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» 2018年08月17日 10時00分 公開

石川温のスマホ業界新聞:楽天が6000億円よりも安価にMNOネットワークを構築――組織改編により、MNOとMVNOを同じ会社で運営へ

楽天の決算発表会で、MNO事業の設備投資額が「6000億円を下回る見通し」と発表された。また、組織改変で自社で手がけるMVNO事業「楽天モバイル」をMNO事業を手がける子会社「楽天モバイルネットワーク」に移管する見通し。MNO自体がMVNOも手がけることになってしまうが、大丈夫なのだろうか。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 8月6日、楽天は2018年度第2四半期決算説明会を開催。そのなかで、2019年秋に開始する携帯電話事業への言及があった。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年8月11日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 同社は2018年から10年間で5263億円を基地局構築に充て、残りは1.7GHz帯を使う既存事業者の移行措置のために使う計画だった。しかし、今回の説明会で、6000億円を下回る金額で設備投資が可能になるとのことだった。

 業界関係者の間では「6000億円でも少ないのに、もっと金額が減ってしまうのか」という、驚きの声が上がっていた。

 8月10日付のケータイWatch「見えてきた楽天の基地局ネットワーク構成」で指摘があったが、おそらく楽天は、CORE・RANのオール仮想化によるネットワークを構築するものと見られている。楽天にはレガシーの設備がないため、イチから仮想化によるネットワークが構築できる。これにより、汎用サーバーを使い、安価なイーサネットスイッチを利用できるため、既存キャリアとは比較にならないほど、低コストでネットワークが構築できるというわけだ。

 ただ、業界関係者の間で不安視されているのは、コアネットワークというよりも、基地局側の問題だ。

 楽天では、CTO(最高技術責任者)として、インドで2016年に新規参入した通信キャリア、リライアンス・ジオで上級副社長だったタレック・アミン氏を起用したと発表した。

 アミン氏は、インドだけでなく、ファーウェイやアメリカ・T-Mobileでの経験がある模様。

 ただ、インドのキャリアで成功した経験があるからといって、日本のキャリアでのネットワーク構築に実力を発揮できるかといえば、かなり未知数なのではないか。

 残念ながら、インドは自分にとって未踏の地なので、ネットワーク品質のことはよくわからないが、少なくとも、日本以上に、地下街や地下鉄、高層ビルの上層階などで、スマホが快適に使えるとは思えない。

 楽天では2026年3月までに人口カバー率96%を目指すとあるが、すでに3キャリアは99%以上を実現しているだけに、開業7年経過しても相当、見劣りしたネットワークにしかならないのではないか。

 個人的には、日本の3キャリアが提供するネットワーク環境は、世界一だと思っている。海外キャリアの経験がある人であっても、3キャリアと同等のネットワーク品質を作り上げるのは、至難の業なのではないか。

 楽天では「数ヶ月中に具体的な技術を紹介したい」(MNO事業の責任者である山田善久氏)とのことなので、早く披露してもらって、我々の不安を払拭してもらいたいものだ。

 もうひとつ、気になったのが、楽天の組織改編だ。

 現在は楽天本体がMVNO事業を手がけているが、組織改編後は、楽天モバイルネットワークがMNO事業とMVNO事業の両方を手がけることになるようだ。

 ただ、この座組だと、NTTドコモから「MVNOとMNOの両方を手がけるというのはおかしいのではないか」(吉澤和弘社長)と待ったが掛かる可能性がある。

 NTTドコモ回線を使いながら、いまMNOのグループ会社となっているビッグローブやLINEモバイルは、MNOを手がける本体とは「別会社」という立ち位置だからこそ、NTTドコモ回線を使っても、なんとか許されている。

 しかし、楽天の場合は、MNO自体がMVNOも手がけることになってしまう。こうなると、NTTドコモも黙っていないだろう。

© DWANGO Co., Ltd.

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