NTTドコモの「モバイルCashbee」をソウルで使うスマートフォンだけで韓国を生きていけるか?(2/2 ページ)

» 2014年02月04日 18時25分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
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コンビニ決済が便利なCashbee、ただし意外なところで利用できず

 ソウルのコンビニエンスストアでは、空港にあったCS25のほか、7-Eleven、CUといったチェーン系でモバイルCashbeeが利用できる。ただ、機械のエラーでモバイルCashbeeが使えないことも経験している(滞在していたホテルの隣にある7-ElevenではモバイルCashbeeをかざしてもエラーが表示されるだけで決済ができなかった)。その場合は現金払い、または、クレジットカード払いとなる。

 コンビニ以外では、Dunkin' Donuts、ロッテリア(Lotteria)でモバイルCashbeeが利用できる。Cashbeeサービスを提供しているeB Cardが韓国ロッテグループ傘下の企業ということもあり、同社資本の入っているKrispy Kremeなど関連チェーン店でモバイルCashbeeが利用できるようだ。実際、繁華街として有名な明洞(ミョンドン)地区にあるロッテ百貨店では店舗すべてでモバイルCashbeeが利用できた。

 ただし、ロッテ百貨店でも例外があって、まず、上層階の免税品コーナーでモバイルCashbeeが非対応だ。同じく上層階のレストランコーナーでもモバイルCashbeeは利用できない。モバイルCashbeeではロッテ免税店で使える割引クーポンを提供しており、このクーポンは売り場で利用できるが、決済そのものはモバイルCashbeeでできない。

コンビニエンスストアでは、GS25のほか7-ElevenやCUといったチェーン系の店舗で利用できる。ただし、店舗によってはリーダーの相性があるのかモバイルCashbeeを受け付けないケースもあり、このあたりの見極めは難しい

Dunkin' Donuts、LotteriaでもモバイルCashbeeは使える。Lotteriaのカードリーダーはタッチでエラー連発していたら「早い、しばらくそのままにしておく」と掲げていたスマートフォンをリーダーに押さえつけられた(写真=左)。明洞(ミョンドン)のロッテ百貨店では、上層階の免税店フロアでCashbee非対応だが、地下の食品街や一般店舗では利用可能だった(写真=右)

韓国でモバイルCashbeeを使って気になることは

 モバイルCashbeeを利用して気になるのが、店頭に設置している非接触リーダーにスマートフォンをかざしてから実際に決済が完了するまでの時間が非常に長いことだ。少なくとも5〜10秒程度は動かさずにかざし続けていないと処理が進まない。一方で、タクシーのモバイルCashbee決済や地下鉄のT-moneyの処理は1秒以内で完了する。それだけに、店頭における処理の遅さが目立ってしまう。

 また、(これはCashbeeに限った話ではないが)韓国の電子マネーカードはタッチしてリーダーが認識したときに音がしないため(もしくは音が非常に小さい)、どのタイミングで決済が完了したのかが分かりにくい。

 ソウルの街を観察していると、スマートフォン利用者は多いものの、その端末内訳はSamsung製品(Galaxyシリーズ)とiPhoneで半々。ということは、NFCサービス対応端末はそこまで多くない。実際、滞在中にスマートフォンでNFC決済を行っているユーザーを一度も見かけなかったほか、電子マネー決済を行っているユーザーそのものが少なく、ソウルでは現金支払いが圧倒的に多い。

 気になる決済スピードの遅さだが、交通系では速度優先で信頼性をある程度犠牲にしているのに対し、店舗決済では多少遅くても信頼性を高めるためにセンターとの通信を厳密に行って処理している可能性が高い。ほかの国に導入したシステムでも同様のケースがある(例えばバスの決済ではセンター側との通信を逐次行わず、1日単位で集計する)。

 モバイルCashbeeの開始で非常に便利になったこともある反面、交通機関での対応がまだであったり、リーダーの処理速度が遅かったりと過渡期的な問題も残っている。ただ、日本から訪れる機会と人が多い韓国で、日本のおサイフケータイに近い使い勝手が実現できることは、日本のユーザーにとってもメリットとなるのは間違いないはずだ。

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