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» 2014年07月28日 15時55分 公開

佐野正弘のスマホビジネス文化論:多発する「LINE」のアカウント乗っ取り被害 その背景にあるもの (2/2)

[佐野正弘,ITmedia]
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 今回の詐欺では「改めて見ると、会話の日本語に不自然な部分があった」という指摘も多いが、アカウントが乗っ取られていることを知らない会話相手は、第三者の目に触れないがゆえにそうした発言も「ふざけているのかも」「急いでいるのかも」と捉えてしまい、不自然さを感じず要求に応じてしまったと考えられよう。

 一連の問題が拡大していることから、LINE側もさまざまな対処を実施している。7月4日にはユーザーにパスワードの変更をするとオリジナルのスタンプがもらえるキャンペーンを実施し、ユーザーにパスワードの変更を促したほか、7日にはPC版のLINEに、初めてログインする時に4桁の認証番号をスマートフォン側で入力する“2段階認証”を導入。さらに17日には、ID、パスワードに加え、新たに4桁のPINコードを入力しないとログインできない仕組みを導入した。

photo ログインの際にメールアドレスとパスワードに加え、4ケタのPINコードの入力が求められるようになった。初期値は携帯電話番号の下4ケタだが、好きな数字を指定できる

 このように、LINE側は短期間のうちにさまざまな対処を実施しているのだが、詐欺グループはその都度セキュリティ上の“穴”を見つけてアカウントの乗っ取りを繰り返しているようで、いたちごっこの様相を呈している。問題解決のためには、LINE側により抜本的な対処が求められるところだ。

photo 当初“乗っ取り”に多く使用されたとみられるPC版のLINEにも、新たに2段階認証が用いられた

サービスのグローバル化がもたらすネット犯罪のグローバル化

 今回のLINEの詐欺で最も注目すべきは、詐欺グループが海を越え、日本のスマートフォンを狙ってきたということだ。先にも触れた通り、今回のLINEの詐欺においては、なりすました人の会話内容が、日本語としてみると不自然な部分があるという報告が多くなされている。

 また「(なりすました相手に)中国語で返信したら、中国語でメッセージが返ってきた」などの報告もあることから、中国系のグループが詐欺行為を仕掛けた、もしくは日本語の扱える中国人を雇用して詐欺行為に及んだ可能性が高いとみられる。

 日本人が利用するネットサービスは従来、言語の問題もあってGoogleなど一部を除き、国内で提供されている日本人向けのサービスが主体だった。だが近年では、Facebookなど海外製のネットサービスをより積極的に利用する人が増えているし、LINEのように国内での成長を基盤として、海外にも積極進出して規模拡大するサービスも出てきている。

 つまり日本でも多くの人が、加入者が1億人を超えるようなグローバルのネットサービスを利用するようになったことで、他の国と利用するサービスが共通化し、国境を超えた不正や犯罪行為に巻き込まれやすくなっているのだ。これはある意味、サービスのグローバル化がもたらす弊害ともいえるだろう。

 では、そうした国をまたいだ不正・詐欺行為から身を守るにはどうすればいいかというと、やはり“常に危険にさらされている”ことを普段から意識し、自ら積極的に対処法を身に着けておくことが重要だろう。

 一連のLINEなりすまし問題への対処を見ると、「複数のサービスにパスワードを使いまわさない」という指摘が多くなされている。だが“自分のアカウントがいつ盗まれるか分からない”という危機感がなければ、やはり安易な使いまわしに走ってしまうかもしれない。しかしながら、アカウントの乗っ取りや詐欺などは、LINEだけでなく他のサービスでも起きており、最近でFacebookのアカウントが乗っ取られたという報告が、筆者の周辺でも数例報告されている。

 サービスのグローバル化が進み、どのサービスで、どの国から、どのような被害に遭うか分からないのが現在の状況だ。そうした状況下で自身の身を守るためには、身近なスマートフォンであっても常に世界の目にさらされている意識を、常に持っておくべきと言えるだろう。

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