「減収減益の厳しい決算」――NTTドコモの代表取締役社長 加藤薫氏がこう語るように、同社2015年3月期上期(第2四半期決)決算は対前年同期で減収減益の厳しい結果となった。上期の営業収益は2兆1730億円、営業利益は3996億円。
また、通期での業績予想を見直し、営業収益は4兆4000億円、営業利益は6300億円に修正した。営業収益で1900億円、営業利益で1200億円の下方修正となる。
減収の大きな要因となったのが、新料金プランの導入だ。音声通話が完全定額となる新料金プランは、もともと通話料を多く払っていたユーザーから乗り換えが進むため、「先行的に発生する減益が大きい」(加藤氏)。「回復傾向は表れ始めているが、対前年で400億円の収支影響があった。下期は600億円になると見ている」(同)という。導入時に想定したより、新料金プランへの移行が前倒しで進んでしまったことも、減収の要因だ。
「新料金プランの減収影響が、先にたくさん出た。6月には470万弱のお客様が登録された。これはまったくの想定外だった」
一方で、各種のオペレーションデータには改善が見られるという。新料金プランについては、9月末で943万契約を突破。それに伴い音声収入が542億円の減収になっているが、パケット通信料については311億円の増となっている。ARPUに換算してもこれは同様で、トータルでのARPUは5260円とマイナスだが、パケットARPUは130円の増。これに加えて、番号ポータビリティ(MNP)のポートアウト(転出)が第2四半期では9万と低水準を維持し、解約率も0.62%に低下した。純増数も119万と、前年同期比で約5倍に増えている。
また、端末の販売も好調だ。「iPhone 6/6 Plusを発売したことに加え、Androidの新モデルも好調」として、販売台数は5%向上。上期で1095万台を販売した。そのうちスマートフォンは676万台で、結果、LTE比率は87%にまで拡大した。また、新料金プランでパケットのシェアが可能になったことを受け、タブレットの販売も好調。上期は72万台となっており、前年同期の46万台から約60%の増となった。VoLTE対応端末は合計で130万台を突破し、内120万台が実際にアップデートを行い、VoLTEが利用可能な状態になっているという。
新料金プランは、「中期的に、パケット収入を拡大するのが狙いの1つ」で導入した。加藤氏によると、「パケットトラフィックは1.5倍に伸びている」といい、上位のパケットパックを選択する率も6月と9月を比べると、2倍程度に上昇しているという。新料金プラン導入当初は音声通話の多いユーザーが一斉に移行したため減収効果が大きかったが、これも徐々に減っていく傾向にある。加藤氏は「9月に移行した人は6月に移行した人より、減収部分が約三分の一になっている」という。
下期の重点施策として発表されたのが、「ドコモ光」だ。これは、NTT東西が開始する固定光回線(FTTH)の卸売りサービスを利用した「光コラボレーションモデル」と呼ばれるもの。ドコモはこれを受け、固定回線のセット販売、セット割引を開始する。サービス開始は2015年2月。決算説明会では概要のみが明かされた格好で、詳細は今後、正式に発表される。加藤氏によると、ドコモ光は次のようなサービスになる。
「通信速度は下り最大1Gbpsで、多様なISPを選べる一体型料金を基本に提供する。また、割引サービスの『ドコモ光パック』を提供する。ドコモがモバイル、光回線、ISPを全部まとめてセットでご提供することで、簡単、便利で、リーズナブルな価格でお使いいただけるインターネット環境にしたい」
ISPについては、ドコモ自身が開始するほか、他社との連携も視野に入れている。「一体的料金でご提供するのが基本で、私どもがISPさんとコラボしたいと考えている。お客様がお使いのISPさんを、ドコモのISPにしてくださいとは申し上げない」(同)という仕組み。合わせてセット割も提供され、加藤氏は概要を次のように説明する。
また「携帯電話の新料金プラン、いわゆるシェアパック、データパックとのセットにする。上位プランほど、携帯電話の新料金プランに加える額が安くなる(割引額が大きくなる)。auさんの構造とは多少違う」(同)とのことで、新料金プランのパケットパックに応じた、段階的な割引が提供されるようだ。
このほか、下期の重点施策にはdマーケットの重点サービスの販売強化が挙げられた。ドコモは、「dビデオ」「dヒッツ」「dマガジン」の3つを「重点サービスとして、販売を強化していく」(同)方針。またコストの削減も進める。こうした施策を通じて、「長期契約のお客様やご家族のお客様を大切にし、ドコモを選び続けてもらって競争のステージを変えていく」と締めくくった。
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