iPhoneの買い方が多様化しています。
NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手3キャリアが最新モデルの「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」を販売するのに加え、ソフトバンクの“準”格安ブランドY!mobileが「iPhone 5s」の取り扱いを開始しました。
Y!mobileは前身のウィルコム時代にも「iPhone 4s」を一時的に販売していましたが、当時はソフトバンクと同じ料金体系で、当時主力だったPHSとの2台持ちユーザーをターゲットとしたもの。Y!mobileは定額通話がありながらも格安スマホに近い安さでスマートフォンが利用でき、6sや6s Plusよりも小型の5sを販売することに注目が集まっています。
当初はソフトバンクモバイル(当時)が独占的に販売していたiPhoneシリーズですが、2011年10月にauが「4S」を発売。そして2013年9月発売の「5s/5c」はドコモも取り扱いを開始し、番号ポータビリティ(MNP)による加入者獲得競争が激しさを増しました。各キャリアはMNP合戦に加え、下取りサービスを始めることで新機種を買い替えしやすくしています。また機種変更時に残っている端末価格を無料にし、買い換えを促進するサービスも開始しています。
各社の下取り価格は特にiPhoneシリーズが手厚くなっており、iPhoneを使い続けてほしいというキャリアの狙いもみて取れます。iPhoneはPCソフトやクラウドサービスを使えばバックアップと復元も簡単にできることから、iPhoneというハードウェア単体ではなく、サービスと組み合わせたソリューションそのもので囲い込みが進んでいるとみていいでしょう。
機種変更や下取りの優遇はAppleの戦略を後押しするもので、さらに最新のiPhoneを使い続けられるレンタルやリースといったサービスに移り変わる可能性もあります。Appleは2015年9月、毎年新しい端末にアップグレードできるプログラムを発表しました。これが日本でも行われる、あるいはキャリアが独自に開始するかもしれません。
さて2013年秋に登場した5sでは、もう1つ大きな出来事がありました。Appleが直接、SIMロックフリーの5sを販売したことです。国内3キャリアに加えAppleが直販を開始したことで、さまざまな臆測を呼びました。折しも格安SIMと呼ばれるMVNOによるSIMカード市場が拡大していくさなかでもあり、SIMロックフリー端末の普及に拍車が掛かかったといえるでしょう。
SIMロックフリーのiPhoneが登場したのは、国内携帯電話の通信方式が4GになってLTEに統一にされたのも大きく影響しているといわれています。3キャリアのどのSIMを使っても同じように使えることが決め手となったというわけです。Appleはその後の6/6 Plus、6s/6s PlusのSIMフリー版も販売。現在も5sがラインアップに残っています。
オープンな中古市場に目を移すと、キャリアの下取りと同じくiPhoneシリーズの人気の高さが続いています。リセールバリューの良さから、iPhoneを継続して利用する人も多いのではないでしょうか。
また未使用の新古品も多く流通しており、MVNOの中には格安SIMカードとiPhoneの新古品を組み合わせて販売しているところもあります。端末価格の高さから格安スマホとは呼びにくいのですが、大手キャリアよりも安く、そして新品に近いiPhoneを使いたいというニーズに応える販売方法です。
新古品に近い存在としては、整備済製品の販売もあります。これは一度開封した未使用の初期不良品を修理・調整して再出荷するもので、「リファービッシュ品」「メーカー再生品」とも呼ばれています。
整備済製品のiPhoneはソフトバンクがまれに販売することがあり、2015年12月には「5」がプリペイドプランで登場しました。日本では低コストなケータイの座を格安SIMに譲ったプリペイドプランですが、これを機会に再び脚光を浴びる可能性もあります。
かつては、SIMロックフリーの端末を入手するには海外から並行輸入するのが主流でした。現在も、日本未発売のAndroid端末を入手するには、海外から取り寄せるしかありません。ただiPhoneやiPadに関しては日本国内でもSIMロックフリーモデルを入手できるようになりました。
間もなく発表されるハズの「iPhone SE(仮)」も、これまでのiPhoneと同じく3キャリアがそろって発売するのは間違いないでしょう。同時に、SIMロックフリー版がAppleから販売されるものとみられています。「5s」を発売したばかりのY!mobileでも、何か動きがあるかもしれません。
さらにSE(仮)の登場で、中古市場にあるiPhoneシリーズの価格が変動することも考えられます。SE(仮)は5sと同じ4型ディスプレイを搭載するとうわさされていますが、5sからの買い替えが増えた場合、買い取りなどで中古市場に5sが増え、相場価格が下がると予想できます。逆に5sからの買い替えが進まず、中古5sの需要が増えるとすると、相場価格は上がることになります。
実質0円の販売が終了し、元気がなくなっているスマホ市場ですが、SE(仮)が春商戦の起爆剤になるのか? 今から注目したいと思います。
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