ZTEは、早くから日本でSIMロックフリースマートフォンを投入してきたメーカーの1社だ。2014年には、LTEに対応したミッドレンジモデルの「Blade Vec 4G」を発売。その後、NTTレゾナントが運営するgooとタッグを組み、「gooのスマホ」として、「g01」や「g02」「g03」などを市場に投入してきた。
最近では、2015年末にフラグシップモデルであるAXONシリーズのコンパクトモデル「AXON mini」を発売、夏モデルとして、ミッドレンジモデルの「Blade V7 lite」や、エントリーモデルの「Blade E01」を展開している。
一方で、SIMロックフリースマートフォンのシェアを見ると、上位3社はFREETEL、ASUS、Huaweiの3社が“常連”として定着しつつあり、ZTEは先駆者であるアドバンテージを生かせていないようにも見える。一時期はgooのブランドで端末を発売していたこともあって、「ZTE」という名前や端末のブランドが、ユーザーに認知されていない印象も受ける。
SIMロックフリースマートフォンの市場が本格的に立ち上がりつつある中、同社はどのように反転攻勢をかけていくのか。ZTEでプロダクトマーケティングのディレクターを務める、吉本晃氏にその戦略を聞いた。
――(聞き手、石野純也) 最近になって、ZTEのブランドで端末を出すようになりました。これは、何か戦略的な変化があったのでしょうか。
吉本氏 いろいろなものがバラバラと出ていて、名前に統一感がないという指摘もありました。これからはきちんとしましょうということです。Bladeには「V」や「A」のほかに、「L」がありますが、Lは3G端末しかないので、日本では今さら見向きもされません。そこで、AXONとBladeのVとAを中心にしています(※Blade E01は名称を日本向けに変更している)。
ただ、Vといってもその中で幅が広く、メインのものがあって、その下に「lite」があり、「Max」のような機種もあります。それらを全部持ってくると、さすがに日本のSIMフリー市場では多すぎるので、ラインアップを整理しながら、3機種、4機種ぐらいにしたいと思っています。
―― 今のSIMフリースマートフォン市場には、そこまでの規模はないですからね。
吉本氏 はい。日本(の端末)全体がSIMフリーになれば話は別ですが、まだ年間で100万から150万台程度ですからね。
―― 一方で、その市場規模は拡大もしています。特に、4月以降の“実質0円禁止”は、ZTEにとって何か変化はありましたか。
吉本氏 安倍首相の一言で、大きく変わりました(笑)。タスクフォースでは「10万円もするようなものがタダになるのはダメ」といった発言もあり、ある意味、iPhoneが狙い撃ちされている状況ですが、その駆け込みでキャリアの端末は1月に売れ、2月に下がりました。その一方で、SIMフリーは堅調な状態でここまで来ています。ZTEのようなメーカーには、チャンスが広がりました。
―― 販売台数などの状況は、いかがでしょうか。
吉本氏 数量的にはまだそこまでたくさん売れているというわけではありませんが、とにかく存在感を示したい。「Blade V580」の発表会でもお話ししましたが、2016年はとにかくトップ3に食い込んでいきたいと考えています。
―― 市場規模が大きくなったとはいえ、まだ1モデルあたりの販売量はそこまで多くはなく、ようやく2桁万台になったところだと思います。その意味では、大ヒットを出せば“一発逆転”も可能な気はしています。
吉本氏 そうですね。それはあると思います。
―― 今回、夏モデルとして発売したのが「Blade V7 lite」と「Blade E01」の2機種で、いずれもミッドレンジからエントリーモデルという位置付けです。ここで認知度を上げ、フラグシップモデルを出していくという戦略でしょうか。
吉本氏 AXON miniの後継を持ってくるのは、まず間違いないでしょう。あとは本社と相談しながらですね。ただ、フラグシップモデルがあった方がいいのも確かです。安いものばかりだと、メーカーのイメージがどうしても悪くなってしまう。ZTEというメーカーにどういう力があり、ユーザーにどういう価値を示せるのかという意味でいうと、やはりフラグシップモデルはあった方がいい。その辺は、本社との交渉になります。「AXON 7」も、あれで5万円台が出せるなら、いける(ヒットする)のではと思っているのですが……。
今回、Blade V7 liteを出したのは、2015年12月のBlade V6があり、その刷新がそろそろ必要だったからです。あとは、お客さまとお話をする中で、MVNOの期待はローエンドのところにありました。まずローエンドで地固めをしなければならないということで、Blade E01を導入しています。お客さまのお話を伺うと、やはり(ZTEは)まだブランド力がない。それでも、「これなら手を出してみてもいいかな」と思えるものとなると、やはりローエンドです。そういったこともあり、今回のBlade E01が決まりました。そこを取っ掛かりにして広げていければ、ZTEという会社の名前も広がります。
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