―― やはり、こういう料金体系にしたのは販売網ありきだったんですね。
木野氏 はい。店頭ありきです。そういう意味だと、われわれは店舗ごとに、来店状況や時間、どんなお客さまなのか、どういう会話をしたのかということを、逐一記録しています。それに対して、次はこう改善しましょうと、スーパーバイザー(監督者)がアドバイスをする仕組みです。リアルなお客さまの声は、私自身も把握しています。また、海外のMVNOが過去どういう経緯でプランを変えてきたかというようなことも見て、現状を踏まえてプランに落とし込むようにしています。
―― 新料金プランを始めてから、来店数は増えましたか。
木野氏 来店数は、変わっていないですね。大きく上がったのは、成約率です。新プランが出たからとお客さまが店頭に足を運んでくれるわけではなく、見込みのお客さまが来たときに、契約される方が増えました。チラシ、CMなどの販促を仕込んでいたのも、成約率が上がった一因でしょうね。
―― テレビCMまでやっているんですね。
木野氏 地方で、代理店さんがやっています。安いですし、東京(全国)で流しても意味がないですから。ローカル局の方がリーズナブルで、費用対効果も高かったです。
―― 店舗数を教えてください。
木野氏 4月にオープンする分まで含めて、32店舗です。2016年度は、合計で100店舗を目指しています。
―― MVNOとしては異例の多さですね。理由はあるのでしょうか。
木野氏 いや、まだ多いという感覚は、あまりありません(笑)。
増えている理由は幾つかありますが、うちはフランチャイズ方式を採用しています。楽天さんのようなところは、楽天さんの資本やリソースで出店しているのだと思いますが、エックスモバイルだと限界もあります。そこで当社では、エックスモバイルと代理店の体力、それぞれを両輪として、うまく回している感じです。
当初は店舗のオーナーにも、積極的に「やりましょうよ!」とは言っていませんでした。収益性も見えなかったし、MVNOがグッと伸びるのももう少し先だと分かっていたので。「でもやる」というオーナー以外には、アプローチしていませんでした。
一方で、最近はある程度データもそろってきて、5カ年計画も立てられるようになりました。現実に、収益が上がるところが見えてきたというのはありますね。
―― MVNOだとそこまで料金が高くないわけですが、フランチャイズ方式できちんと利益が出るものなのでしょうか。
木野氏 来店数に成約率をかけると、月々の契約数が見えてきます。ただ、そこにSIM発行の手数料を付けても、数カ月は赤字です。ただ、(毎月の料金から発生する手数料の)ストックがたまっていけば、黒字に転換します。他には、アクセサリーの販売手数料や端末の販売手数料が、代理店には入ります。
うちは店舗開拓とスーパーバイザーを分けていて、「毎月1000件取ります」というところがあっても、スーパーバイザーは「ダメ」と言える仕組みにしています。店舗開拓側は早く開けたいのでしょうが、現実的な数値に落とし込み、納得した数字で出店できるようにしています。
―― 逆に、もしもシークスにあまりお金が残らないということにはなりませんか。
木野氏 1回線単位で見ると、確かに代理店に払っている手数料は多いかもしれませんが、まったく残らないことはありません。また、他にも端末の保険収入があり、これが意外と収益性が高いんです。全て自社保険にしていますからね。収益としては通信と、端末の粗利、それに保険収入が主になります。
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