「ZenFone AR」で“革命”を起こせるか? 課題はコンテンツとGoogle連携石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2017年04月15日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 ASUS JAPANは4月13日、ZenFoneシリーズの最新モデル「ZenFone AR」を発表した。夏の発売を目指し、価格(税別)はメモリ8GB版が9万9800円、メモリ6GB版が8万2800円となる見込みだ。

ZenFone AR TangoとDaydreamに両対応した「ZenFone AR」
ZenFone AR 価格はメモリ容量によって異なり、8GB版が9万9800円、6GB版が8万2800円

CESで発表されたTango&Daydream両対応の意欲的な端末

 ZenFone ARは、1月に米ラスベガスで開催されたCESに合わせて発表されたASUSのハイエンドモデル。ZenFoneシリーズの中ではトップクラスの性能を誇り、GoogleのAR(拡張現実)技術である「Tango」と、VR(仮想現実)プラットフォームの「Daydream」に両対応したのが最大の特徴。TangoはLenovoの「Phab 2 Pro」が、DaydreamはAndroid 7.0 Nougatを搭載した複数の端末がサポートしているが、この2つに同時対応したのは、世界初となる。

ZenFone AR
ZenFone AR
ZenFone AR TangoとDaydreamに両対応しているが、サイズ感はあくまで普通のスマートフォン

 プロセッサには、QualcommのSnapdragon 821を採用。TangoやDaydreamで高い処理能力を要求されることもあって、メモリのスペックを大きく上げている。先に挙げたように、ZenFone ARには2つのバリエーションが存在し、メモリは6GBと8GBのどちらかを選べる仕組みだ。背面には、2100万画素のカメラを搭載しているが、Tangoに対応するため、カメラの横には距離を測定するための深度センサー(赤外線)と、動きを捉えるためのモーショントラッキングセンサーも並ぶ。

ZenFone AR Snapdragon 821を採用したパワフルなモデルだ

 GoogleのTangoは、現実世界をデジタル情報として取り込むことができる技術。端的にいえば、「端末に人間と同じような空間認識能力を持たせるもの」(ASUS JAPAN、プロダクトマネージメント テクニカルプロダクト マネージャー、阿部直人氏)。技術的には、赤外線を照射し、その戻り時間を計測して距離を算出。モーショントラッキングセンサーでは動きを捉え、端末や人の動きを計算する。これを、通常のカメラを通した映像と合わせ、画面にアウトプットするという仕組みだ。

ZenFone AR
ZenFone AR 赤外線とモーショントラッキングセンサー、カメラの3つで現実世界を認識する
ZenFone AR Tangoの仕組みを解説する、ASUS JAPANの阿部氏

 これによって、カメラに映し出した部屋の中にデジタルデータとして作成した家具を配置したり、テーブルの上にドミノを表示させて遊んだりできるようになる。シンプルな用途としては、部屋の距離を測るといった使い方もできる。アプリは、LenovoのPhab 2 Proが発売済みで、既に世の中にデバイスが出回っていることもあり、徐々に増えている。現時点では、30種類以上のアプリを、Google Playからダウンロードできる。

ZenFone AR Google Playには、既に30以上のアプリが用意されている

 ZenFone ARのもう1つの特徴は、GoogleのVRプラットフォームであるDaydreamに対応していること。Daydreamは、2016年のGoogle I/Oで発表され、Android 7.0 Nougatから対応している。VRに対応する端末スペックをGoogleが規定したうえで、端末に装着するゴーグル(Daydream View)は、Google側が販売。VRモード用のUIや、ストアなども用意する。ヘッドセットにはBluetoothで接続するコトンローラーも付属している。

 日本で発売されている端末では、Motorolaの「Moto Z」がAndroid 7.0 Nougatにアップデートされた際にDaydreamに対応。ZTEの「AXON 7」も、Android 7.0 Nougatのアップデートを行った際にDaydreamが利用できるようになる見込みだ。

ZenFone AR Daydreamにも対応する。写真は、CESでの展示
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