「Xperia XZ Premium」と「ソフトバンクSIM」が新たな武器に 1周年を迎えたnuroモバイルの戦略MVNOに聞く(1/4 ページ)

» 2018年01月29日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 nuroモバイルへのブランド刷新から1年がたち、ソニーネットワークコミュニケーションズが新たな一手を打ち出してきた。待望されていた、Xperiaの取り扱いはその1つだ。

 単に端末を発売しただけでなく、「Xperia XZ Premium」というフラグシップモデルの特徴を生かし、専用帯域で高速な通信ができるオプションも導入した。この「プレミアム帯域オプション」を利用すれば、上りのデータ通信が全てカウントフリーになるのも、注目しておきたいポイントといえるだろう。

 もともと同社はドコモのネットワークを借りるMVNOだったが、新たにソフトバンクとの相互接続も開始した。ソフトバンクのネットワークでは、2GBと5GBの2つに料金プランを絞っているが、「翌月繰り越し」や「データ前借り」といった、nuroモバイルの特徴的なオプションは利用できる。

 同時に、ソフトバンクのネットワークを使って他のMVNOを支援する、MVNEとしての活動もスタートさせている。1周年を迎えたnuroモバイルは、どこに向かっているのか。各サービスの背景にある戦略を、ソニーネットワークコミュニケーションズでMVNO事業を率いる、モバイル事業部門 ビジネス開発部 部長 細井邦俊氏に聞いた。

「Xperia XZ Premium」を選んだ理由

―― 最初に、Xperia XZ Premiumの件をうかがいたいと思います。ソニーグループなのだから扱ってほしいとうい声は多かったと思いますが、導入の経緯や反響を教えてください。

nuroモバイルnuroモバイル nuroモバイル向け「Xperia XZ Premium」。ワンセグ/フルセグ、おサイフケータイにも対応している

細井氏 nuroモバイルへのブランド刷新を発表した約1年前から、「なぜXperiaがないのか」というお話はいただいていました。われわれ内部でも、グループ内の端末をどうするかという議論はありました。nuroモバイルをサービスとして立ち上げたばかりだったので、他社に負けないものを作っていくため、機能強化しながら、今までのお客さまをnuroモバイルに統合する中で、どういったサービスや端末がいいのかと検討している中の1つとして、Xperiaの名前も挙がっていました。

 ただ、単にXperiaを用意するだけでは、同じグループの商品を出す意味がありません。メーカーと同じグループの通信事業者として、他社にはできない素晴らしいサービスを作り上げてから出そうという意見があり、時間がかかってしまいました。そのおかげもあって、Xperia XZ Premiumと同時にプレミアム帯域オプションとして特別な帯域を用意でき、さらに上りの通信に対して課金しないカウントフリーも実現できています。

 実際に出してから、お待ちいただいていたお客さまがいたことも分かりました。お申し込みも順調に増えていて、Webでの口コミを見ても、「やっと出た」という声や、「待ってました」という声がありました。これは、お客さまのニーズにマッチしたからではないかと思っています。

―― プレミアム帯域オプションはオプションという位置付けですが、契約する人は多いのでしょうか。

細井氏 数として公表できるものはありませんが、それなりに多くのお客さまがプレミアム帯域オプションを付けています。100%というわけではありませんが、通信を重視する方は付けている印象があります。逆に端末を重視する方は、2GBプランのメニューを選択しているようです。

プレミアム帯域オプションの速度はどれくらい?

nuroモバイル ソニーネットワークコミュニケーションズでMVNO事業を率いる細井邦俊氏

―― 実際、オプションを契約すると、速度はどの程度上がるのか、何か目安のようなものはありますか。

細井氏 速度の目標数値を設けたわけではありませんが、今までのMVNOで出ている速度と、Xperiaの写真や動画が1つ何MBかというところを見ながら、このくらいを超えないと満足は得られないだろうという帯域を計算して導き、(通常のサービスとは)別のコントロールを持たせています。

 銀座のソニーストアでは100Mbpsを超えるスピードが出ていましたし、お客さまのネットの書き込みを見ても、120Mbpsや100Mbpsという声は上がっています。社内で今(※平日16時ごろ)測ってみても、60Mbpsは出ていました。そういう意味では、いわゆる格安SIMでは実現できない、Xperia専用のスピードは出せていると思います。

―― MVNOは、特にお昼休みの時間帯に速度の低下が顕著になります。プレミアム帯域オプションだと、そうした心配もないのでしょうか。

細井氏 ご利用の方のみの専用帯域になり、通常のサービスの影響を受けないコントロールになっています。そのため、いっぱいお申し込みいただけると、それなりにスピードは落ちてしまいますが、ご満足いただけるような調整はしています。当然、お客さまが増えれば、そのぶん帯域は増やしますし、通常のサービス程度まで速度が落ちることはありません。

―― 2000円というオプション料金ですが、これは採算に合っているのでしょうか。

細井氏 あのメニュー単体で利益はいくらと考えず、まずはXperiaのパフォーマンスをきちんと使っていただける土台と位置付けています。そこは頑張らせていただいています。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月18日 更新
  1. 縦折りスマートフォン6機種のスペックを比較する サイズ/カメラ/価格の違いは? (2024年04月17日)
  2. ソフトバンク版iPhone 15 Pro、Pixel 8 Proの一部容量が実質24円 1年で買い替える人向け「新トクするサポート(プレミアム)」の内訳とは (2024年04月17日)
  3. 「ポケモンGO」大幅アップデート より自分に近いスタイル変更、現実世界を反映したビジュアルなど (2024年04月16日)
  4. Back Marketの「リファービッシュ製品」が中古と違うワケ 売れ筋はiPhone 13、バッテリー“100%保証”の計画も (2024年04月17日)
  5. 「改正NTT法」が国会で成立 KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルが「強い懸念」表明 (2024年04月17日)
  6. 「なめてんの?」前澤友作さん、Metaの“他責的声明”に激怒 著名人なりすまし広告問題で (2024年04月17日)
  7. HMDとハイネケン、透明で“退屈な”折りたたみ携帯を発表 (2024年04月17日)
  8. ソフトバンク、「新トクするサポート(プレミアム)」を4月18日に開始 対象機種は? 現行プログラムとの違いは? (2024年04月16日)
  9. バッファロー製Wi-Fiルーターに脆弱性 対象機種は今すぐファームウェア更新を (2024年04月17日)
  10. 「au PAY プリペイドカード」が4月23日にリニューアル タッチ決済に対応 「バーチャルカード」としての発行も可能に (2024年04月17日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年