対応アプリ増でその“真価”が明らかに――使って分かったiOS 8の「進化」点:「iPhone 6」ロードテスト 第2回

» 2014年12月24日 12時50分 公開
[太田百合子,ITmedia]

「iOS 8」はどこが進化した?

 Appleはここ数年、新しいiPhoneの発売に合わせてiOSの最新バージョンをリリースしている。2013年に「iPhone 5s」の発売に合わせてリリースされたiOS 7では、アイコンからフォントまでデザインを刷新。ホーム画面もがらりと変わり、誰もがパッと見て「あ、変わったな」と分かる内容だった。

photo iOS 8の対応デバイス

 対して2014年、「iPhone 6」に合わせてリリースされたiOS 8はどうか。正直なところ、見た目にはあまり大きな変化は感じられない。ホーム画面をパッと見て気づくのは、新たに「ヘルスケア」アプリが追加されたことくらいだ。iOS 7の変化が劇的だっただけに、中には「あれ?」と思った人もいたかもしれない。だが、実はiOS 8にはこれまでと比べ、かなり革新的な変更がたくさん加えられている。それらを一言で表すなら、「これまでアプリで活用できていなかった機能が、やっとフル活用できるようになった」という感じだろうか。

 例えば、iPhone 5sから新たに搭載された指紋認証機能「Touch ID」。iOS 7ではロックの解除と「App Store」での認証くらいにしか使えなかったが、AppleがTouch IDのAPIを開発者向けに公開したため、iOS 8ではいろいろなアプリで利用できるようになった。AppleはiOS 8のリリースにあたり、なんと4000ものAPIを公開したという。アプリ開発者の友人によると「ここまで多くのAPI公開は今までなかった」とのこと。つまり、iOS 8は一見すると大きな変化がないように感じるが、実は使い勝手の面で劇的に変化したバージョンだといえる。

 しかし、アプリでできることが増えるとどう便利になるのかは、公開されたAPIに対応するアプリが増えてこないと分からない。筆者もiPhone 6のリリース当初は、まだ対応アプリが少なかったこともあり、iOS 8の進化点をいまいち実感できなかった。発売から3カ月以上たった今では、対応アプリも出そろってきた。実際に筆者が使ってみてこれは便利だと感じた新機能を紹介していきたい。

自由度が大幅に増した通知センターのウィジェット機能

 AndroidにあってiOSにないものとして、長らく言われ続けてきたものの1つに「ウィジェット」がある。ウィジェットとは、デスクトップやホーム画面に埋め込むことのできるミニアプリのこと。Androidではホーム画面にニュースアプリを埋め込んでニュースを閲覧したり、時計やカレンダーを表示したり、アプリの機能を呼び出すボタンを配置したりすることができる。

 一方、iPhoneでこれに近い機能を提供してきたのが、画面を上から下へスワイプすると現れる「通知センター」だ。着信などを通知する一方で、これまでも天気予報や株価、カレンダーの予定など、Apple純正アプリの一部をウィジェット的に表示することができた。iOS 8ではこの機能がさらにほかのアプリにも拡張され、Androidのウィジェットでできることと大体同じようなことが、通知センターでできるようになった。

photophoto iOS 7では「今日」「すべて」「未確認」という3つのタブに分かれていたが、iOS 8ではタブが「今日」と「通知」の2つになり、今日の方に好きなアプリのウィジェットを配置できる(写真=左)。表示するウィジェットや並び順は、通知センターの末尾にある「編集」ボタンからカスタムできる。リリースから3カ月がたち、対応アプリもかなり増えた(写真=右)

 Androidのウィジェットに比べてiOSの通知センターが便利なのは、通知センターがホーム画面だけでなく、アプリの起動中やロック画面でも表示できることだ。Touch IDが使えばロック解除自体は全然手間じゃないが、見たいときに見たい情報がさっと見られるというのはやはり便利。たとえば「NAVITIME」のウィジェットでは、あらかじめ登録した最寄り駅における次の電車の発車時間を表示できるのだが、ロック画面をスワイプするだけなので、駅に向かっている途中でもさっとチェックできる。ニュースのウィジェットがあれば、今どんなニュースがあるかを知るためにいちいちアプリを起動しなくても済む。通知センターでニュースのインデックスを見て、気になるニュースがあったときだけアプリを起動すればいいのだ。

photophoto カレンダーも純正のものだけでなく、好きなアプリが選べるようになった。筆者愛用のカレンダーアプリ「Sunrise」も対応。「NAVITIME」では最寄り駅の次の電車をさくっとチェックできる(写真=左)。「Evernote」のウィジェットからは、新しいノートの投稿が簡単。ゲーム中などに一度ホーム画面に戻ってカメラアプリを起動するよりも、通知センターからEvernoteのカメラを起動した方が早いケースもある(写真=右)

 唯一の不満点は、いまだにFacebookやTwitter、LINEといったSNS系のアプリが新しいウィジェット機能に対応していないこと。新着通知だけなら「通知」からチェックできるからいいのだが、iOS 6のときには通知センターから直接FacebookやTwitterに投稿できる機能もあった(その後、iOS 7で廃止)だけに残念。早期対応に期待したい。

ダイレクトにポストできるアプリが拡充、文字入力も激変

 通知センターのウィジェット機能と同様に、ほかのアプリに用途が拡張されて便利になったのが、写真やブラウザ、メモなどから利用できる共有機能だ。これまでポストできる先は、メッセージやメール、Facebook、Twitterに限られていたが、iOS 8では好きな対応アプリが追加できるようになった。といっても筆者の場合、写真やWebページをシェアするのはおおむねFacebookやTwitterなので、共有が目的ならその利便性にあまり変化はない。劇的に変わったのはWebクリッピングだ。

 これまでiPhoneから「Evernote」や「Pocket」へWebページをクリップするには、事前にブックマークレットを作成してSafariのブックマークに登録しておく必要があった。ブックマークレットを簡単に作るために専用アプリが必要なのが結構面倒だったのだが、iOS 8では共有先(アクティビティ)に直接EvernoteやPocketが選択できるようになった。筆者はかなりの頻度でWebクリップを使うので、この進化は本当にありがたい限り。「Google+」「LinkedIn」「Pinterest」に投稿したい人にもおすすめだ。

photophoto 写真やWebページをEvernoteやPocket、Instapaper、Flipboardなどの、“あとからまとめて閲覧する系サービス”へ投稿できるようになった(写真=左)。ほかにも、共有先(アクティビティ)として追加できるアプリがこんなにある(写真=右)

 いろんなアプリやサービスに直接投稿できるようになってかなり便利になったが、なぜか「マップ」だけは、いまだに投稿できる先がメッセージ、メール、Facebook、Twitterのみだ。単に対応アプリがないだけかもしれないが、ちょっと残念なポイントだといえる。

アップデートで劇的に使いやすくなった「ATOK」だが……

 サードパーティ製のキーボードが利用できるようになったのもiOS 8の大きな進化点だ。これまでiOSでは、Androidのようにキーボードを自由に選ぶことができなかった。筆者は普段、PCでもAndroidスマホ&タブレットでもジャストシステムの「ATOK Passport」を使用している。そこでiPhone 6のキーボードも早速、iOS 8に合わせてリリースされた「ATOK for iOS」に変えたのだが、当初はこれがかなり使いにくい代物だった。文字を直接入力する「インライン入力」ができず、キーボードの上の狭いスペースに1ワード書いては確定して入力……という仕組みだった上、入力方式も日本語テンキー入力のみだった。

 その後アップデートを重ね、現在はインライン入力とQWERTYキーボードに対応。かなり使いやすいキーボードに進化を遂げた。筆者はすでに純正キーボードを削除し、ATOK一本で文字入力をこなしている。なお、今PCで使っているATOKのユーザー辞書をテキスト出力して保存し、iTunes経由でiPhoneに取り込むと、ユーザー辞書を引き継げる。さらに欲をいえば、ATOK for iOSもATOK Passportに対応して登録単語を共有できるようになってほしいところ。Apple側の仕様変更とアップデートに期待したい。

photophoto 「設定」→「一般」→「キーボード」から、サードパーティ製のキーボードが登録できるようになった(写真=左)。「ATOK for iOS」はテンキー入力とQWERTY入力が可能。これでユーザー辞書さえほかのデバイスと同期できるようになれば、言うことないのだが……(写真=右)

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