すべてのタクシーが運転席横に電子マネーのタッチリーダーを設置しており、ここで料金の支払いが可能だ。支払い以外のタイミングで携帯端末(もしくは電子マネーカード)を載せると残高を表示するCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.