「ドコモ光は脱法行為」「ドコモばかりのMVNO市場は健全じゃない」 KDDI田中社長がコメント

» 2014年11月01日 02時57分 公開
[村上万純,ITmedia]
photo KDDI田中孝司社長

 10月31日に行われたKDDIの2014年度第2四半期決算説明会で、同社の田中孝司社長は上期の連結営業利益が3848億円となり、前年同期比で11%増加したことを発表。「通期での利益2桁成長に向けて順調な進ちょく」とコメントした。

 ユーザー数(ID)とARPUの拡大をベースに利益を拡大していく方針はそのままで、「auスマートバリュー」や「au WALLET」など独自のサービスで他社との差別化を図っていく。NTTドコモは新料金プランの影響で減収減益になっていたが、田中氏は「電話をよくかける人は新料金プラン、あまりかけない人は旧プランを選んでおり、実際の収支はあまり変わらない」と答え、auでは新料金プランによるマイナスの影響はあまりないことを明らかにした。


photo 連結営業利益は2期連続2桁成長
photo ネットワーク、デバイス、サービス、新事業の4分野で競争を勝ち抜く

 また、田中氏は9月に番号ポータビリティ(MNP)が純増したことについても言及。「MNP全体の市場は縮小しているが、iPhone 6/6 Plusについては初期動向が順調。iPhone 4S/5ユーザーの約90%が引き続きauを使ってくれている」と説明した。

photo iPhoneユーザーは引き続きauを契約する人が多いという

 説明会の中で田中氏が憤りをあらわにしたのは、同日発表されたドコモの「ドコモ光パック」についてだ。ドコモは、同社のスマートフォンや携帯電話と、NTT東西の光回線(FTTH)をセットで2015年2月から販売することを表明している。なお、ソフトバンクモバイルも同日にNTT東西の光回線を使った独自サービスを提供すると発表した。

 KDDIもモバイルと固定のセット割である「auスマートバリュー」を2012年3月に開始しているが、今回のNTTの動きを「脱法行為」だと表現した。「これは一体何なんだろうというのが正直な感想。透明性を担保しないといけないのに、このタイミングでこんな発表をするのはいかがなものかと思う。NTTの固定設備はボトルネック設備ということで、昔からの電話設備でできたネットワーク。他事業者は接続という形でこれを使ってきたが、NTTは2020年に向けてこれを開放してイノベーションを起こそうとしていた。だが、ふたを開けると案の定ドコモがセット割をやるためだけのものになっている」と怒りをぶつけた。予想される固定回線のキャッシュバック競争については「ドコモがやるなら、こちらもやるかもしれない」と答えた。

 同様に、MVNO市場についてもほとんどのMVNOがドコモ回線を利用している状況について「健全な市場環境じゃない」とコメント。「KDDIバリューイネイブラー」(KVE)を設立したこともあり、「MVNOは1人ではできない。バックオフィスをKVEでサポートしていきたい」と意気込みを語った。同日は総務省から「SIMロック解除に関するガイドライン」の改正案が発表されたが、それについては「これからいろんな動きが出てくるはずなので、それらを含めて考えていく」と田中氏は語った。

photo 「KDDIバリューイネイブラー」(KVE)でMVNO市場を支援していく

 また、auは通信方式の違いもあるため、SIMロックを解除したとしてもその後の対応に課題が多いことを田中氏は懸念していた。田中氏は「まだキャリア間の差分を吸収できるスマートフォンがあまりない」と話し、iPhoneについても「SIMロック解除やVoLTE対応については正直よく分からない」と語った。

ドコモ対策をどうするか

 2014年冬モデル発表会に続き、サービス面での付加価値で差別化を図る方針は変わらない様子のKDDI。しかしドコモの光回線セット割やMVNO市場の独占についての反応には、非常に強い危機感が表れている。ソフトバンクと共に“ドコモ対策”の動きに注目が集まる。一方で、VoLTEのキャリア間接続など、各社で手を取り合って進めていくべき課題もある。auユーザーとしては、まずはVoLTE対応端末のラインアップを増やしてほしいというのが本音だろう。

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