「超解像ズーム」「HDR」ときたら、次はやはりこれ。「背景ぼかし」。ポートレートモードですな。
「前景と背景をちゃんと区別して背景をキレイにぼかすなら、デュアルカメラが良い」という風潮に、一石を投じようとしているPixel 3 XL。「Googleの持つ技術力とノウハウとAI(人工知能)の力があれば、シングルカメラでもここまでいける」という出来なのか。
能書きは抜きにして、とにかく撮ってみる。背景をぼかしたい場合は、カメラのモードを「ポートレート」に切り替える。
ポートレートモードにすると、ちょっと望遠になった。2倍まではいかない。1.5倍くらい。
ぼかし処理を入れる関係で、少し周辺部を捨てているのか、ポートレートに適した画角にするためあえて少しデジタルズームをかけているのか。詳細は不明だが、このことをちょっと頭にいれておきたい。
今回は、一番切り取りづらい「背景がごちゃっとした」構図で撮ってみた。ちょっといじわるだけれど、背景が空だったりすると、きれいに抜きやすい(背景をキレイにぼかしやすい)から。
ポートレートモードで撮影すると、背景をぼかしていない元の画像と、ぼかした画像の2枚が同時に記録される。
こんな感じで。
では、ポートレートモードに有利とされるデュアルカメラなiPhone XSでも撮ってみよう。
髪と背景の境界を良く見ると、Pixel 3 XLってめちゃ頑張ってない? むしろ、iPhone XSの方が不自然に見える箇所もあるくらい。
さすがにiPhone XSはデュアルカメラを生かした「奥行き情報」を持っているため、顔にピントが合って、右肩は少しぼけて、背景はさらにぼけて……って感じで立体的なボケ感を見せている。対してPixel 3 XLは「人は人」「背景は背景」という処理になるので、書き割りっぽいボケ方になる。
でも、これだけきれいにメインの被写体と背景を判別してくれるのなら、かなりすごい。普通に使える。
ちなみにPixel 3 XLの「Googleフォト」アプリでは、ポートレートモードで撮った写真にはそれを示すアイコンが付く。
このアイコンが付いている写真を開いて編集すると、後から「奥行き」の調整ができる。ボケの大きさをコントロールしたり、背景にフォーカスを切り替えたりすることもできる。
Pixel 3 XLのポートレートモードには「顔レタッチ」という機能がある。デフォルトでは「ナチュラル」に設定されているが、「オフ(無効)」にしたり「ソフト」に切り替えたりもできる。
まあファーウェイやサムスンのような派手な「ビューティー化」「美肌化」はしない。デフォルトのまま使っても良いだろう。
ということでデフォルトのナチュラルで撮影。
ここで、もう一度iPhone XSに登場いただき、同じシーンを撮ってみる。
こっちはiPhone XSの方が自然かな。
望遠カメラを備えることもあり、iPhone XSの方が望遠なので、ポートレートモード時のパースはその分きれいに出る。
さてポートレートモードといっても、人物だけを撮るわけじゃない。背景をぼかせるとなると、いろんなものを撮りたくなる。
例えば花とか。
観音様とか。
親亀の背中に子亀を乗せて、とか。
そばとか。
デュアルカメラのiPhoneやサムスン電子のGalaxyのハイエンドモデルのように「広角+望遠」構成のデュアルカメラを使って背景ぼかしをする機種では、望遠カメラの撮影最短距離の都合から、料理とか小物をメインに据えて背景をぼかすような撮影は難しい。近いとピントが合わなくなるから。
その点、Pixel 3 XLは近距離でもポートレートモードを使える。ただし、そもそも近距離で撮影すると背景はナチュラルにぼけるので、ポートレートモードを使ってもあまり差はでない。
まあそういうもんです。
背景ボケ話の最後は花。細くて複雑な物体が絡み合っている構図で撮ってみる。
Pixel 3 XLで背景ぼかしをかけないで撮った元写真はこれ。
ごちゃごちゃとしていて、どれが手前でどれが奥か判別難しそう、ってことがよく分かる写真だ。
これに背景ぼかしをかけるとこうなる。
けっこう頑張った。所々で枝が消えちゃっているけれど、かなり頑張っている。
ではiPhone XSではどうか。
実はこれ、iPhoneがすごく苦手とする構図なのだ。今回撮った花は「ホトトギス」という秋に咲くものなのだけど、花がいくつか宙に浮いちゃっている。
iPhoneは人物は得意だけれど、こういうのはちと苦手なのである。
シングルカメラのPixel 3 XLがここまでレベルを上げているのだから、デュアルカメラなスマホも一層精進しないといけませんな、という話でした。
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