「Wi-Fi Direct」が機能拡張 端末の「発見・接続・実行」がより簡単に

» 2014年09月16日 23時28分 公開
[村上万純,ITmedia]
photo Wi-Fi Allianceマーケティング担当ヴァイス・プレジデントのケリー・デイヴィス・フェルナー氏

 無線LAN規格の普及促進を行っている非営利業界団体Wi-Fi Allianceは9月16日、同組織が策定した「Wi-Fi Direct」の機能拡張や、Wi-Fi業界の動向などに関する記者発表会を開催した。Wi-Fi Allianceマーケティング担当ヴァイス・プレジデントのケリー・デイヴィス・フェルナー氏が、Wi-Fi Allianceの活動内容やWi-Fiの普及がユーザーにもたらすメリット、今後の展開などについて語った。

「発見・接続・実行」をシングルステップで ユーザーの利便性が向上

 フェルナー氏は、Wi-Fi Allianceを「シームレスな接続性を目指す組織」と位置付けた上で、「現在世界650社以上と提携し、2万以上のWi-Fi認定製品が世に出ている。Wi-Fi Direct導入デバイスもどんどん増えている」と現状を説明した。また同氏は「500万あるWi-Fiホットスポットは2018年までに1050万スポットに増加する」と予測する。同組織は2014年で15周年を迎え、日本でも117社のメンバー企業と2社の認定テストラボが存在している。

photo Wi-Fi Allianceについて
photophoto 15年の歴史を持つWi-Fi Alliance(写真=左)。日本には117社のメンバー企業がいる(写真=右)

 今回、「Wi-Fi Direct」の機能が拡張したことにより、よりユーザーの利便性が高まることをフェルナー氏は強調した。

 Wi-Fi Directは、Wi-Fiに対応する端末同士のP2P(Peer to Peer)通信とグループの接続性を実現するもので、同組織が2010年に導入した認定プログラムだ。インターネットに接続したりアクセスポイントを使ったりせずに、コンテンツの共有、閲覧、印刷、再生などが可能で、業界標準であるWPA2のセキュリティ接続も使用できる。Wi-Fi Directはスマートフォンやタブレットのほか、家電製品にも多く採用されている。ABIリサーチ(2014年)の調査では、6000以上の認定製品があり、出荷数は20億台以上になるという。

photo Wi-Fi Direct

 今回、拡張・強化された機能は4つで、8月から認定を開始している。1つ目が、端末同士でコンテンツを送受信できる「Wi-Fi Direct Send」、2つ目が、スマホやタブレットなどから直接コンテンツをプリンタで印刷できる「Wi-Fi Direct Print」、3つ目が、ストリームコンテンツ接続前に、DNLA対応のデバイス同士をお互いに発見させるWi-Fi Direct for DLNA」。4つ目が、ディスプレイのミラーリングを行う「Miracast」のミラーリングと表示がワンステップで可能になること。

photo Wi-Fi Directの機能拡張・強化について

 フェルナー氏は、「接続可能なデバイスの『発見、接続、実行』がシングルステップで可能になる。これまで複数の操作が必要だったものが1回の操作で済むようになる」と新機能のメリットを説明した。また、開発者向けに「Wi-Fi Direct Toolkit」を提供し、より容易にアプリケーションを開発できる環境を用意する。「アプリケーションが次々と開発されることで、ユーザー体験もより満足度の高いものになる」とフェルナー氏は予測している。

 現在は、Googleの「Nexus 10」やMediaTekの「MT6592+6625搭載フォン」などが、Wi-Fi Direct Toolkitのテストベッドデバイスとして利用されている。

IoT時代にWi-Fiをどう活用する?

 あらゆるモノがインターネットに接続される「IoT」(Internet of Things)の時代においても、「Wi-Fiは非常に重要な役割を果たす」とフェルナー氏は強調する。「Wi-Fi技術は、セキュリティの堅牢性や15年の技術の蓄積、使いやすさや接続性に優位性があり、レガシー互換性を備える。特にレガシー互換性(古い方式との互換性)については、家電だと10年以上使うものもある。そのような昔の製品が現在の最新端末と互換性を持てるというのは非常に重要なことだ」とフェルナー氏は語った。

 家電製品や自動車、ホームモニタリングなどの分野で、900MHz帯をWi-Fiで使用する「IEEE 802.11ah」規格を導入しようという試みも進んでおり、早ければ2016年にリリースする予定だという。

photo 900MHz帯を使用する「IEEE 802.11ah」規格の導入を予定しているという
photo IoT時代におけるWi-Fiの有効性

 また、60GHz帯を利用する通信規格「WiGig」についても開発を進めている。ABIリサーチの調査では、2014年以降、2.4GHz帯+5GHz帯を利用したデュアルバンド(11ac)の利用が増えていくとしているが、同年よりWiGigの利用も増加する予測だ。WiGigの通信品質について同組織は「非圧縮のHD映像のストリーミングが可能なほか、遅延を気にせずビデオゲームを満喫できる」と説明している。WiGigは2016年にリリース予定だという。

photophoto 2.4GHz帯+5GHz帯を利用したデュアルバンドの利用が増えていくという(写真=左)。60GHz帯を利用する通信規格「WiGig」は2016年にリリース予定(写真=右)

 そのほか、指定のアクセスポイントが設置された公衆無線LANエリアに入ると、自動でスマホやタブレットと接続してくれる「Wi-Fi CERTIFIED Passpoint」が10月に、オンラインでサインアップする機能を追加する予定。こちらもWPA2のセキュリティを使用するなど、安全面に配慮している。

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