スマートフォンで動画の閲覧やアプリのダウンロードなどを繰り返していて、突如通信速度が遅くなった、という経験はないだろうか。これは、利用月のスマートフォンのデータ通信量が一定を超えた場合に通信速度を遅くするルール、「通信規制」が適用されるため。なぜ通信が規制されてしまうのか、IT全般やスマホに詳しいライター・酒井麻里子さんにうかがった。
「携帯電話に利用できる電波の周波数帯は限られています。一部のユーザーが大量のデータ通信で回線を占有することで、他のユーザーの利用に支障が出ることを避けるために規制が設けられているのです。2011年のソフトバンクの発表によれば、全体の約2%のユーザーが全体の通信量の約4割を独占していたといいます。なお規制された場合、送受信の通信速度は最大 128kbps。例えばiPhone 5s/5cなら、データ受信速度は最大 100Mbps といわれているので、約800分の1。相当遅くなるのでストレスを感じるはずです」
一部のユーザーの通信の使い過ぎで、他のユーザーの通信を邪魔しないために通信規制が存在するということ。通信規制に達するデータ通信量の合計は「7GB」と決められているけど、なぜ「7GB」なの?
「7GBは、ほとんどの人が不便なく使える通信量を、ちょっと上回った水準です。例えば毎日、Webサイトの閲覧と動画の視聴をそれぞれ1時間、メールの送受信を10通、そのほかFacebookやTwitter、地図など、ある程度の通信量をともなうアプリを数回利用すると、1カ月でおよそ7GBに達する計算になります。ユーザーのストレスにならず、他のユーザーの阻害にもならないラインを引いているということですね」
それでは、制限に達しないようにするには、どういった点に気をつければいいのだろうか?
「高画質の動画は、通信量が大きくなるので注意。また、スマートフォンをパソコンにつないでネット環境を実現する機能『テザリング』は、かなり大きなデータ通信量になるので、こちらも気をつけた方がよいでしょう」
また酒井さんによれば、iPhoneであれば「設定」メニューにある「モバイルデータ通信」や、アプリ「通信量チェッカー」などで当月のデータ通信量を確認できることから、7GBまでの残量を常に把握して、利用量を調整するのが賢明とのこと。どうしてもデータ通信量がかさむ場合には、各キャリアが提供している、通信制限のないWi-Fiを併用するのもおすすめだという。
7GBという数値は今後変わっていく可能性はあるが、電波の周波数帯は限られており、一気に規制がフリーになる可能性は低そうだ。スマホの利用は、計画的に。
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