ソニーモバイルコミュニケーションズがMobile World Congress 2017の期間中に開催した体験会では、投影した映像にタッチして操作できる超短焦点プロジェクター「Xperia Touch」のデモも行われた。
Xperia Touchは、1年前のMWC 2016で「Xperia Projector」という名前で発表されたコンセプトモデルが元になってる。Life Space UXでおなじみのソニー製の超短焦点プロジェクターを搭載し、テーブルや壁面に映像を照射できるだけでなく、ソニーモバイルの技術を盛り込み、Android OSやタッチセンシングによって、アプリやWebを楽しめるものに仕上げた。壁面に照射して情報を表示し、画面を複数人で見て、映像に触れて操作するなど、家族間のコミュニケーションで活用することを想定している。対戦ゲームを楽しむことも可能だ。
通常は消灯しているが、人感センサーにより人が近づくと映像を表示し、時計や天気、手書きのメッセージなどを確認できる。子どもが書いたメッセージを夜、家に帰ってきた父親が見る、Googleカレンダーと同期して家族全員の予定を共有する、Skypeを電話のように使い、離れた場所にいる親戚と壁越しに会話する、といった使い方が提案されていた。映像は最大80型まで拡大できるので、等身大のビデオチャットが可能だ。
また、離れた場所からでも操作できるように、モーションジェスチャーに対応している。プロジェクターのカメラが指の動きを認識し、YouTubeやNetflixの動画を離れた場所からもコントロールできるという。これはまだ開発中なので、発売タイミングでは利用できないが、その後のファームウェアアップデートで使えるようになる予定だ。
Xperia Touchの価格は欧州では1500ユーロ(約18万円)。日本も含む各国で販売されるが、日本での価格は未定。発売日が決定した段階で案内される予定だ。
最後に、コンセプトモデルとして発表された、Xperia Ear Open-styleの音を、プロトタイプモデルで聞くことができた。Xperia Ear Open-styleは、耳をふさがず周囲の音を聞きながらコンテンツの音も聴けるオープンスタイルのワイヤレスステレオヘッドセットだ。すでに発売中の「Xperia Ear」は、音声アシスタントによりハンズフリー、アイズフリーのコミュニケーションを提案しているが、Xperia Ear Open-styleではさらに“イヤーズフリー(耳の開放)”をうたっている。
通常のヘッドフォンやイヤフォンは、完全に耳を覆ってしまうので1人だけの世界に没入できるが、周囲の音が聞こえないので道を歩いているときに、車が近づいているのに気が付かずヒヤリとするときもある。また、人と話す際にヘッドフォンを外さなくてはならなかったり、声が大きくなったりすることがある。Xperia Ear Open-styleは耳に入れる部分に穴が開いており、周囲の音も聞こえる。話しかけられても自然に対応できるので、コミュニケーションに適したデバイスになっている。
本体にドライバユニットが搭載されており、ここから出た音がイヤーピースにつながる音導管を伝って、耳穴に当たる部分から鼓膜に向かって音を届ける仕組みになっている。骨伝導を利用した場合と比べて音質が良く、指向性が高いので音漏れも少ないという。
装着する際は、耳を挟む形で下から押し上げるように装着する。ピアスをしていても問題なく付けられるように設計されている。ただ、フィット感はまだまだといった感じだった。歩いても落ちることはなさそうだが、ランニングには不安を覚える。ここは今後も改善していくそうだ。
音を聞いみると、耳元でラジオが流れているといった感じだ。ただし、ちゃんと聞こえるのは自分だけ。そばにいる人がXperia Ear Open-styleで音楽を聴いていても、自分自身にはほとんど聞こえなかった。音楽を聴いている最中に話しかけられても普通に受け答えできる。従来のイヤフォンやヘッドフォンのように、自分1人の世界に入り込むのも悪くないが、周囲の音を感じながら音楽を聴くのも楽しいと感じた。
なお、Xperia Earのアシスタント機能やボイスインタラクションも搭載する、うなずく、首を振るといったジェスチャーによる操作も可能になる予定だ。コンセプトモデルなので、発売時期や価格などは未定だが、商品化に期待したい。
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