「15年度中に日本で“ONE-FIVE”を2万台売る」――新興スマホメーカーStar Digitalの勝算(1/2 ページ)

» 2015年07月29日 00時00分 公開
[田中聡ITmedia]

 中国のStar Digital(スターデジタル)が、「ONE-FIVE」ブランドのSIMロックフリースマートフォン3機種を、10月1日から順次日本で発売する。ラインアップはF1シリーズ「F1」「F1L」、C1シリーズ「C1」の計3機種。

 F1は、8コアCPU、5型のフルHD液晶、1300万画素カメラを搭載するハイスペックなモデル。F1Lは画面サイズがさらに大きい5.5型のモデルでそのほかの仕様はF1と同じ。2機種とも通常価格8800円のイヤフォン(SOUL Mini)が付属する。価格(税別)はF1が3万4800円、F1Lが3万9800円。10月1日に発売する。

photophoto 5.5型フルHD液晶を搭載する「F1L」

 C1は、クアッドコアCPU、5型HD液晶、800万画素カメラを搭載。F1シリーズよりもスペックは劣るが、価格(税別)は1万9800円と安いのが魅力。こちらは11月1日に発売する。

photophoto 5型HD液晶を搭載する「C1」

 3機種ともOSはAndroid 5.1を搭載し、クリアケースが付属する。

2016年度内に日本で2万台を販売する

 Star Digitalは、2011年に設立された新しいメーカーで、フィーチャーフォン、タブレット、スマートフォンを開発、生産している。日本法人は2015年7月に設立されたばかりだ。自社で工場を持ち、スマートフォンの独自ブランド「ONE-FIVE」を展開するほか、ODMメーカーとして、南米やロシアを中心とする通信キャリアにスマートフォンを供給している。「ハイエンドモデルに特化する」というのが同社のこだわりだ。

photophoto Star Digitalの会社概要。本社は中国深セン
photophoto Star Digitalの歩み(写真=左)。世界のキャリアやメーカーに製品を納入してきた(写真=右)
photophoto 品質検査も自社のラボで行っており、環境マネジメントシステムISO14001、品質マネジメントシステムISO9001の認定も受けている。

 2014年度には約150万台の端末を出荷した。15年度は200万台の出荷と120億円の売上(ODMとしては90億円)を見込んでいる。ONE-FIVEブランドのスマートフォンは、2015年4月から中国と香港で販売しており、10月から新たに日本でも投入する。今回発表した3機種は、すでに中国と香港で発売されたものだ。ONE-FIVEスマホは16年3月までに世界で15万台、うち日本で2万台販売することを目標にしている。

 Star Digital CEOのキム・ヨンジュン氏は、日本市場に参入する狙いについて「15年にSIMフリー(SIMロック解除の義務化)が始まったことが導入のチャンスと考えた」と話す。キム氏は会社の設立当初から日本市場は重要だとみており、「独自のブランド(ONE-FIVE)の成功に集中したい」と意気込む。SIMロックフリー端末は、HuaweiやASUSなどが14年から日本で投入しているが、こうした競合他社に対する強みは「スタートアップ企業として柔軟性があり、迅速に動ける。メジャー系と違って日本のみに集中できること」だと話す。

photophoto Star DigitalとONE-FIVEについて説明をするCEOのキム・ヨンジュン氏

 ONE-FIVEのブランド名は「COLORFUL(多彩さ)」「YOUNG(若さ)」「FREEDOM(自由)」「FUN(よろこび)」「BELIEAVABLE(信頼性)」という5つの要素を1つに込めたもの。新興メーカーらしいネーミングといえる。

photo ONE-FIVEブランドのコンセプト

ソフトバンクSIMで使うことが推奨される?

 通信サービスは下り最大150Mbps/上り最大50MbpsのLTEをサポート。3機種の対応バンドはLTEがB1(ドコモ、KDDI、ソフトバンクの2100MHz帯)、B3(ドコモ、ソフトバンクの1800MHz帯)、B7(2600MHz帯※海外のみ)、B8(ソフトバンクの900MHz帯)。ドコモのB19(800MHz帯)はサポートしておらず、ソフトバンクのバンドが最も多い。Star Digitalの担当者によると、ドコモとソフトバンクのSIMカードで動作することは確認済みだという。

 3GはB1(ドコモ、ソフトバンクの2100MHz帯)、B5(850MHz帯※海外のみ)、B8(ソフトバンクの900MHz帯)をサポートし、ドコモのFOMAプラスエリアのB19はサポートしない。3Gでもソフトバンクが有利という仕様だが、日本のMVNOはドコモ回線を使っているところが大半のため、実際はドコモ系のSIMカードを使うケースが多くなるだろう。

 対応バンドは海外版と同じであり、日本で発売される3機種は、海外モデルから大きな変更はなされていない。日本語入力ソフトは「Google日本語入力」がプリセットされており、ATOKやiWnnなどは用意されない。一方で日本のモデルには、ホーム画面のアイコンをタイル状に大きく表示する「シンプルメニュー」を用意し、初心者やシニアにも使ってもらえるよう工夫した。

photophoto シンプルメニュー(写真=左)。プリセットされている「Google日本語入力」(写真=右)

発売〜年末までにどこまで認知度を上げられるか

 販路は量販店が中心となり、HuaweiやASUSのようにMVNOのSIMカードとセットで販売することは現時点では予定していないが、キム氏によると、MVNOとの協業も視野に入れているとのこと。

 発表会でONE-FIVEの実機に触れたが、メタルフレームや背面のガラスパネルの質感も良く、1〜3万円台という価格を考えると、非常にコストパフォーマンスの高いモデルだといえる。

 しかしStar Digitalは世界的に見ても後発のスマホメーカーであり、当然ながら日本での知名度はゼロに等しい。日本法人のスタッフが現在2人のみという状況で、どのような戦略で販売、マーケティング活動をしていくのかも気になる。中国の新興メーカーというだけで「安かろう悪かろう」といった偏見を持つ人も少なくないだろう。いくら安くてモノが良くても、一般ユーザーに中身を理解してもらえないと宝の持ち腐れになってしまう。

 言い換えれば、ONE-FIVEがしっかりとユーザーの手に届くような体制が整えば、既存の大手メーカーと十分戦える製品になりうると感じた。そのためには少なくともMVNOとの協業は避けて通れないだろう。まずは10月の発売から年末のクリスマス商戦までにどれだけ認知度を上げられるかが、カギを握るといえる。

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