インタビュー
» 2015年06月17日 06時00分 公開

MVNOに聞く:1000万契約は「簡単な道のりではないが、ワクワク感もある」――平井副社長に聞く「楽天モバイル」 (3/3)

[石野純也,ITmedia]
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楽天カフェは最長2時間待ちになるほど盛況

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―― ここまで順調に伸びてくると、MVNEを使う必然性が薄くなってくるような印象を受けました。特にフュージョン・コミュニケーションズは通信企業としても実績がありますし、逆にMVNEをやってもいいような気がしています。

平井氏 楽天モバイルの事業をスタートするにあたって、スピード感を重視して他社のご協力を仰ぎました。先ほども2周遅れと申し上げましたが、モバイル事業に関してのノウハウもようやく蓄積できてきたところです。そのノウハウも当初はありませんでしたからね。今後のことはユーザーのニーズに合わせて、検討していきたいと思います。

―― 回線に関して、ドコモ以外に広げていく可能性はあるのでしょうか。

平井氏 一番のポイントはアフォーダビリティ(経済性のよさ)です。2社とお付き合いするのか、3社とお付き合いするのかは分かりませんが、当然新たに設備を打たなければいけないので、設備投資コストや運用コストがかかってしまいます。ただ、それを否定することはまったくなく、オープンに議論していかないといけません。今は接続料も大幅に下がり、auさんもドコモさんとの差はほとんどありません。あれだけ高かったソフトバンクも下がってきていますからね。お客様が移行する際に、もともと使っていた会社と同じ回線を使いたいと望まれるのであれば、十分検討したいと思います。

―― ちなみに、1000万の目標を掲げていましたが、平井さんが入社されたときにはすでに決まっていたものだと思います。その目標を聞いて、どうお感じになりましたか。

平井氏 決して簡単ではない道のりだと思っています。まさに、挑戦への旅立ちです。ただ、三木谷が1000万と言ったということは、それだけこの事業に対して期待をしているからで、従来からあるEC、デジタルコンテンツ、金融に次ぐ4番目の柱として本気でコミットしようとしていると捉えました。だから私も、「やりましょう」と言ったのです。これが100万という低い目標だったら、「ほかの人に頼んでくれ」となったかもしれません。チャレンジは前向きに受け止めましたし、ワクワク感もあります。

 モバイル事業に対しての阻害要因もなく、三木谷からは「すべてどんどんやってくれ」と言われています。端末の品ぞろえやキャンペーン、イベントの企画などで、かなり従来の楽天にはないカラーが出せてきていると思います。また、これからテレビCMも始まります。

―― なるほど。それは楽しみですね。従来の楽天にはないカラーという意味では、リアルショップへの展開もECを主軸にしていた楽天としては異例のことだと感じました。

平井氏 確かにオンラインでの認知率は高いのですが、今はオンラインとオフラインで、まったく別のマーケットになっています。また現在、オンラインでお申込みいただいてMNPする場合、SIMが自宅に届く前から一定の期間、電話が使えなくなってしまいます。宅配日時間指定などを開始して利便性は高めていますが、まだまだ100%期待には添えていません。それを補う意味でも、リアル店舗は必要です。

 それに、honor6 Plusのダブルカメラのような機能は、触ってみないとやはり良さがわかりません。この端末は全店舗に3色並べていますが、タッチ&トライできることは必要です。

 店舗作りに関しては、恥をさらすようですが、最初はまったくノウハウがありませんでした。もともと楽天は無店舗でしたからね。チームのメンバーが何をやっているのかと思って見てみたら、Webで不動産屋を調べていて、「それちょっと違うと思うんだよね」と言いましたが(笑)……そのくらい、みんなが試行錯誤でした。もちろん、今は店舗開発のスペシャリストがいて、物件情報は全部かき集めた上で、プライオリティをつけて交渉をしていますが、半年前はそんな状況でした。

―― それでも、今は楽天カフェを見ると、混んでいる様子が分かります。

平井氏 お陰様で、最長2時間待ちという状態になってしまいました。その間は上(のカフェ)でご休憩いただいたりという状況でしたが、その時確信したことは、もっともっとリアル店舗のキャパを増やしていかなければいけないということです。二子玉川店もご好評いただいていますが、ご来店される方々のお住まいがけっこう広い。横浜などからも来ていただいている状況です。これからは、神戸、大阪、仙台をはじめ、都内も繁華街にお店を増やすことが決定しています。

 佐藤可士和さんが監修してくださっていて、決して今までの携帯電話ショップ、モバイルショップのような雰囲気ではない高級感のあるお店にしようと思っています。

photo 楽天カフェや楽天イーグルスグッズショップなど、店頭販売する場所も増えている

―― 最後に、1000万契約に向けて、今が何合目にいるのかで例えていただけないでしょうか。

平井氏 答え方が難しいですね(笑)。2月の記者会見のときは1合目、4月のときはベースキャンプに来たとお話しました。何合目かは別にして、今はやるべきことの全体のフレームワークを手に入れたところです。1つ1つエグゼキューションして展開する。仮説があり、実践して、これから仕組み化するところまでつなげていきたいと思います。それが回っていけば、オートノミック(自律的)に成長スピードを加速できると思います。

取材を終えて:楽天グループとのシナジー効果に期待

 鳴り物入りで登場した楽天モバイルだが、端末のラインアップをきっちりそろえ、店舗展開も順調だ。平井氏の受け答えからも、手応えを感じている様子がうかがえた。同氏が話していたように、まだ楽天モバイルの事業を開始してから1年も経っていない。現時点ではMVNOシェアの上位に顔を出すまでには至っていないが、1年後、2年後には注目の存在になっているかもしれない。

 楽天グループの持つサービスとのシナジー効果も高そうだ。日本ではEC化率がまだまだ低いといわれている一方で、楽天市場もスマートフォンからのアクセスが急増している。もし楽天モバイルがこれまでPCやスマートフォンを使っていなかった層にリーチできれば、ECをはじめとするサービスの起爆剤にもなるだろう。通信事業が主力ではなかった楽天のような会社が参入できるのは、MVNOの仕組みの面白いところだ。「格安スマホ」を超えた、既存事業者にはない大胆な取り組みに、今後も期待したい。

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